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漫歩寄語

希望の色(2)

文・写真 于 前

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 青年は我々の話を真剣に聞いていたという。同じく大学出身の人間として、Fさんの世界には映画、夢、明るい未来がまっているように感じた。それに比べると自分は、魂を売っている生き方をしているではないかとショックを受けて悲しい、と。

 盛り上がってしゃべっていた時に、その青年には全然気がつかなかった。存在感が薄く、どこにいたのかも思い出せない。普通なら嫉妬するという気持ちは同じ生活範囲の人の間に起こるものだと私は思っている。この青年のように、全く知らない人の話を聞いて妬く態度は、精神的に健康ではないと私は思った。
再び青年の方を見ると、痩せた若者は頭も動かさずに窓の外を眺めていた。

 後の会話で、青年が旅行会社のガイドの仕事をしていることがわかった。今回、北京から内蒙古のツアーに参加しているお客さんと一緒に列車に乗った。お客さんの顔見るだけでストレスを感じ、一緒にいた別のガイドに頼んで、自分だけ離れた場所に「逃げた」。

 「僕は魂を売って、客をだまさないといけない」と青年は何回も口にした。
嘘をついて生きてはいけないと毎日つらい思いをしている。青年は言った。「大学では旅行文化を専攻した。夢を見る毎日は水の泡のようなもので、今は仕事で、毎日お客さんに風水について話をしている」

 お客さんの好感を得るために、家族にさえ示さない情熱を全く知らない人に注いでいることを辛く感じているという青年は、自分の生活を「お金のために動く金銭の奴隷だ」と否定した。
 暗いオーラを持った青年を見て、私は我慢できずに口を出した。
 「仕事で様々な場所に行けて、自分の力で生活するだけでも成功しているのではないですか?」
 「違います。僕はお客さんの前で嘘や伝説を話している。例えば、龍は九頭の子供を産み、九番目の子供はいくら食べても排泄しない。そんな話を引き合いに出し、お守りになる物を紹介する。それを家に持っていけば、お金も外に出られなくなって貯まる一方で縁起が良いと勧め、高価な品を買わせている、お客さんが買えば僕の財布にもお金が入ってくる。そんな毎日は辛いものです」

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 青年は内蒙古に着くまで、文句を言い続けた。
 Fさんはぎりぎりになって起きてきて、内蒙古のすべてを楽しもうとニコニコしていた。
 もう一人の青年は最後まで暗い表情のままだった。

 内蒙古の草原を見た時に、私はFさんのことではなく、暗い青年のことを思い出した。
 彼はこれからどうやって仕事を達成していくのだろうか?
 こんなきれいな草原も、青年の目には絶望的に見えるのかしら?
 青年の口にした縁起ものとは何かしら?

 暗い青年とFさんの違いは努力だけですか?社会に向う態度ですか?

 草原からネオンの色に染まった空間に戻った時、私のイライラする気持ちはようやく落ち着いてきた。
 ネオンの色が見えないという両親は、単に年をとったのではなく、そこに神経を使ってないということだと思うようになった。
 そう考えてピンク色を見れば、怪しげな色も微笑んでいるように感じられた。
 私は北京人として、今の北京でまだ知らないことが多い。

 北京にいる間、何回も暗い青年に電話しようと思った。
 しかし、電話をする前に私はツアー客として、彼が教えてくれた場所を訪ねに行った。

 (次回に続く)

(05/19)





于 前(YU QIAN)

中国北京生まれ。フォト・ジャーナリスト。現在は東京を拠点に、中国大陸、香港、台湾の雑誌などに日本をテーマとした記事や写真を発表している。著書に「チャイニーズレンズ」(竹内書店新社)。



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