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ハンブルガーSVの本拠、AOLアレーナ。W杯の影響で、この名称も変わる=写真は内田写す |
スポーツは今や、ビジネスです。世界最大のイベントとも言われるワールドカップ(W杯)ともなると、その利権争いは熾烈を極めます。
ハンブルクも例外ではありません。地元ハンブルガーSV(HSV)の本拠地AOLアレーナが、そのごたごたに巻き込まれました。W杯開催まであと1年と迫った6月、W杯の試合会場から外されるという事態に陥ったのです。
理由はスポンサー問題。AOLアレーナは、その名の通り、世界最大のインターネットサービス会社アメリカオンライン(AOL)がスタジアムのスポンサーとなっていて、社名をそのままスタジアムの名称として使用しています。
ところが、W杯を主催する国際サッカー連盟(FIFA)が、この名前を問題にしました。FIFAは巨額のスポンサー料と引き換えに、15の企業をW杯のオフィシャルパートナーとして認めています。この15社の中に、インターネット業界からは、米検索大手のヤフーが名を連ねていたのです。
オフィシャルパートナーを保護するという名目で、FIFAは「AOL」のロゴをスタジアム名から外すだけではなく、「AOL」のすべてのロゴを会場から排除することを求めました。それは、従わなければ、W杯の会場から外すという厳しい内容でした。
W杯の会場を取り消されるわけにはいきません。最終的には、HSVとAOL、FIFAが話し合い、大会期間中は会場からAOLの広告やロゴをすべてなくすことで合意、予定通りハンブルクでW杯は開催されることになり、市当局もファンも胸をなでおろしました。
HSVに問い合わせたところ、AOLとの5年契約が終わる来年5月をもって、スタジアム名をAOLアレーナから、W杯スタジアム・ハンブルクに変更するそうです。ただし、W杯終了後の名称については未定です。AOLが戻ってくるのか、他の企業がスポンサーになるのか、水面下での交渉は始まっているといいます。高原選手が活躍しているHSVですから、日本企業がスポンサーとして名乗りを上げることも十分に考えられます。
このスタジアムはアウトバーンからよく見えます。ハンブルクに入ったとたん、スタジアムに大きく掲げられた日本企業のロゴが飛び込んでくるというのも、日本の人にとってはおもしろいかもしれませんね。
W杯をめぐるスポンサー問題は、ほかにもあります。
ドイツといえば、ビールの国。W杯でドイツを訪れるサッカーファンの中には、試合はもちろんですが、ドイツの各都市で、いろんな地ビールを飲みまくるぞ、という人も多いはずです。ミュンヘンではヴァイツェン、ケルンではケルシュ、そしてハンブルクでは、HSVの公式スポンサーでもある銘柄「ホルステン」などと、ブンデスリーガの試合では、各スタジアムには地元ビールが用意されています。
でも、W杯では、そうはいかないのです。スタジアムで売られるビールは、W杯の公式スポンサーである米国産ビール「バドワイザー」だけ。
えーっと落胆する声が聞こえてくるようです。が、朗報もあります。バドワイザーの「バド(Bud)」と名称が似ているとして、ドイツ国内での「バド」使用禁止を裁判で勝ち取っていたドイツのビール「ビットブルガー(ビット(Bitt))」が、国内での「バド」名称使用を許可する代わりとして、W杯スタジアムでのビール販売権を勝ち取ったのです。
ドイツビール代表のいない、W杯なんてね。ともあれ、ビールに関しては、消費量、生産量ともに世界最高レベルを誇るドイツの面目はどうにか保たれたようです。
さらに、オフィシャルパートナーに韓国の自動車メーカー・ヒュンダイが入っていることから、通常使われているメルセデス・ベンツ社のスタジアム送迎バスが問題になりました。もっとひどいものもあります。地元チームのユニフォームなど、オフィシャルスポンサー以外の企業名が縫い込まれている服を着て行く人は、企業名が見えないよう裏返しに着用すること、などなど様々なスポンサー問題が今、ドイツでは取り沙汰されています。一体どこまで規制されていくのでしょうか。
私としてはどれもこれも、行き過ぎのように感じてしまうのですが、HSVのスタジアム名変更問題も含め、ドイツ国内では、それほど強い反対意見が出ているわけでもないようです(ビール問題は例外!)。サッカーもビジネスとして扱われる最近の流れの中では、スポンサーを守るというFIFAの姿勢も仕方ない、反対のしようがないというところなのでしょうか?