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壇上に並んだ北京五輪マラソン代表の(左から)中村友梨香、大崎悟史、野口みずき、尾方剛、土佐礼子、佐藤敦之 |
参加したのは北京五輪日本代表6選手と監督、専任コーチをはじめ約70名。代表6選手が一堂に会するのは、これから北京五輪本番まで、この日が最初で最後となった。2日間の研修会は、暑さ対策や給水の中身や取り方、ケニア選手の話を聞くなど、たいへん充実した内容だったようだ。
この研修会を企画した河野匡さん(日本陸連・マラソン部長)は、「選手には体のメカニズムなどを含め、基礎的な知識を養ってもらいたい。それをベースに練習の中でオリジナルのものにしていって欲しい」という。
今までは、男子だけで開いていた研修会だったが、女子と共に行ったのは今回が初めてという。実際に参加した土佐礼子さんは、「たまには頭を使わなきゃ、とすごく感じました。暑さ対策で絞ったスポンジで体を拭くことが一番いいと分かってよかった」。また野口みずきさんは「長距離で大切な肝機能のことなど、しっかり勉強できました」。選手達の声を聞きながら、私はこういう話を自分自身も含め、多くの人が聞けるチャンスを作って欲しいと感じた。河野さんにその旨を話すと、「今回は部屋が狭かったので限られた人数になったが、次回からは考えます」とうれしい答えが返ってきた。
ところで河野さんは、男子の選考会となった、びわ湖毎日マラソン(3月2日)のテレビ中継で解説したが、その時に序盤で給水を取る選手に対して「選手によっては給水を取ったことで低血糖状態に陥る人もいる」と話した。
私はそんなこともあるのかと驚いた。筑波大学大学院でスポーツ科学、スポーツ生理学などを学んだ河野さんのような人の意見はこれからも積極的に耳にしたい。
振り返れば、私が出場した1984年のロサンゼルス五輪の時、暑さ対策として日本陸連の指導を受けたのは、「暑い中でのマラソンに対応するためには、何よりも暑い中で走ることに慣れること」という考え方だった。強化合宿はニューカレドニアや夏の沖縄で行い、良かれと思ってやったことではあったが、次第に体調を崩し、五輪のスタートラインではヘロヘロの状態だった。水分補給にしても当時は、糖分補給に重きを置いて、はちみつ入りの紅茶などを練習でも本番でも飲んでいた。それが今は科学的に検証され、アミノ酸やミネラルなどが入ったスポーツドリンクを飲むようになった。でも、もっともっと現場の選手や指導者はスポーツ科学や医学の力を借りるべきだと思う。
先日の名古屋国際女子マラソン、9キロ手前で失速した高橋尚子さんはレース後、自分でもどうしてこうなったか分からないと話した。中国・昆明での合宿中にお腹をこわしたのが原因だったのか、本番の7カ月前に右ひざの半月板の手術をした影響だったのか。
知人のスポーツドクターは「手術よりも手術後のリハビリが重要なんですよ。Qちゃんは専門の療法士の下でしっかりリハビリしたのでしょうか」と私に尋ねた。最近は、駅伝でも脚の痛みが原因ではないのに、急に走れなくなってしまう選手がいる。選手はその後病院に検査に行くが、本当は事前にドクターの検診を受けて、体調によって栄養補給も含めて、何に気をつけたらいいのかを理解しておくべきだ。
このような状況から今回の研修会が開かれたのは素晴らしい試みだった。今後、五輪代表選手だけでなく、学びたい気持ちを持つ多くのアスリートがスポーツ科学に触れられる環境の充実が望まれる。
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