得点王争いは5点のビリャ(スペイン)を、ドイツとオランダの3人が追う展開だ。偉大な大会通算得点記録の更新もかかるクローゼ(ドイツ)もおり、優勝争いとともに注目を集める。
■首位のビリャ、4戦連発 クローゼ、3大会14得点
4強に勝ち上がったスペインのビリャが単独首位を走るため、敗退チームから得点王が出ることはなくなった。3位決定戦を含め、残る4チームには2試合が約束されている。現実的には、3点のフォルラン、スアレス(ともにウルグアイ)あたりまでが圏内といえるだろう。ただし、4点のミュラー(ドイツ)とスアレスは準決勝1試合が出場停止となり、条件は厳しい。
勢いや調子の良さからいけば、ビリャとクローゼの争いか。2人はそれぞれ新記録達成の可能性を秘めている。
準々決勝で4試合連続得点を記録したビリャは、デルボスケ監督が「彼はトップフォームにある」と太鼓判を押す好調を維持。パラグアイに引導を渡す終盤の決勝点は代表63試合で43点目。102試合で44得点のスペイン代表最多得点記録を持つラウルにあと1点と迫った。8点に伸ばしたW杯通算得点は既に同国最多記録。残り2試合に連続得点すれば、6試合のW杯最多連続得点記録に並ぶと同時に、得点王の称号を手にしている可能性が高い。そうなれば、2008年欧州選手権に続くタイトル獲得となる。
3大会連続出場のクローゼは02年日韓大会で5点、06年ドイツ大会で5点、そして今大会で4点と計14得点を積み重ねてきた。準々決勝のアルゼンチン戦で2点を稼ぎ、爆撃機と呼ばれた母国のゲルト・ミュラーに並ぶ歴代2位に。歴代1位はロナウド(ブラジル)の15点だが、史上初となる2大会連続得点王を手にすれば、通算得点記録も塗り替えているかもしれない。
本命といえる2人の持ち味は異なる。5試合で448分間プレーしているビリャは計23本のシュートを放ち、うち14本が枠をとらえている。さらにペナルティーエリア内からの8本に対して、エリア外からは15本。左サイドからゴールに近づいて右足で狙う形を得意とし、距離があっても思い切って打つ万能型だ。
4試合で267分間ピッチに立っているクローゼは対照的。シュート総数は11本だが、8本を枠内に飛ばす効率の良さ。さらにすべてがペナルティーエリア内からで、ゴール前に入ってくる抜群の位置取りから1タッチ、2タッチでゴールを陥れる。
ビリャはW杯後に移籍金4千万ユーロ(約44億円)でバレンシアからバルセロナに移籍する。脂ののった28歳は「得点王には関心は小さい。最も重要なのはチームが決勝に進むこと」と話している。32歳のクローゼは今季、バイエルン・ミュンヘンで出番が与えられず、リーグ3得点にとどまる屈辱を味わった。「通算得点記録更新は気にしていない。優勝できれば、得点よりもずっと大切だ」とこちらも準決勝の直接対決でチームの勝利に照準を絞っている。(編集委員・潮智史)
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得点ランキング(準々決勝まで)
(1)5 ビリャ(スペイン) 23(14)
(2)4 スナイダー(オランダ) 20(9)
(2)4 クローゼ(ドイツ) 11(8)
(2)4 ミュラー(ドイツ) 10(4)
(2)4※イグアイン(アルゼンチン)
(2)4※ビテク(スロバキア)※
(7)3 スアレス(ウルグアイ) 20(13)
(7)3 フォルラン(ウルグアイ) 20(9)
(7)3※ドノバン(米)
(7)3※ルイスファビアーノ(ブラジル)
(7)3※ジャン(ガーナ)
※は敗退 数字はシュート数(うち枠内)
![]() オランダ |
0 | ― | 1 |
![]() スペイン |
7月11日現在