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現在位置:asahi.com>中国特集>鳴小小一碗茶> 記事 「最近、茶館でイチオシのお茶うけは…」2007年12月24日 中国茶評論家・工藤佳治 ――農業の多様化がもたらしたもの
以前、「中国の茶館の今」を紹介した。中国茶を飲ませる喫茶店なので、どこに行ってもありそうだが、それほどはない。日本で、日本茶の喫茶店が少ないのと同じである。一方で、スターバックスやそれに類似した店は、ますます増えている。「外で飲むのならコーヒー」ということで、台頭している。中国産のコーヒーも雲南省で生産されるようになり、一部ではなかなかの評価を得ている。 中国の中で茶館が多い都市は、四川省成都、広東省広州、浙江省杭州である。以前にも紹介したとおり、お茶うけや軽食の「バイキング形式」がはやりで、自由に取りながらお茶を楽しむことになる。茶館の評価は、お茶の美味しさよりも、お茶うけや軽食の豊富さ、充実度によるのでは、と思われるくらいだ。それによって客の入りが違うような気もする。 茶館で自由に取るお茶うけの古くからの定番は、なんといっても「梅」の加工物である。西瓜や南瓜の種と並んで、古くからのお茶うけで「話梅」と書かれる、お話しながら梅を食べ、お茶を飲む、といったお茶うけもある。 乾燥させた梅からいろいろの味つけをしたシットリタイプの梅まで、何十種類もある。共通するのは、甘草を使うものが多く、甘いのがはやりである。紹興酒などお酒類の味つけもある。もちろん、緑茶味から烏龍茶味など、お茶の味付けもある。 そんな中で、最近人気のお茶うけがある。「蕃茄」と書いて、「トマト」である。我々にとって、トマトは野菜であるし、中国でも主流は野菜である。しかし、「フルーツトマト」という表現もあるように、中国でもフルーツの盛り合わせなどを頼むと、中くらいか、小さめのトマトがついてくることがある。 「お茶うけトマト」は、乾燥させて甘い味を少しだけつけたものだ。外見だけでは、梅の一種のようにも見えるが、食べてみるとトマトである。少し酸味もある。 イタリアの「ドライトマト」は、食材として使われるが、それよりはしっとり感がある。かといってジューシーというのではなく、適度にドライである。 周りの人に食べてもらうと、好きな人8割、嫌いな人2割。お茶うけの評価としては、かなりの高得点である。 トマトは、南米の原産である。日本でも、日常食卓にのるようになってから、それほど古いものではない。まして、現在のように多様な種類のトマトが店頭で売られているようになったのは、ここ10年くらいである。 日本にはない、わりにポピュラーな食べ方としてあるのが、台湾の「蕃茄牛肉麺」である(大阪に「トマトラーメン」はあるが)。日本の「ラーメン界」と同じように、台湾では「牛肉麺」が多様な味を店ごとに競いあっている。庶民の手軽な食べ物だ。もちろん、食べるのに列をつくる店も多い。 「蕃茄牛肉麺」は、澄んだスープ。「刀削麺」(包丁で削るように麺を切り、茹でる鍋に投げ入れる)が多く、スープにトマトが入っている。イタリアのスープ麺といった感じで食べられる。 お茶うけに使われているトマトは、「ミニトマト」と呼ばれる小さいものだ。この栽培、生産が中国で行われ始めたのは、知る限り10年ほど前である。当時は、高いものであったし、手軽にお茶うけなどに使える値段ではなかった。比較的安価なお茶うけの材料に使われるほど、大量に生産されるようになったことを意味している。 人気である。おいしい。もちろん中にはまずいものもある。 次回は、「お茶とお祝い事は……」(予定)です。 中国茶メモ武陽春雨(ぶようしゅんう・浙江省)
古くからの銘茶とされるが、日本に限らず中国でも馴染みの少ないお茶である。味、香りの質の高さでいえば、もっと知られ、親しまれてよいお茶だ。 以前に紹介した「開化龍頂」と似たタイプだが、茶葉が少し小さめ。 キレの良さが身上のお茶で、春の出来たてのお茶はフレッシュな爽快感がある。少しフローラルな感じのある香りは、長く残る。後味は、心地よい苦みの後に甘く続く。 |