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嗚小小一碗茶

「秋茶」「冬茶」のシーズン到来

中国茶評論家・工藤佳治

――年2回フレッシュに楽しめる中国茶とは

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安渓鉄観音
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茉莉花茶

 「年1回摘み」。中国茶の中で最上のお茶は、この基本を守って、摘み、作られる。もちろんシーズンは「春」。緑茶はすべてそうである。日本人にファンが多い「武夷岩茶」や他の種類のお茶でも、ほとんどがこの鉄則が守られる。もちろん最上のお茶以外は、年数回以上摘まれる。

 ところが、最上のお茶でも年2回摘み、作られるお茶がある。飲む側からすると2度楽しめることになる。

 「秋茶」「冬茶」という。「春茶」に対する呼び方だ。

 じつは中国茶だけではない。インドの紅茶でも、春のファーストフラッシュに対して、秋摘みのオータムナルがある。また、日本茶でも一時期「秋茶はおいしい」と宣伝しているのを見かけたことがある。

 春茶との違いを一口でいうと、春茶は「香り」、秋茶・冬茶は「旨味」と「甘味」が魅力といえるだろう。春に比べ、「甘さ」が増す。そのうえ、香りも春茶に必ずしも負けてはいない。

 だからファンも結構多い。この季節になると、よい秋茶を追いかけ、上海などの店頭では高いお茶からすぐ売れてしまう。

 どのようなお茶が年2回作られるかというと、種類があまり多くはないので覚えやすい。 「秋茶」として代表的なものは、福建省の「安溪鉄観音」、広東省の「鳳凰単ソウ」や「嶺頭単ソウ」。 「冬茶」は、台湾の「文山包種茶」「高山烏龍茶」「木柵鉄観音」「凍頂烏龍茶」などである。

 摘まれて作られる時期は、「秋茶」の場合、9月下旬くらいから10月くらい。「冬茶」は11月中旬から12月上旬くらいである。もちろん、その年の気候によって変動する。台湾などは、ここ数年、この時期に急激に寒くなり、霜が降りて「冬茶」の芽が凍り、収穫できなかったことがあったため、これより早く摘んでしまうものも増えた。また、季節商品にありがちな「早い」「一番に届いた」などが、「売り」になって高値がつくので、わざと早く作ってしまう傾向も出てきた。

 これらのお茶とは違う意味合いで、「秋」に最上品が登場するものがある。 「茉莉花茶」(ジャスミン茶)である。前に茉莉花茶の最上のものは「イン(穴かんむりに音)」(香り付けをする意味)の数が多いほど高級である、と説明したが、最高級品は、秋に完成し、市場に出される。

 春のお茶を使い、春の茉莉花(まつりか・ジャスミン)、夏の茉莉花で、数回ずつ香り付けをし、さらに秋の茉莉花で香り付けをして仕上げる。茉莉花の四季咲きを利用して、それぞれのシーズンの香りの特徴をいかすため、と聞いた。多いものは、九インしているものもある。

 これら最上の「秋茶」「冬茶」「秋完成のお茶」は、なんといっても「やさしく」「エレガントな」「上品さ」が共通する魅力である。

 深まる秋から厳しい冬へ。「秋茶」「冬茶」そして最上の「茉莉花茶」。どれをとっても、心を暖めてくれるお茶である。静かで人恋しい夜長は特に…。

 次回は、「お茶うけ好きにはたまらない。実りの秋は魅力たっぷり」なお話しを。

(11/16)



中国茶メモ


「安溪鉄観音」「茉莉花茶」については、1月25日掲載の「中国茶メモ」を参照されたい。


●嶺頭単ソウ(れいとうたんそう・広東省)

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 福建省との境、広東省北部の饒平で作られるお茶。別名を「白葉単ソウ」ともよばれる。

 ここより少し西の鳳凰山で作られる「鳳凰単ソウ」と、形状は同じで、ほぼ同様の香り、味を持つ。

 フルーティな香り、甘い後味は、ヨーロッパのアップルティなどのフレイバーティに影響を与えたのでは、と思えるほど。香りづけはしていない。焙煎を進める中で、独特の香りが立ってくる。

 鳳凰単ソウは苦いお茶も存在するが、嶺頭単ソウの場合は、どちらかというと甘い感じのタイプが多い。





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