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中国でもお茶にはつきもの「水へのこだわり」

2007年05月29日

中国茶評論家・工藤佳治

――いつも悪者になるのが「水」

 「日本に持ち帰っていれると、ここで飲むようにお茶がおいしくはいらないのですが?」と、再度訪れた中国の茶舗や産地の人に尋ねている人をよく見る。多くの答えが、「水が違うから」。

 会話はたった1回のやりとりで終了する。聞く方もそういわれてみると、つっこみようもない。たとえ「この間、試飲をさせてくれた茶葉と、売ってくれた茶葉は質が違うのでは?」と思っていても、この答えには反駁(はんばく)する余地はない。

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 中国は1000年をゆうに超える「水」へのこだわりの歴史を持つ。お茶の関係でも有名なものがいくつかある。茶聖といわれる陸羽は、その著「茶経」の中でお茶をいれるのに適した水として、「山の水が上。川の水は中。湧(わ)き出る水は下」としている。当時のお茶の製法やいれ方は現在とは違うので、これをそのまま正しいとするには疑問もあるが、「茶経」がまとめられた800年頃にはお茶をいれる水にも、こだわりがあったことがわかる。

 また、各地へ行くと、唐時代からここの水が、「天下第一泉」とされていてとてもよい水だ、と説明を受けることがある。また、陸羽がランキングしたという水が、「陸羽第一泉」から「第二十泉」まであり、ここはそれの何番目だ、などと自慢されることもある。

 とんでヨーロッパ。紅茶の世界の人からは、「硬水」と「軟水」の話を聞かされる。水に含まれるミネラル分の多少で硬軟分けられるが、お茶をいれるのに向いているのが「軟水」とされている。紅茶をいれる場合、ヨーロッパの多くの地域では「硬水」のため、より硬度の低い日本でのはいり方と違うという。

 お茶をおいしくいれるために、浄水器ばかりでなく、水に木炭を入れてねかせたり、独自にあみ出した方法で、水をよくする努力をしている人は結構いる。

 日本でも、お茶がおいしくはいらないと、「水が悪いのでは」という話は、日常茶飯のこと。

 どうやら、世界に共通して、うまくお茶がはいらない場合の一番の原因は、「水」ということになっている。

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 これにはちょっと異論がある。おいしくはいらない、うまくはいらない、同じにはいらないことの理由に、一番便利で、だれも反駁できない「水」が悪者にされてはいないだろうか。

 なぜ、「水」を一番の悪玉にしなければならないのか。それは、「水」が一番楽な説明だからだ。そうしておけば、反駁されることはまずない。お茶をおいしくいれる方法は、具体的に教えにくいこともある。

 似た例をあげると、料理の世界がある。普通に料理を作ることは、日常皆やっている。ちょっと教えてもらえば、あるいは経験を重ねていけば、どうにか通用するものになる。けれども、料理人の水準まではいかない。だから、料理店やレストランにわざわざ行って、食べて感動する。

 料理とお茶の違いは、「お茶をいれる名人」と世の中に評価される人がいないことだ。その人がいれたお茶を、わざわざ飲みに行く場所も機会もない。また、誰にもわかりやすく、おいしくいれられるような教育がされないと、「水が原因」は続くことになる。中国茶は、種類が多いからなおさらだ。

 そこで、簡単な「中国茶をおいしくいれる一番のコツ」。それは、少し「よいお茶」、ちょっと「高いなと思うお茶」を買うことだ。水を選ぶよりはずっと簡単、お金も結果においてはそれほどかからない。そして、自分の腕前に感動できる。「うーん、おいしい」。

 次回は、「大好き茘枝の季節。久しぶりの茘枝紅茶」(予定)です。

中国茶メモ

雪水雲緑(せっすいうんりょく・浙江省)

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 浙江省の西北部に位置する桐廬という場所で作られる。1980年代後半から作られるようになった。新しいお茶だが、一部お茶好きの間では、評価の高いお茶になっている。

 切れがよいお茶。とくに春の新茶は、少しの苦みといっしょに、すっきりとしてのど越しがよいのが魅力だ。水色は、ほとんどなく、薄い山吹色。場合によっては少し緑色がかる。

 心地よい苦さは、しだいに薄い甘さに代わっていく。

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