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漫歩寄語

犬も飲み込む中国(下)

文・写真 于 前


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食べても撫でても

 青年は犬にお酒を飲ませ、犬が酔っぱらった時に殺した。その夜、犬を殺した青年は仲間十二人ぐらいも呼び、犬鍋を囲った。農村では簡単に犬肉が食べられると思った私たちは、青年の仲間たちが突然やって来た意味を理解できなかった。

 犬を殺す青年を見て、私は怖いと思った。みな突然黙ってしまって、その場所に緊張感が溢れた。彼らは我々のお金を奪おうとしているのか、犬だけが食べたいのか、それとも犬が食べられてしまうので怒っているのか。判断できずに嫌な雰囲気になった。

 人々の平等を目指す余り、不現実な考えを持っていた私は、田舎の青年を見て、我々人間の間でも心の中は平等ではないことを強く感じた。

 結局、簡単な話だった。その村の青年たちにとっても犬肉は珍しいから、どうしても味見したかったようだ。その犬の味は、一生忘れられない。

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 その後、北京では犬肉も気軽に食べられるようになった。相反して、人々の寵愛を受けている犬の数も増えてきた。犬を抱いて歩く中国のプチブル族たちの笑顔に、春が来ているように見えた。

 北京の自家のマンションでも、いくつかの家庭は犬を買った。偶々、犬を買った家の人たちは続々と離婚したので、近所に噂が走った。彼女たちが自分の愛情を犬にあげたから、旦那さんは逃げたのではないかと。

 伝われば伝わるほど、話はひどくなった。若い世代に比べ、古い世代の人たちにとって犬の地位は、ばつが悪い。

 マンションのN階に、犬と一緒に暮らしている女性がいた。彼女の家の犬が煩わしく、だれか階段を通ると必ず叫びだす。私の両親は、そこを通ると怖いから外に出ない時期があった。

 日本にいる私は、インターネットで北京市の規則を調べた。面白い発見ができた。北京市では海淀区、朝陽区、西城区など8つの区が重点地域になっていて、一つの家庭は一匹の犬しか養うことができないのだ。

 犬のサイズにも制限があった。それを満たしていないと抗議できることを両親に話したら、問題はすぐに解決した。

 一人子政策の中国で、犬も一匹しか育てられないのは、不思議に面白い。

 でも北京にいる友達は、その規則を知る人が少ない。私の話にはみな半信半疑の表情をする。

 良し悪しは別として、中国で犬を養うことは、もう金持ちの特許ではなくなった。

 この間、北京の胡同の写真を撮った。一番強く印象に残ったことは、どこでも犬が走っていることだ。人に向けて写真を撮ったら怒られるのに、犬に向けてシャッターを押したら、犬の持ち主は明るい笑顔を見せてくれる。日光の下で一片の平和が見えた。

 2008年のオリンピックは、北京で開催する。中国人が犬を食べることへの抗議をめぐって、国内でも論争になると思う。

 この習慣は辞められますか、と周りの友達に尋ねたら、全員ノーと答えた。意見はそろっている。「だって美味しいだもん」

 ペットと食用犬は違うものだと考えている中国人は、まだ多い。


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(02/27)





于 前(YU QIAN)

中国北京生まれ。フォト・ジャーナリスト。現在は東京を拠点に、中国大陸、香港、台湾の雑誌などに日本をテーマとした記事や写真を発表している。著書に「チャイニーズレンズ」(竹内書店新社)。



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