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以食為天―食で読む中国

連日の満員、北朝鮮「直営」店

朝日新聞編集委員:加藤千洋

 北京はさすがに首都だ。中国各地の特色ある料理がいながらにして味わえる。それだけではない。四半世紀となった改革開放政策の成果の一つと言えるだろう、世界各国の代表的な料理もほとんどが食べられるようになった。

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北朝鮮から来た女性服務員が、歌と演奏で客を楽しませる
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写真入りのメニュー。魚介類の食材には北朝鮮産も=いずれも「海棠花平壌冷麺館」で加藤写す

 「中国人は生魚を食べない」というのは昔の話。いまや日本料理店が400〜500軒もあるというから驚きだ。それに負けず劣らず多いのは焼き肉を中心とする韓国・朝鮮料理店だろう。

 で、過日探訪してきた、その中の異色の一軒にご案内したい。北京市朝陽区で盛業中の「海棠花(ヘダンファ)平壌冷麺館」である。

 北京空港方面に通ずる大通りに面した店舗はなかなかの構え。1階は焼き肉テーブルが10卓ほど並び、2階には個室が十数室ある。地下は大小の卓があり、収容人員は100人ほどだ。

 なぜ異色かというと、北朝鮮政府が実質的に経営する店だからだ。地下では本国からやってきた女性服務員が注文を聞き、料理や飲み物をサービスする合間に歌やアコーディオン、電子オルガンの演奏を披露する。

 それを目当てに連日ほぼ満員。客の6〜7割方は北京に駐在するか、観光でやってきた韓国人。残りが中国人2割と日本人1割といった見当だ。

 メニューに店の案内があったが、8人の「高級調理師」は平壌の高麗ホテル、羊角島国際ホテル、それに冷麺(れいめん)専門店の玉流館からの派遣。そして「純朴、上品かつ美しい17人の女性服務員」も平壌出身という。

 制服は白いブラウスに紺色のワンピース、それにかかとの低い革靴と、いでたちはいたって地味だが、全員が胸に北朝鮮国旗のデザインに顔写真と名前を入れたバッジをつけ、きびきびと働く。

 ひと渡り酒食を出し終わった夜8時から1時間がショータイム。女性たちが交代で小さなステージに立つ。民主化運動が活発だった70年代に学生たちがひそかにうたった歌や「木浦の涙」など「南」の曲が披露されるたびに、韓国人客から大きな拍手や歓声がわく。

 中国の流行歌を中国語で歌い、最後を締めるのは、やはり「北」の歌だ。「統一アリランの歌」、そして「同胞の皆様、南の皆様、お会いできてうれしい……」とマイクを手に、客席を回って盛り上げる。

 場所柄、さすがに金日成、金正日父子をたたえる政治色濃厚な曲はないが、ステージの背に描かれた緋(ひ)色の花は、北で特別視される「金正日花」というベゴニアの新種にそっくりだ。

 そうそう肝心の料理の味はというと、日本海産の毛ガニ料理が260元(約3500円)と高かったが美味。キムチやプルコギ、おすすめの冷麺もまずまず。

 歌い終わるたびに「カムサハムニダ(ありがとうございます)」という女性たちの笑顔が印象に残ったが、店を出た後、同行してくれた中国人の友人がつぶやいた。

 「明るい彼女たちが、北へ戻ると暗い顔になるんだろうなあ。中国も一昔前はそうだった」

(03/01)





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