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「生活圏」侵したら、離婚の危機

2005年06月15日

 芸能人の離婚会見で、「性格の不一致」というのを、よく耳にします。でも二人の性格が完璧に一致したりしようものなら、それも逆に、ちょっと恐い感じがします。まあ、「ソリが合わない」とか「フィーリングが合わない」といった程度の意味なのでしょう。

 ドイツでは離婚の理由として、「生活圏の侵害」というのがよく挙げられます。「生活圏」――ドイツ語では「Lebensraum, Lebenskreis, Lebenssphaere」などと言われます――、直訳してしまうと、自分が生活している場所とか生きている世界、テリトリーといったところでしょうか。

 ドイツ人に言わせると、自分が自分らしい人生を歩んでいくのに必要な世界といった意味を持つようです。

 確かに、共同生活というのは、新婚で熱々の時代はいいけれど、長くなってくると、自分のペースと相手のペースがうまく合わなくて困ったり、お互いに干渉しすぎて疲れてしまうということはままあります。

 お互いに適度な距離を保って、関係を続けていくためには、それぞれが自分の世界を持っていないと困ったことになると考えると、この「生活圏」という言葉の重要性が分かってきそうです。

 この言葉に、さすが、周りの国と陸続きの狩猟民族の発想だなあと感心しているのは、私だけでしょうか。狭い島国の日本の場合、一緒に暮らす二人は、考え方や感性、価値観、そして性格までも一致している方がいいと、一般的には考えられていますよね。

 でも、ドイツ人は、そもそも相手は別の人間、考え方も感じ方も違うはずで、そんな違った人間同士が同じ屋根の下に暮らすのだから、それぞれの不可侵領域をまずは確保しないとだめだというのです。

 それゆえ、その大切な「生活圏」が侵されたと感じた時は、離婚の十分な理由になるわけです。個人主義というのは、個々人のテリトリーを互いに尊重するところに成り立っている、そう思えます。

 逆に、一致を理想とする日本は、お互いの寄りかかり合いの上になりたっている社会なのかもしれません。

 それにしても、ドイツの街を歩いていると、川べりではもちろん、街角や電車の中でも、人の眼など気にせずに、手をつないだり、キスしたり、抱き合ったり、熱いスキンシップをかわすカップルだらけで、眼のやり場に困ります。

 行ってきますと言ってはキス、お帰りなさいと言ってはまたキス、彼氏や彼女の間だけではなく、親戚や友人同士の挨拶にもそんなスキンシップを交わす習慣には参りました。なんで、それほど親しくもない人にまで、ほっぺにキスされなくてはならないの、とちょっとうんざり。でもよく考えてみると、お互いが個人としてのテリトリーをしっかり守っているからこそ、いつも愛情確認をしていないと、彼らは不安になるのかもしれません。


プロフィールプロフィール

プロフィール

鈴木 晶子(すずき・しょうこ)

 京都大学大学院教育学研究科教授。上智大学文学部、同大学院文学研究科修了。1982年から1989年までドイツ・ケルン大学に留学。戸板女子短期大学助教授を経て、1997年から京都大学教育学部助教授、2003年から現職。専門は教育哲学、思想史、死生学。

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