日本人も数多く住む中国・四川省を12日午後、大きな地震が襲った。強い揺れに、市街地では人々が建物から飛び出した。つながらない携帯電話、渋滞する道路、崩れる建物――。朝日新聞の電話取材に、被災者らは「こんなことは初めて」などと恐怖を語った。
成都市南部の四川大学。市内のユースホステル老沈青年旅舎で住み込みのアルバイトをしている日本人留学生、三好雅人さん(35)は教室で中国語の授業を受けていた。
小さな揺れの後、突然大きく横に揺れはじめ、壁の表面がボロボロと崩れた。中国人教師と、アメリカ人や韓国人の生徒7人は全員あわてて外に飛び出した。揺れは2〜3分続いたように感じた。「震度4は日本で経験があるが、それ以上に揺れて驚いた」
授業は中止に。幹線道路は交通渋滞がひどく、救急車のサイレンがあちこちで鳴る。携帯電話も不通になった。多くの市民が道ばたで不安そうに情報交換をしていた。
オートバイ部品メーカーの合弁会社に勤める邦人男性(45)は、市郊外の会社で地震にあった。向かいのマンションでは、壁のタイルが落ちた。「震度5ぐらいあったんじゃないか」。従業員を外に避難させ、この日の仕事は休みにした。
夕方6時までに、少なくとも3回揺れを感じた。ラジオからは「旧市街地のビル20棟が倒壊した」との情報が聞こえた。市中心部は一部の幹線道路が通行止めになった。
振り込み手続きで、成都市内の銀行にいた日本語学校校長、沈健さん(47)は客や行員ら数十人とともにあわてて屋外に避難した。揺れが収まってから銀行の建物を見ると、幅5〜10センチもあるひび割れが、地上から6階建ての最上部まで走っていた。
業務停止だと銀行から言われ、書類を置いたまま引き揚げた。生徒、日本人講師と学校は無事だったが、「何カ所も建物が崩れ、火事も起きていると聞いた。こんなことは初めてだ」と話した。
震源地から千数百キロ離れた北京も揺れた。
20階建てのビルの2階に入る出版社で働く日本人女性は座ってパソコン作業をしていて、30秒ほど緩やかな揺れを感じた。「最初はめまいかと思ったが、ほかの日本人も気づいたので地震とわかった。たまにしか起きないのでびっくりした」。地震が少ない北京では、気づいた中国人は少なかったという。
「上海の高層ビルに避難命令が出た」。米系広告会社の上海事務所に勤める鈴木庸介さん(30)は午後3時半ごろ、こう言われて初めて地震があったことを知った。オフィスは40階建てビルの21階。窓の下の公園は、ビルから避難した人であふれていた。
地震の影響で現地からの直接情報は乏しく、被害の全容は不透明だ。日本の旅行会社は現地の情報収集に追われた。近畿日本ツーリスト(東京都千代田区)が企画した臥竜、成都4日間のツアーで、12日朝に広島空港を出発した2人は、同日中に上海から空路で成都に入る予定だったが、地震の影響で急きょ重慶に変更された。広報担当者は「重慶に入ったことは確認されている」という。
西遊旅行(同)が12日午後4時ごろ、四川省の隣の雲南省・昆明にある旅行会社に問い合わせたところ、「成都にある旅行会社とは、電話が不通で連絡が取れていない」と言われたという。
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