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漫歩寄語

結婚攻防戦(下)

文・写真 于 前


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●子に替わってでも

 親たちは子供の許可をもらわず、親同士で話し合っていた。自分の子に条件が合いそうな人が現れたら、その人の写真をもらって家に帰り、「仲の良い知り合いの紹介で」と“小さい嘘”をつけば、子供をうまうまとお見合いに乗せられる。この親の策略は北京から始まり、地方まで広がって、親たちの間に人気を呼んだ。

 このようなお見合いに効果があったかどうかは知らない。親たちが一方的に盛り上がったことは、私から見ればとてもユーモラスで、現場を見てみたいと思った。

 北京に帰った私は、さっそく調べてみた。子供に代わってお見合いをする名所のひとつは「紫竹院」公園だった。運良く、その公園は自家から15分ぐらいの距離しかない。朝早く起き、興味津津に公園へ向かう私を見て、両親は最初まったく反応を示さなかった。

 ところが、3日連続で公園に行っても写真を撮れなかった私を見て、両親は中国人の親たちが持つ責任感を発揮し、「明日、一緒に行きましょう!」と言い張った。

 両親と一緒に公園へ行った日は、天気も負けまいとがんばってくれた。青い空に少しの風もなかった。今度こそ写真を撮るチャンスを逃さないために、私たち3人は朝の7時に紫竹院公園に着いた。

 紫竹院公園は北京を観光する人たちもあまり訪れない場所で、西北の近郊にある。朝に太極拳、ヤンコ踊り、運動をする人が多い。公園には各種類の朝ごはんも用意されていて、大きな鍋の中をお粥が熱気で転げ回っている。まるで「人民公社」に戻ったような画面を見て、両親も更に元気になった。

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 3人は公園の中で1時間うろうろしたが、お見合いがあるらしい場面は出てこなかった。「何もなさそうなので帰りましょう」と私が言うと、突然、母は私たちから離れて早足に歩きはじめた。同じ年代のお婆さんをつかまえて尋ねた。「この公園では子供のためにお見合い集会をやっているらしいね! 場所はどこですか?」

 「そう! 有ります、有ります。1回だけ見たことがあります。お宅は娘ですか? 息子ですか?」

 「えっ、息子です」。母の嘘は意外に反応が早かった。

 「条件は?」

 私に聞こえるために母はわざと大きな声で話しをした。

 「……ね! どうして結婚しないのかしら?」

 母の嘘もすぐ崩れそうで、父が加勢して「場所はどこですか?」

 「皆が踊っているところ。毎日やっているんじゃなく、週末とかが多い。息子の年はいくつですか?」

 「もう若くはないんです」

 独身の息子など存在していないのに、信じられないことに3人の話は盛り上がった。さらに恥ずかしいことに、何人かの親たちが集まってきた。しばらくすると、その臨時集団も動きだし、お見合いをする場所へ移動した。

 残念なことに、その日は本格的な公園お見合いを見ることができなかった。でも、母が突然知らない人をつかまえている瞬間が、私の目に焼きついてしまった。その時、私は分かった。自分の子供のために公園に来ている親たちのやっていることは、単にユーモアではなく、遊び半分で子供の相手を探しているのでもない。親というものは、自分の子供のためなら、いくらでも勇気があるのだ。

 3つの高い「年齢が高い、給料が高い、学歴が高い」と言われる未婚女性が中国で増えている。しかし、もっと深刻なことは「親は黙って。私の生活に干渉しないで」という思想の方だ。中国の親たちは、何よりも寂しさを感じている。

(04/03)





于 前(YU QIAN)

中国北京生まれ。フォト・ジャーナリスト。現在は東京を拠点に、中国大陸、香港、台湾の雑誌などに日本をテーマとした記事や写真を発表している。著書に「チャイニーズレンズ」(竹内書店新社)。



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