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嗚小小一碗茶

「中国茶の保管はどうする?」

中国茶評論家・工藤佳治

――いろいろ考えるより、「放っておく」

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 講演や教室で中国茶の話をしていると、よく「保管はどうしたらよいのでしょう?」と質問される。日本茶なら、缶などに入れ、適当に湿気を避けて、とさほど気にしない。ところが、中国茶でこの質問が多く出るのは、まだまだ中国茶が珍しいもの、貴重そうなもの、あるいはすぐには飲み終わりそうもなく、長い期間保存するかもしれないなどの心理が働いているような気がする。

 中国茶もお茶であるので、通常のお茶の保存でよい。いつも答えは簡単、ほとんど一言で終わる。「湿気、光り、香り」を避けること。それだけである。

 ところが質問をする人は、ほとんどそれでは引き下がらない。「冷蔵庫の保存がよい、と聞いたのだが」とか、「冷凍した方がよいのでは」と迫ってくる。確かに私の書いた本でも、「写真用乾燥ボックス」を使うことなどと書いている。

 茶葉保存の必須事項は、「湿気」「光り」「香り」を避けること。この三要素は、お茶が変化する要素であり、お茶の特徴でもある。お茶は「湿気」を吸いやすい。劣化の原因になり、お茶はまずくなる。

 お茶が「光り」で酸化することは、以前に書いたが、その進みぐあいで緑茶、烏龍茶、紅茶などの種類ができる。つまり、酸化が浅いお茶ほど「光り」で劣化していくことになるので、ほとんど酸化していない「緑茶」ほど、光りを避けた方が、新鮮さが保てることになる。

 「香り」は、お茶が香りを吸いやすい性格を持っていることにある。お茶を原料にした「消臭剤」があるのは、この性格を活用しているからだ。また、「ジャスミン茶(茉莉花茶)」があるのも、この性格を利用して、お茶に花の香りをつけているからだ。だから、つけたくない香りもお茶についてしまうので、強い香りを発するようなものからは、離して保存した方がよいことになる。

 「冷蔵庫での保存」を言う人がいるのは、冷蔵庫内が乾燥しているので向いている、と考えるからだ。もちろん、冷蔵庫から出してすぐにすべての茶葉が使われるのならばよいのだが、残る茶葉がある場合、結露をすることもある。大敵の「湿気」である。出してしまってまた出して、となると、結露の繰り返しである。また、冷蔵庫用消臭剤があるように、冷蔵庫の中は、いろいろな香りがあふれている。

 「冷凍での保存」を言う人も、長期の保存ができると思ってのことだろうが、出した後の処理が問題だ。結露は冷蔵よりももっと生じやすくなる。長期間の冷凍は、独特の香りがつくことを体験している方も多いだろう。それでも「冷凍」というのであれば、一回分毎に茶葉を個別パックして、一回毎に冷蔵で自然解凍させて使うのが望ましいとなるが、そんな面倒なことは「お茶を楽しむ」ことと共存できるとは思えない。

 専門的な技術が使える時代にもなっている。「脱酸素剤」が素人でもわりに簡単に買えるようになった。三要素を満たす容器で、脱酸素剤を入れて保存する。酸素をなくする(少なくすること)で、劣化を遅らせることになるからだ。しかし、密封状態が続く限り効果を発揮する脱酸素剤だが、封が開いた瞬間に酸素が入りもとに戻る。頻繁に開けるような保存には向かない。

 面倒な手続きが「楽しい」という人もいる。ただし、それはあくまで非日常的な場合で、中国茶を頻繁に飲もうという場合は、なるべく簡単な方がよいに決まっている。私も、中国茶を始めた頃はいろいろとやったが、今は「放ってある」だけだ。多少、三要素を気にする程度で。

 もっとよい保存方法がある。それは、なるべくよい茶葉を買うことだ。その方がより長持ちする。茶葉も強いのだ。そして、適当に早く飲む。お茶はプーアル茶などを除いて、生鮮食料品である。その「旬」を楽しんだ方がよい。そして次の「旬」を待つことも、また楽しい。

 次回は、「“凍える冬”。手足の先まで温まる中国茶は?」というお話しを。

(01/30)



中国茶メモ


茶葉の保存容器。中国茶ではすべて「茶缶」


 日本の場合、「茶缶」といえば、金属製の「缶」を意味し、想像する。今は見ることが少ないが、素焼きの器の場合は「茶壺」という。中国茶で「茶壺」は、日本でいう「急須」。お茶をいれる道具になる。素焼きの保存容器も「茶缶」である。

 中国では、日常は茶葉が入って売られている紙製の茶缶を活用しているのをよく見る。日本と同じである。専門用にはいろいろの素材や形状のものを見る。磁器製、錫(すず)製、アルミ製、素焼きのものなどいろいろ。

 素焼きのものを除き、どんな種類のお茶にも使われる。要するに密閉度の高いもの。素焼きは、プーアル茶などの年をとるほど価値の増すお茶の保存に向いている。完全密閉というよりは、少し息をしている感じが向いている理由だ。


磁器の茶缶

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錫製の茶缶

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素焼きの茶缶

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