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昆明合宿所近くの練習コース |
昆明での土佐さんの練習風景 |
それにしても土佐さんという選手はいつも冷静である。今回のアクシデントで思い出したのは、彼女が高橋尚子さんに勝って、大阪世界陸上の代表を決めた昨年11月の東京国際女子マラソン。選考する土佐さんは31キロ近くまで高橋さんにピタっとつかれ、その時点で鈴木監督は「こりゃ、高橋に有利な展開だ」と思ったらしい。ところが土佐さんはその後スピードを維持し、高橋さんを振り切った。また、アテネ五輪の切符をつかんだ2004年の名古屋国際女子マラソンの時も、ケガで1年11カ月走れなかった土佐さんについて、多くの関係者は彼女が名古屋で優勝するとは思っていなかった。ところが本人はスタート前から「必ず優勝してアテネの切符を取る」と確信していたのだ。彼女はいい意味で予想を裏切る選手なのだ。監督は「土佐は人間力があるからな」と顔をほころばせる。今回のアクシデントで土佐さんは一層気を引き締め、世界陸上で北京五輪の切符をつかむのではないだろうか。
ところで、北京五輪までいよいよ1年に近づいた。JOC(日本オリンピック委員会)でも「準備状況の共有と環境情報の提供を通じて、北京対策を考える」ことを目的に7月28日、第1回の会合が開かれた。委員として参加した友人の杉田正明さん(三重大学准教授)から、会合の様子を聞かせてもらった。杉田さんの話しによると、「対策は大きく2つ、環境と食事」。何といっても急増した自動車と環境対策を軽んじた工業化による「大気汚染」が一番の問題。また室内でも安心できず、空調設備の清掃が行われていないことで、エアコンから拡散される汚染物質による空気汚染も問題視されている。そういえば私が出場した84年のロス五輪の時にも、大気汚染が問題となり、選手村は高速道路から離れた場所で市内中心部の風下でない所がいい等、有識者から指摘されていたことを思い出す。
北京五輪対策では加えて、食事も競技が終了するまでは、選手村以外で食べることを禁止しなければいけない状態とのこと。昆明でも、合宿中の選手達が食材ではなく、食用油によって下痢をしたという話をよく聞いた。調査で先行している欧州のある国は、通常開催1週間前に選手村入りするところを3日前にし、選手への悪影響を最低限にする計画だそうだ。
時差も少なく(1時間)、移動も比較的短くてすむ日本選手団は欧米諸国に比べ有利だろう。その上、北京の8月8日〜24日(開催期間中)の平均気温は、朝は23度程度まで下がるものの、日中は東京より高く、約30度。湿度も60%くらいまでしか下がらない。つまり、蒸し暑い気候が欧米の選手の最大の敵になりそうだ。
北京五輪へ向け、情報収集戦はすでに始まっている。
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