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『白い』がはやりか。「白茶」という名の「緑茶」

2007年06月26日

中国茶評論家・工藤佳治

――産毛は「甘さ」のバロメータ

 「白茶」という名の「緑茶」がブームである。

 中国茶に少し興味のある人にとっては、紛らわしいことが増えた。というのも、中国茶を「緑茶」や「紅茶」などに分類する時、「白茶」という分類があるからだ。ヨーロッパで「Pekoe」(ペコ、ピコー)の語源になったとされる「白毫銀針」(福建省)や、最近「色白を作る」ということでその成分がヨーロッパの高級化粧品に使われた、「白牡丹」「壽眉」(福建省)といったお茶が「白茶」の分類になる。

 「白茶」の茶葉は、「白毫銀針」でいえば、文字通り「白い産毛」で覆われている。まさに「銀の針」である。お湯をいれたお茶の色も、ほとんど透明に近い山吹色。淡白なお茶である。

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8年ほど前になるであろうか。「安吉白茶」というお茶が登場して、じわじわと評判になっていった。「安吉」は浙江省の北部にある銘茶の産地。古くから「安吉白片」というお茶の産地である。

 そこに登場した「安吉白茶」。古くからある「白片」と似ている味、香りだが、ちょっと淡く、上品な感じがある。茶葉は、「白片」に比べて少し産毛が多めであるが、緑色が中心であることは変わらない。どこが違うのか、しばらくは疑問であった。中国の茶通たちにもまだ情報がゆきわたらなかったせいか、「緑茶ではなく白茶だ」、という人もいた。まぎれもない「緑茶」である。

 復習になるが、緑茶は酸化をさせないお茶。白茶は、酸化を少しさるお茶。

 間もなく「安吉白茶」は、「おいしいお茶だ」とあちこちで評判になり始めた。ただ、「高い」というコメントもついていた。

 そしてここ数年、中国茶の中でも人気のお茶として、上位にランクされるようになった。お茶の展示会にも、常連となった。生産茶メーカーも増えた。同じ茶名で、いくつもの会社が競い合うようになった。

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 一つだけ変わらないことがある。値段が高いということだ。一般的に高いお茶とされる高級龍井茶に匹敵する値段である。

 その好評、売れ行き順調にあやかるように、「白茶」という名前の「緑茶」をいくつか見るようになった。その代表が、「寧波白茶」だ。「安吉白茶」と同じ茶木を使っていたり、近い茶木を使い、同じようなイメージで、次なる「白茶」という「緑茶」ブームに乗ろうとしている。日本の「ヤブキタ」ブームまではいかないまでも、今しばらくこの「白茶」という名の「緑茶」生産ブームは続くであろう。

 「寧波白茶」は、その中でも、力をあわせて普及に頑張ろうとキャンペーンをはっている。「寧波」は、隋・唐の時代から日本との行き来の港になっていたところ。周辺は、数多くの銘茶の産地である。以前に紹介した「奉化」は、寧波の南に隣接した茶区。「四明山」を中心にした「余姚」は、西に隣接した茶区。伊藤園も茶畑を持って、日本茶を生産している。

 それぞれの茶区で「白茶」という「緑茶」を作り、ここ数年、共通ブランド「寧波白茶」として共同して売り込みを図っている。

なかなかおいしい。お茶をいれると、沢山の「産毛」が浮く。この「産毛」こそが、「旨味」(甘さ)のバロメータ。おいしいお茶の証拠である。慣れないと、本当に小さなゴミが浮いているように見えるが、お茶にとっては、宝石の輝きである。このお茶に限らず、どんなお茶にも共通する。

 世の中、「美肌」ばかりでなく「白」が目立つこの夏。中国茶も「白」が「産毛」をキラキラさせながら、上品で淡い「旨味」を振りまいている。

 次回は、「『茶藝』空を飛ぶ」(予定)です。

中国茶メモ

寧波白茶(ニンポウはくちゃ・浙江省)

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 寧波周辺の茶区で作られる、緑茶の共通ブランド名。写真は、寧波の南に隣接する奉化で作られる「印雪白茶」。ワインでいえば、「寧波白茶」は、「ボルドー」を指し、「印雪白茶」は、「シャトー名」「個別ワイン名」を指すとするとわかりやすい。

 見た目は、濃い目の緑茶をイメージするが、いれてみると淡く、上品なまろやかさがある。香りも澄んだ感じで、残る味は甘い。

 茶区によって、加工も、茶葉の形状も異なるので、注意。買う場合は、試飲をしてみるとよい。

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