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裏スポットから見た五輪

2007年11月07日

文・写真 于 前

 青空を背景に、2008年夏オリンピックスタジアムを撮るために北京に帰ってきた。

 期待を胸に、まず開閉式会場である北京国家体育場に足を運んだ。「鳥の巣」という愛称を持つ変わった建物を一目見ておきたいという魂胆だ。

 訪ねる前に入念な事前準備をしようと、資料を手にしていたら、北京で日本人が作っている日本語情報誌の中に競技会場に関する情報をたくさん見つけた。

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 中国では、「鳥の巣」は雑誌で詳しく紹介されていない。どうしてだろう?

 北京に住む友達に聞いてみたら、「そんなに急ぐ必要はないでしょう」と逆に諭された。

 「北京にあるのだから、スタジアムは逃げないし、見たいならいつでも見ることができるでしょう」

 ところが、具体的な場所を尋ねると、すぐに説明できる人は案外、少ない。迷いながら車を走らせているタクシードライバーも少なくない。

 ある日、オリンピックスタジアムを撮影するために車をチャーターした。運転手は直ぐに「鳥の巣」の場所がわかってくれた。一安心だ。

 今年、生でスタジアムを見るのは最後になるかもしれないと思ったら、そわそわしてきた。

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 「注意してください、そろそろ鳥の巣が視界に入ってきますよ」と運転手。指さす方向へ視線を送り、「鳥の巣」を探した。

 あった、あった。確かに。これがテレビや新聞でさんざん目にした「鳥の巣」だ。でも周囲に目をやると、現地はまるで工事現場だ。

 どんなに撮影場所を変えても、レンズを調整しても、結局、「工事現場」の写真しか撮れない。

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 しかし、待てよ。確か「鳥の巣が完成」というニュースをテレビで見た記憶がある。この時、「鳥の巣」の映像も流れた気がする。ということは、工事は完成したのではなかったか。

 北京の友人に顛末を現地から携帯電話で報告した。友人は全く驚くこともなく、静かな声で話した。

 「テレビの映像はマスコミ向けよ。きっと特別な場所から撮影したのでしょう。誰でもオリンピックスタジアムの近くにいけたら、それはそれで安全上、よくないでしょう」

 友人の話と目の前の風景を見て、うなだれている私を見て、運転手が何か決心したように車に戻っていった。

 「とにかく、まず行けるところまで行ってみましょうよ」

 ところが、車を走らせて2分間もたたないうちに、私達を追い出そうと厳しい表情で警備員が飛び出してきた。

 「ここで問題を起こしたくない」。私がこう話してあきらめかけたら、運転手が提案した。

 「裏スポットに行きましょう」

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 巧みなハンドルさばきで、ポールやフェンスが並ぶ道路を縫いながら、到着したのは道路上の小さなスペース。脇に鉄の柱が横たわっている。横に5人ほど並んで立てるだろうか。「先客」の外国人が、突然やって来た私を笑顔で迎えてくれた。

 私もその鉄の柱の上に上がって、高いところから「鳥の巣」を注視した。

 予想をはるかに越える規模の工事現場が突然、目の前に現れた。

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 しばらくこの場所に立って、観察したところ、ある発見をした。ここに足を運んでくる人はみんなニコニコと穏やかな表情をしている。あの警備員のように厳しい顔つきの人は誰もいないのだ。

 後日、日本人の友人をこの観覧スポットに3回招待し、「鳥の巣」をたっぷりと見てもらった。

 その後で、野球会場となる五●松や北京国家水泳センターも見に行った。しかし、どこもまだまだ自由に入ることができない。「鳥の巣」のような「裏スポット」も見つけられないままだ。

 日本に戻った私は繰り返し同じことを考えている。

 いつ、真正面から堂々とオリンピックスタジアムを、見学できるのかしら?

 ※●は木へんに果

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