勝つためには守備が重要だとわかっていた。しかしオランダの弱点はその守備だった。
欧州予選から無敗を続けた今大会のオランダは「勝利」にこだわり、守備の意識を高めた。選手歴は地味だが理論と実践で現在の地位についたファンマルウェイク監督が「美しい攻撃サッカーを追って尊大になれば負ける」と選手たちを教えた。
意識改革の土台は欧州選手権で苦戦した2007〜08年にあったと言われる。選手が話し合い、伝統の4―3―3を守備強化に微調整した現在の4―5―1に変えた。
勝利を優先する考え方は育成にまで浸透しつつあると聞く。だが、成果がでるのは次の世代か。
オランダは大会直前の親善試合3試合でも毎試合失点していた。今大会も、1次リーグ第2戦の日本戦を無失点で切り抜けた後、第3戦のカメルーン戦以後、決勝まで4試合連続で失点。センターバックの弱さが難題で、それをカバーしていたのが、能力の高い守備的MF、デヨングとファンボメルの2人だった。
振り切られた相手を反則で止めたセンターバックのハイティンハが退場になり、ファンボメルがセンターバックに入っていた延長後半。右から攻められたとき、ゴール前にいたイニエスタをマークする選手はいなかった。
ファンボメルを含め、DFたちは球に気を取られていた。なんとか食らいついたのが攻撃力が持ち味で途中出場したMFファンデルファールト。「10人になったがもう少しでPK戦まで持ち込めた。最高のチームが勝ったと思うが、W杯決勝での敗戦を受け入れるのは難しい」とファンマルウェイク監督。世界一との差を分けた最後のピンチは、防げなかった。(編集委員・忠鉢信一)
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7月11日現在