6、7日、準決勝2試合が行われる。ともに、優勝経験国と初優勝をめざす国同士の組み合わせとなった。
南米旋風は準々決勝でぴたりとやんだ。史上初の4強独占どころか、ブラジル、アルゼンチンの両雄が去り、ウルグアイだけがPK戦を制して踏みとどまった。4強が欧州3、南米1となるのは8度目。過去最も多い組み合わせに落ち着いた。
ゴール数が少ない今大会、4強の失点も少ない。3チームが5試合を戦って2失点。オランダは3失点だが、2点はPKだった。ただ「守備的」というより「組織的」。4チームとも、チームワークが攻撃でも機能し、優れた才能を生かしている。
メッシ(アルゼンチン)、ロナルド(ポルトガル)ら大会を代表する活躍を期待されたスターたちは、個に頼った攻撃のなかで力を出せずに大会を去っていった。「個」より「組織」。その色合いが深まる大会を象徴するような4チームが決勝を狙う。
◆得点力のドイツVS.連係のスペイン
2008年欧州選手権決勝の再戦となった。その時はスペインが1―0で44年ぶりの優勝を果たした。欧州選手権の決勝進出チームがともに2年後のW杯4強に残るのは史上初めてだ。
スペインのスタイルは2年前から変わらない。パスをつないでボールを支配して好機をうかがうと同時に、相手には攻撃権を渡さない。今大会の成功パス数2797本はドイツより4割近く多い。
ただ2年前の決勝でゴールを決めたFWフェルナンドトレスが今大会は不調。2年前の得点王、FWビリャが今大会もここまでトップの5得点と活躍して補っているが、1人に頼り続けるようだとドイツ相手には不安だ。
ドイツはイングランドに続いて、アルゼンチンの攻めも抑えるのに成功した。他の選手と分断することでメッシを無力化した。戦術家のレーウ監督はビリャ封じに余念がないはずだ。
2年前と変わったのはドイツの方。選手が若返るとともに、体力に頼るのではなく、パスをつなぐ戦術にシフトしている。大会全体のパス数の上位10人まででスペイン選手が5人を占める一方、攻守の要、MFシュバインシュタイガーが4位、右DFラームが7位に。長短のパスを操り、4強で断トツのチーム13得点を導いている。
効果的な連動で好機を引き出し、自らも4得点を挙げているMFミュラーが出場停止なのが気がかり。攻守に急成長するチームの象徴だけに穴をどう埋めるか。
◆堅守のウルグアイVS.破壊力のオランダ
オランダは攻守に安定している。準々決勝のブラジル戦の逆転勝ちで2008年9月から24戦無敗(19勝5分け)。華がないと批判されながら、バランスに気を配った戦い方が浸透している。
攻撃はFWロッベンが復帰してから破壊力が格段に増した。ブラジルも彼の右サイドからの攻めに苦しんだ。この高速ドリブラーが好機をつくり、司令塔のスナイダーが4得点と決定力を見せている。
スナイダー、ロッベンをウルグアイはどう抑えるか。4強の中では、はっきり堅守と特徴づけられるチームだ。クリアの数がもっとも多い65本。4強で2番目に多いオランダの約5割増し。相手の攻めを跳ね返し続けてきた胆力が、セットプレーを含めたオランダの多彩な攻めを相手に試される。
オランダは中盤の守備の要、デヨングが累積警告で出られない。FWスアレスが出場停止のウルグアイは、オランダの攻めをしのぎながら、FWフォルランにいかにいいボールを送れるかに得点の望みを託す。(村上研志)
◆累積警告は持ち越さず
今大会から累積警告の取り扱いが変わり、1次リーグから準々決勝までの警告は準決勝に持ち越されない。準決勝で警告を受けたために決勝に出られない、という事態は避けられる。国際サッカー連盟(FIFA)が3月の理事会で決めた。準決勝で警告2度、またはレッドカードで退場になった場合のみ決勝でのプレーが不可能になる。準々決勝で2度目の警告を受けたか、レッドカードを出された選手は準決勝に出場できない。
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7月11日現在