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豚こそ一番。そしてお茶

2008年11月18日

  • 中国茶評論家・工藤佳治

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――お茶を食べて、おいしくなる?

 写真は、中国茶とは関係ない、スペインの豚、黒豚である。世界でも一番に高価ともいわれる「生ハム」、「ハモン・イベリコ・ハブーゴ・ベジョータ」になる。

「ハモン」はハム。「イベリコ」は、スペインの黒豚の種類・イベリコ豚。「ハブーゴ」は、村の名前。セビリアの西側にある、本当に小さな村だ。イベリコ豚の最上の産地といわれる。スペイン人は、ハブーゴ村の名前は知っていても、どこにあるのかは知らない、と冗談で言われるくらい小さな村は、この豚のおかげで有名である。「ベジョータ」は、最上ランクの呼び名。これが、イタリアのパルマ産生ハムやスペインの「ハモン・セラーノ」よりも高級とされる、生ハムの呼び名である。

 このおいしさの秘密の一つが、豚が食べているものにある。放し飼いにされ、丘を駆け回っている(と言われるが、豚のイメージどおり、よく木陰で休んでいる)。食べているのは、そこにあるコルク樫など2種類の木の実、ドングリだ。そして生えている草。ベジタリアンかどうかは知らないが、それでも肥っている。「ナッツと運動」こそが、世界に誇る生ハムの秘密である。

 それと似たことは、4〜5年前ほどから鹿児島から取り寄せ、食べている豚にも言える。「茶美豚」がブランド名。お茶を食べ、おいしいからこの名前がついたという。鹿児島といえば「黒豚」。そして、最近では有名シェフが競って扱う「プラチナポーク」などのブランド豚が有名。それらとは違って、地元ではスーパーなどで普通に売られているという。

 おいしい豚である。脂がサラッとしているのが特徴。肉の味も、しっかり。値段もブランド豚のようには高くなく、あまり抵抗なく買える値段である。

 この豚のおいしさの秘密の一つは、お茶を食べていることであるという。お茶だけ食べているわけではないだろうが、お茶が影響していることは確からしい。脂がしっかりついていながら、サラッとしているのは、お茶のおかげかもしれない。

 共通していることが、鶏肉にもある。今もあるかどうかわからないが、福島県で飼料にお茶を混ぜ与えた鶏肉を食べたことがある。皮の下にしっかり脂もついていながら、その脂はサラッとして肉も臭みがなくなり、食べておいしかった。

 本題に戻ろう。中国では、肉といえば豚を指すくらい、豚肉はポピュラーな食材である。同じくらい鶏肉もウエイトが大きいが、牛肉は新参者の感じすらする。

 豚肉を使った代表的な料理の一つが、「東坡肉」(トンポウロウ)。日本の「角煮」のもとになったといわれる。今では、お茶の中心地・杭州(浙江省)の名物料理である。もともと、江蘇省無錫が肉を甘辛く煮込む料理で有名なところだ。その影響を受け、宋代の政治家で詩人の蘇軾(蘇東坡)が好んだことから、この名になったと杭州では説明されている。

 これも上海料理の定番だが、「紅焼元蹄」。豚のヒザの肉を、骨ごと甘辛く煮込んだ料理である。中心に太い骨があり、豊富な肉づき、周りの皮もそのままで、ダイナミックな大きさで出てくる。トロトロに煮込んであるので、箸でもほぐせるほど柔らかだ。

 そして「金華火腿」。日本では金華ハムと言われている。材料は豚。「腿」は「もも」。浙江省金華で作られる。イタリアやスペインの骨付きのハムと同じに、食材店の店頭に骨がついてブル下げられているのをよく見る。ハムと言いながら、生で食べることはなく、スープのダシや調味料に近い使われ方をする。

 真偽のほどはわからないが、この豚も茶ガラを食べさせているという。おいしさの秘密になっているのであろうか。

 中国では、肉といえば豚が一番。そしてお茶を食べていると、もっとおいしいのであろう。

 次回は、「白茶は10年周期で話題になる」(予定)です。

中国茶メモ

千島玉葉(せんとうぎょくよう・浙江省)

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 金華ハムを産する金華でもお茶は古くから作られているが、なかなか入手することができないので、同じ浙江省で産する、東坡肉などに適したお茶の一つをあげておく。

以前は、少しスモーキーな感じもする緑茶であったが、最近ではキレもよく感じる爽やかなお茶になっている。

東西に長くせき止められて出来た湖・千島湖一帯で作られる。島が沢山ある湖である。このお茶は1983年から作られている。通常は、扁平な茶葉に仕上げられるが、写真は少し針状になっている。

芳醇な感じで、飲んだ後に爽快さを感じる。香りも長く続く。

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