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現在位置:asahi.com>中国特集>鳴小小一碗茶> 記事 日本人が一番苦手な中国茶が変身中2007年09月01日 中国茶評論家・工藤佳治 ――ここでもわかる中国食文化の変化
「日本人が一番苦手な中国茶は?」の答えは、今までそれほどむずかしくなかった。 「カビ臭い「普●茶」(雲南省)」という答えが返ってきそうだが、一部で嫌う人はいるものの、好みの人もけっこう多い。もっと苦手なお茶がある。 「緑茶」が正解である。中国緑茶すべてではない。あるタイプの緑茶である。 中国で一番多く飲まれ、一番多く生産され、日本茶のルーツでもある中国緑茶は、全てが均一な味、香りではない。「緑茶ではないのでは」と、疑うくらいの緑茶すらある。 その緑茶の中で、日本人が一番嫌うタイプは、「スモーキー」な緑茶である。乾燥の工程で、「燻す」ないし「燻されたような香りがつく」タイプのお茶が、想像以上に多くある。それが、日本人が一番苦手な中国茶だと思う。「中国緑茶ペットボトル」が販売され、消えていった原因の一つは、どこかにこれに近い香りがあった気がする。 このタイプのお茶が存在するのは、主に内陸地方で生産されるものに多い。伝統的に古くからあるお茶だ。なぜこのようなタイプのお茶が多いかを考えると、これらのお茶が生産される地域に共通することが見えてくる。 キーワードは「油」「脂」である。料理が「脂っこい」。料理油の使いまわしをしているせいか、劣化があり、油を強く感じる。そういう地域のお茶に、このタイプは多い。 このような地域で、緑茶ではなく半発酵のお茶の生産地ならば、「焙煎」したお茶ということになる。 例をあげるなら、福建省北部の「武夷岩茶」。今でこそ武夷山の料理はそれほどでもなくなったが、5年ほど前までは、油が良くない、脂っこいと感じることが多かった。でも、そのお茶のタイプは、日本人が苦手かといえば、そうではない。日本では「ほうじ茶」がある。「焙煎」したお茶は日本人にはかえって好感が持たれる。 スモーキーな緑茶は、苦手な人が多い。一例で安徽省のお茶にある。「徽州料理」は中国人も認めるように、中国でも有数に油がキツイ料理である。それに合うお茶は、スモーキーな緑茶が合う。ボディが強く、香りも濃厚、苦さもあり、少しの甘さがあとに残る。 中国だけではなく、ヨーロッパで受け入れられる中国茶の一つに、このタイプがある。料理法などは違ってはいるが、「脂」の存在が理由であろうか。 このタイプの緑茶は、結構広い地域に存在していた。 しかし、この「スモーキー緑茶」に変化が起きている。ここ数年で、どんどん「スモーキー」でなくなってきているような気がする。 どっしり「脂っこい」料理は、変化をし始めているのである。ここ10年の広東料理の中国国内での広がりは、目を見張るものがある。日本で例えるなら、「京料理」の全国制覇のようなものだ。 油の使いまわしをしないでもよい、生活の豊かさが広がっていることも考えられる。 このスモーキーな、胃に負担がどっときそうなボディのある「緑茶」。日本人にとって苦手な中国茶であったはずが、今「日本人にとって馴染みやすい中国茶」に変身をとげようとしている。 背景にかかわる、豊かさへの傾斜と連動。喜ぶべきことではあるが、どこかで何かを失っていくような寂しさも感じることも事実である。また一つの特質が消えていく。 次回は、「石ヘンに西」という漢字、読めますか?どんな意味ですか?」(予定)です。 ●はサンズイに耳 中国茶メモ平水珠茶(へいすいじゅちゃ・浙江省)
紹興の東、唐代からのお茶の集積、加工地である平水。 このお茶は、中国国内よりもヨーロッパなどの方が知名度は高いかもしれない。英語の呼び名の方が通りがよい。Gun Powder(銃の弾)の意味。もちろん、形状からこの呼び名になった。 このお茶も本文であげる緑茶の一つ。スモーキーで、ボディが強い味わい、香りがある。
強く、丸く揉捻されている。表面が黒く、光沢があるのも特徴。 |
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