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嗚小小一碗茶

「お茶でやせられますか」の答えは(下)

中国茶評論家・工藤佳治

 ――「万病に効く」と豪語するお茶の効能とは

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『本草綱目』『同拾遺』に登場する今も中国を代表する茗茶。 上3つが「寒」とされる左から顧渚紫笋、陽羨雪芽、西湖龍井。 下2つが「温」とされる左からプーアル茶、武夷岩茶(いずれも現代名)。

 「茶は寒」。身体を冷やす機能があると説明されてきた。これは、明代にまとめられた『本草綱目』によって集大成された考え方である、と前回指摘した。

 ところが、実際の体験として、お茶によっては身体が温まる、熱くなるお茶があると述べた。「茶は寒」と多くの人が説明することと、矛盾するのではないか。

 本当に中国では、「茶は寒」として、捉え続けてきたのであろうか。

 説く鍵は、清代まで下る。『本草綱目』を修正・付加する本が出された。1800年代後半にまとめられた『本草綱目拾遺』である。

 以前にふれたが、中国茶の製法は明代で大きく変化した。味、香りに影響する要素となる「酸化を止める」熱の加え方が、「蒸す」やり方から「炒る」やり方に変化した。また、産地も増えた。製法もいろいろなやり方が登場した。輸出も始まり、紅茶も登場した。

 それらの変化を受けてか、この『拾遺』の中では、各地のお茶の説明で「寒」とするものと、「温」とするものとが見受けられる。分けて説明している。つまり、身体を温かくするように機能するお茶が登場する。また、現代中国茶を代表する「龍井茶」も登場し、「寒」として説明されている。「温」で説明されるお茶は、「プーアル茶」「武夷岩茶」に代表される。

 これをもとに、体験と合わせて考えると、「温」のお茶は、古くねかせているお茶、あるいは焙煎をしているお茶が多い。よく言われるように、代謝が速い、あるいは活性化させるタイプである。日本の「ほうじ茶」で、そのような体験をされる方も多いと思う。そして、緑茶を中心に「寒」である。

 以前、福建省南部の大きなお茶工場に行ったとき、「この工場では、20年間、1人のガン患者も出ていません」という説明を受けた。お茶の書物でも、「高血圧の予防、改善」「心臓病の予防」「ガンの予防、初期改善」「コレステロール値の改善」「疲労回復」「利尿効果」「消炎・解毒作用」あるいは「虫歯予防」「老化防止」というように、「万病を予防し」「万病を治す」ように書かれている。

 「それでは、お茶を飲んでいると死ねないですね」と言いたくなるくらいだ。

 現在では、研究が進み、お茶に含まれるポリフェノールやカフェイン、ビタミンCなどの含有物質や、それによる抗酸化作用や代謝の活性化作用など優れた点も数々見つかってきている。

 でも、お茶は作られる場所も違うし、同じ場所でも作り方も違う。それを絶対的な効能としては、考えにくい。また、お湯への抽出度合いも方法や温度によって異なる。すべてが効く、とうたうには無理がある。

 また、中国医学の基礎的な考え方は、人間のタイプを分けている。代表的には「実証」と「虚証」。同じ薬でも、片方に効いて、他方には効かないことは指摘されている。要するに、同じ物でも効く人もいれば効かない人もいる、という考え方に立っている。

 もう一つ。例えばお茶にダイエット効果があるとして、1日どのくらいの量を飲めば効くのか、あまり聞いたことがない。10年ほど前、漢方にも理解がある医師に「プーアル茶はどのくらい飲んだら効果あるか」を聞いたことがある。その医師は「1日4リットルくらいかな」と答えた。個人差もあるだろうが。

 専門家でない私が、効能を語るべきではないが、お茶は健康やダイエットに「効果がある人」もいれば「ない人もいる」。お茶を飲んでほっとする時間でも作った方が、すべての成人病の原因とされる「ストレス」を軽減する一助になることか、そのことを考えた方がよさそうだ。

 次回は、「秋深まり、秋茶の登場」のお話しを。

(11/03)



中国茶メモ


六安茶(ろくあんちゃ・安徽省)

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 『本草綱目拾遺』に登場するお茶の中では、龍井茶(西湖龍井茶2/1他)、武夷茶(3/1)、普●茶(5/24)がすでにこの項で説明されているので、参照されたい。

 六安県で作られるお茶。現在は、「六安瓜片」という緑茶で有名である。

 『本草項目拾遺』の中では、「古いほどよいお茶」として説明されている。そのタイプのお茶は、現在でも香港で売られたり、飲まれている。

 写真にあるように、竹籠の中に圧縮したお茶が詰められ、硬くなっている。それを崩しながら、プーアル茶と同じ要領で飲む。陳年ものほど珍重される。

 少しカビ臭さはあるが、これは菌を作用させてはいない。年代を経ると、丸く、のどごしのよい飲み物になる。

(●はさんずいに耳)




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