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胴上げ後、選手に担がれる星野仙一監督 |
台湾からテレビ中継された北京五輪の野球アジア予選決勝リーグを見て、それが今大会に臨む日本代表チームに共通した感じ方、考え方だったのだろうと思った。3日夜、台湾戦を制して「北京切符」を手に入れたときの星野監督はじめメンバー全員の表情から、そんな印象を強く受けた。
1日の初戦相手は1次リーグを勝ち上がってきたフィリピンで、10―0のコールド勝ち。力の差は明らかだったが、失点の許されない戦いであり、先発登板の若い湧井(西武)には貴重な経験になったことだろう。
2日の韓国戦は、まれに見る厳しい戦いだった。昨年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本は、優勝しながら韓国には2度も敗れている。絶対に負けるわけにはいかない試合だったが、まさに大一番だった。
1回に本塁打で1点の先制を許す苦しい立ち上がりの中で、2回にチーム初安打となる左翼線二塁打を記録した新井(広島)、三遊間突破の同点打を放ったサブロー(ロッテ)、そして森野(中日)の二ゴロが敵失を誘って勝ち越し点。そして、何より相手にダメージを与えたのが3回に阿部(巨人)の左前適時打で上げた3点目だろう。
この阿部は、8回にも先頭打者として4点目のきっかけとなる二塁打で大きな仕事をした。大会を通じ、4安打、3安打、3安打で7割6分9厘の高打率をマークして首位打者とMVPに輝いたのだった。
それにしても韓国は、10年がかりの「日本を倒す」というスローガンのもとで計画的に強化されたチームだけのことはある。簡単には引き下がらない好チームだった。
先発・成瀬(ロッテ)のあとを受けた救援陣の川上、岩瀬(ともに中日)、上原(巨人)の豊富な経験の前に反撃をたたれ、結局、日本が4−3で競り勝った。とはいえ、韓国は以前に比べてチーム力が確実に向上してきている。日本は今後、このライバルと一層の厳しい戦いを強いられることになるだろう。
そして、北京切符を手に入れた台湾戦。この試合では投手心理の微妙な側面を見せてもらった。6回まで1失点の好投を続けていた台湾先発の陽が、味方打線に2−1と逆転してもらったとたん、次の7回にもろくも崩れた。救援も含めて、この回、6失点。大勢は決した。
陽は、球場全体の期待感につぶされたのか。それとも疲れによる限界だったのか。いずれにせよ、投手心理の難しさだった。一方で、わずかなスキにつけ込み、一気に攻撃を仕掛けた日本の打者たちの技術も評価したい。結果的には10―2の大勝となった。
アジア予選で出場権をつかんだことで、来年8月の五輪本番に向け、日本はゆっくりと確実に強化計画を練る時間ができた。今回、2位以下に甘んじて来春の世界予選に回らざるを得ないケースに比べると、その差は計り知れない。
ただし、出場権の確保は金メダル獲得のための戦いが始まったに過ぎないのも事実だ。五輪の舞台では、さらに厳しい戦いが待っていると思うが、このチームに浸透しつつある日本らしい野球に徹して五輪の頂点をめざしてほしいと切に願っている。
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