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Road to 北京

五輪へのスタートライン 増田明美さん(上)

(04/02)

 日本のスポーツ界は春爛漫(らんまん)の活躍である。先日の世界フィギュアでは、安藤美姫選手、浅田真央選手による金、銀。世界水泳では北島康介選手の金をはじめ、11人(3/30時点)の選手がメダルを獲得した。世界地図の中で日本という国を見れば、ほんの小さな島。世界の人達はそんな日本の活躍を、不思議に感じているのではないだろうか。

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 さて、陸上競技も8月に大阪で世界陸上が開かれる。マラソンではこの大会が北京五輪選考の第一歩となる。オリンピックへのスタートラインだ。五輪金メダリストの高橋尚子選手、野口みずき選手は、共に世界陸上には出場しないが、残りの三つの選考レース(東京、大阪、名古屋)で北京を目指す。先日、高橋選手に湘南で会った時、彼女が「北京五輪の選考レースは全部出場したい。いかなるチャンスにも賭けたい」と言うので、「Qちゃん、選考レースの2回目、3回目は評価が落ちるけど…」と、私は伝えた。陸連で選考レースへの複数チャレンジは評価を落とすということが決まったばかりだったから。すると、高橋選手は「へぇー、そうなんですか」とびっくりした様子をみせながらも、あっけらかんとした表情。この“自分の道に明るくまっしぐら”というところがいかにも彼女らしい。そんな高橋選手について、先日、瀬古利彦さんが「コーチを雇って競技に専念できる環境を」と言ったが、私は反対意見である。彼女はそれを百も承知であって、競技だけに専念した環境の中で既にシドニーで金メダルをとっている。更にマラソンで求められる強さ、大げさに言えば“人間力”を身に付けるために選択した環境が、現在のチームQなのだ。決して表には見せない、勝つことへの深い執念を持った選手である。失敗を繰り返しながら、自力で北京五輪のスタートラインに立った時、身震いするような走りを見せてくれるのではないか。

 いっぽうの野口選手は、アテネ五輪後、更にスピードに磨きがかかる。トラックレースやハーフマラソンに積極的に挑戦し続け、昨年2月の丸亀ハーフマラソンでは福士加代子選手に次いで2位でゴールし、自身の持つ日本記録を更新した。レースで“失敗がない”。しかし、今年1月半ば、左アキレスけんを故障。自らのマラソン日本記録更新を目指したロンドンマラソンを断念し、約1カ月休養。初めて味わう“焦る気持ち”と戦った。「これからどう立ち上がっていくか。精神的に更に強くなるでしょう」と、広瀬コーチは話す。早々と目標を11月の東京国際女子マラソンの一点に絞り、3月29日、熊本への合宿(4月半ばまで)に旅立った。北京への第一歩。強い心の野口選手、東京のレースが楽しみだ。

顔写真

増田 明美(ますだ・あけみ) スポーツジャーナリスト

 1964年、千葉県生まれ。成田高校在学中、長距離種目で次々に日本記録を樹立する。1984年のロス五輪に出場。1992年に引退するまでの13年間に日本最高記録12回、世界最高記録2回更新という記録を残す。現在はスポーツジャーナリストとして多方面で活躍中。2006年にはタイ・プーケットでマラソン大会を開催し、スポーツによる国際交流にも注力。大阪芸術大学教授、文部科学省中央教育審議会委員、新健康フロンティア戦略賢人会議委員なども務める。

公式サイトは「増田明美's Home page」 http://www.akemi-masuda.jp/別ウインドウで開きます

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