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コラム「The Road 2010年W杯南ア大会へ」

遠藤 飄々ヤット、泥臭く

2009年10月9日

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写真5月のベルギー戦でCKに備える遠藤=越田省吾撮影

写真9月のオランダ戦でフンテラール(18)の突破を阻む遠藤=オランダ・エンスヘーデ、上田潤撮影

 いつもは冷静な遠藤保仁が、少し、いらついていた。

 9月9日、オランダ・ユトレヒトでのガーナ戦。後半34分にFW岡崎慎司(23)が3―3に追いつくヘディングシュートを決めた時だ。「誰もオカのところへ行かなかった。体を張ってボールを運んで奪ったゴール。みんなで喜ぶべきだと思う。チームが一つになるには必要なこと」。日本代表81試合出場の29歳が、真っ先に駆け寄った。

 「得点した選手のところへ走るようになったんだね。積極的になった」。遠藤を小学生時代に指導した、鹿児島・桜島中サッカー部監督の藤崎信也(48)は、最近の教え子の変化を感じ取った。鹿児島実高時代の恩師、サッカー部総監督の松沢隆司(68)も言う。「遠藤がスライディングしたのは1度しか思い出せない。力はあるのに、泥臭いプレーをしないから腹が立った。挫折と出会いが、闘志を引き出したのだろうな」

    ◇

 小野伸二(独ボーフム)、稲本潤一(仏レンヌ)らと同じ「黄金世代」。99年ワールドユースでは主力MFとして準優勝した。しかし、日本が8強入りした00年シドニー五輪は補欠。チームに同行したが練習は別で、試合を観客席から見守った。「みんなの活躍を見るのは、悔しかった」

 シドニー後、代表候補に選ばれても出場メンバーに入れない日が続いた。「使わないのなら、呼ぶなと言いたい」。父の武義(61)は、食事中に息子が漏らした一言を覚えている。「ヤット(遠藤)のぼやきを聞いたのは、後にも先にも一度だけ」。02年日韓W杯のメンバーからも漏れ、代表入りした06年ドイツW杯ではGK以外で唯一出場機会に恵まれなかった。

    ◇

 ドイツW杯後、J1千葉を率いたイビチャ・オシム(68)が日本代表の新監督に就いた。「もう呼ばれないと思った」。千葉のサッカーをみていて、走らない選手は不要というイメージを持っていた。「運動量が少ない」と言われていた自分とは正反対のスタイル。だが、オシムは遠藤を選んだ。

 個人の力だけでなく、複数の選手が連動して局面を打開するのがオシム流。ガ大阪監督の西野朗(54)が「高い技術と判断力で、常に2手、3手先を見ている。ほかの選手と回路が違う」と絶賛する遠藤は必要だった。

 「運動量が無くても頭を使えばボールは回る」と思っていた遠藤に、オシムは何度も語りかけた。「チームのために走りなさい」。飄々(ひょうひょう)とパスをさばいていたプレースタイルが、変わり始めた。「自分が動けば、空いたスペースをほかの選手が使える。それが連動すれば試合を動かせる。忘れていた当たり前のことに気付かせてくれた」

    ◇

 オシムが病に倒れ、後を受けた岡田武史(53)に声をかけられたのは08年4月の強化合宿だった。中村俊輔(31)、中沢佑二(31)とともに、宿舎の部屋に招かれた。

 「南アフリカW杯で4強にチャレンジしたい」。岡田から、初めて明確な目標を聞かされ、遠藤はうなずいた。「もちろん。4強よりも一番上を目指したい」

 4強。現実的ではないという声も聞こえる。だが、遠藤は手応えを感じている。「オランダ遠征でも前線から守備が機能した時間はいい試合ができた。運動量が落ちる時間にボールを散らして相手を走らせてペースを握ることができれば、間違いなくいいところまでいける」。そのために、チームが一つになることが大前提だ。「若手に自信を持たせたり、安心感を与えたりしないと」。4年前とは違う自分がいる。

 サッカー人生で緊張したことのない男が、一度だけ胸を躍らせた瞬間がある。代表で初めて先発した03年6月のパラグアイ戦。埼玉スタジアムに流れる君が代を耳にした。「国を背負っていることを感じられる幸せな時間」。アフリカの地で、さらなる感動が待つ。=敬称略(清水寿之)

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得点ランキング

  1. 1位 (総得点5)
    選手名
    フォルラン (ウルグアイ・31歳 内訳:左足1、右足4、ヘディング0)
    スナイデル (オランダ・26歳 内訳:左足1、右足3、ヘディング1)
    ビリャ (スペイン・28歳 内訳:左足1、右足4、ヘディング0)
    ミュラー (ドイツ・20歳 内訳:左足0、右足4、ヘディング1)
  2. 5位 (総得点4)
    選手名
    クローゼ (ドイツ・32歳 内訳:左足0、右足3、ヘディング1)
    イグアイン (アルゼンチン・22歳 内訳:左足2、右足0、ヘディング2)
    ビテク (スロバキア・28歳 内訳:左足0、右足3、ヘディング1)

7月11日現在

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