1990年代の名ストライカーのバティストゥータ(アルゼンチン)、2002年日韓大会得点王のロナウド(ブラジル)――。過去、偉大な点取り屋は背番号9が多かった。2日からの準々決勝でも、「9」を背負うストライカーらがカギを握りそうだ。
背番号9は伝統的にセンターFWタイプの選手がつける。そういう意味で、アルゼンチンとブラジルの南米2強には正統派の「9」がいる。
アルゼンチンは得点ランク1位タイの4点をあげている182センチのイグアインだ。スペインの名門レアル・マドリードに所属する万能型。1次リーグ韓国戦ではアルゼンチン選手としては98年フランス大会のバティストゥータ以来のハットトリックを達成。メッシに敵のマークが集中する恩恵でフリーになる場面が多い。「得点すればうれしいが、まずはチームのことを考えたい」。フランス生まれで、フランス代表への誘いを断った経緯がある22歳は、謙虚に母国の勝利をめざす。
「優勝のために力を注ぐ。結果的に得点王になれれば、さらにいい」と話すのはブラジルの「9」、ルイスファビアーノだ。現在3得点。一見細身だが、186センチの長身を生かした力強いポストプレーと突破力が売り。1次リーグ、コートジボワール戦でハンドをしながら素知らぬ顔でゴールを決めたずるさも持つ。
ウルグアイにとって40年ぶりの8強進出の原動力となったのは「9」のスアレスだ。オランダの名門アヤックスで2009―10年のリーグ得点王になった23歳は現在3得点。「ボールを持ったら、ゴール以外に選択肢はない」と話す根っからの点取り屋だ。
好調な南米勢に対し、欧州勢の「9」はいま一つ。オランダのファンペルシーは1得点。08年欧州選手権で優勝に貢献したスペインのフェルナンドトレスは無得点。4月に右ひざを手術した影響で動きに切れを欠く。「徐々によくなってきている。チームのために力を尽くす」。スペインの初優勝は26歳のストライカーの復調なしには難しい。
ドイツは「9」ではなく、70年メキシコ大会得点王で「爆撃機」の異名をとったゲルト・ミュラーがつけていた「13」を引き継ぐMFミュラーがチームトップの3得点。レーウ監督が「たぐいまれな資質と技術を持ち、ゴール前でも冷静」と信頼を寄せる20歳だ。シュバインシュタイガー、エジルらとの連係もスムーズで、前回大会のクローゼに続く、ドイツ選手の2大会連続得点王を視野に入れている。(小田邦彦)
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7月11日現在