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「茶藝」空を飛ぶ

2007年07月04日

中国茶評論家・工藤佳治

――おいしい中国茶の機内サービスはいつ

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 5月中旬、浙江省臨安にある大学へ寄ることになった。「浙江林学院」という、広大な敷地の中の巨大な学園である。杭州から高速を通り車で1時間ほどの距離だ。中国一のGDPを誇る浙江省が、その教育予算の何分の一かをここに投入したという。すべてが新しい、巨大なコンクリートの建物群が、点在している。が、「林業」の名前が示すように、実験山林が周りをめぐって自然の中の近代都市といった感じである。大きな池の周りには、テラスの中国茶館もあり、この敷地の中で全ての生活ができるようになっている。

 その大学に、中国でも初めてと思われる「茶文化学院(茶文化研究コース)」ができた。そこに幾人か、知り合いの先生方がいる。「天目青頂」というお茶の生産地をみんなと訪ねるために、ここのスタッフが案内をかって出てくれた。途中寄って、みんなにもこの学院を見て欲しいということだった。

 ちょうど「茶藝」の特設クラスが開かれている、というので、見学した。若い学生かと思ったら、スラリとした少し華やかな女性たちと男前の数人の男性たちが生徒であった。「どういう生徒?」と聞いたら、「中国東方航空のキャビンアテンダント」だという。「なぜ彼らが?」という質問も出来ないまま、次のスケジュールに移ってしまった。

 それから1カ月後。6月13日成田発上海行きの飛行機に乗った。久しぶりに中国東方航空であった。成田のチェックインのカウンターに「中国文化体験旅」と書かれた「栞」のセットが置かれていたので、なにげなくもらった。東方航空が飛ぶ世界の都市でのマナーについて、簡単に書かれている栞のセットであった。

 北京オリンピックも近く、また中国人観光客が世界へどんどん出て行っている。このところ「中国人は海外との交流で『こういうことに気をつけて』」という、「マナー」を喚起する記事や情報が増えている。「つばを吐くな」「女性を先に」などというものだ。

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 そして、機内に入りちょっとびっくりした。スクリーンの両横には、「品東方茶」「行中国風」の文字。

 そして座席の背についているカバーにも同じ文字が。

 「どうしたの? 東方航空はいつの間に『中国茶の後援者』になったの?」「でも、中国の航空会社だから自国のお茶を知ってもらうのはよいことだ」などと考えているうちに、飛行機は離陸した。

 しばらくして、お決まりのビデオが流れ始める。その前にスチュワーデスのアナウンス。

 「中国茶は、中国文化を代表する一つです。東方航空では、それを知っていただくために、この機会を設けました。中国茶の香り、味、そして中国文化のすばらしさをご理解いただけることを望みます」 ビデオが始まった。馴染みの茶畑の風景や知り合いのお茶関係者の顔が次々と出てくる。そして、東方航空のキャビンアテンダントの茶藝の風景が。「あの時の特別講習は、このために」と納得した。

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 この1週間、東方航空では、「中国茶を知ってもらうプロモーション」を行なった。ビデオの他に、ビジネスクラスでは、茶藝でお茶のサービス。そしてエコノミーでは、銘茶の説明が書かれた小さなカードが配られた。さらに「中国茶の特集」のタブロイド版新聞が各座席に配置されていた。

 ただし、エコノミークラスで出されたお茶はいつものまずい「緑茶」らしきもの。このときくらい少し「おいしいお茶」が出されたら、もうちょっと中国文化を代表する中国茶への認識が高まったかもしれない、と思ったことはない。どこの国の航空会社も、ワインとかコーヒーに力をいれることはあっても、不思議にお茶は充実していないのだから。

 次回は、「中国銘茶100種類を飲む」(予定)です。

中国茶メモ

太平猴魁(たいへいこうかい・安徽省)

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 観光地でも有名な黄山市で作られるお茶。1900年代初めから作られ始めた。

 緑茶の中では、知る限り茶葉が一番大きなお茶。写真の葉でも、長さ約6cmある。挟み、炙るようにして乾燥させるので、茶葉に網の目がついていることもある。

 産毛も多いお茶で、清涼感があり、甘い。日本の緑茶にも共通した旨味といえる。

 茶葉は長いので、多めに入れるのがこつ。

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