朝日 地球会議2018特別協賛企業・団体による 特別講演・登壇

朝日 地球会議2018 特別協賛企業・団体による 特別講演・登壇 広告特集 企画・制作 朝日新聞社メディアビジネス局

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2020年に向け加速していく水素社会の実現
小島 康一
トヨタ自動車 パワートレーンカンパニー FC技術・開発部 主査

 

9月24日から26日に東京のイイノホールと帝国ホテル東京で開かれた国際シンポジウム「朝日地球会議2018」。朝日地球環境フォーラムから通算して11回目を迎えた今回は、「次世代への約束 もっと寛容な社会に」をメインテーマに様々なプログラムが行われた。その一つ、パネル討論「水素が動かす復興と五輪」では、水素社会の実現に向けて各地で進められている研究や、トヨタ自動車の取り組みが紹介された。

日本の課題解決に期待されている水素

討論は、水素社会の必要性についてから始まった。水素のメリットはまず、発電する際に酸素と結びついても水にしかならず、二酸化炭素(CO2)を排出しないこと。〝究極のクリーンエネルギー〟といわれ、次世代エネルギーとして期待されている。また石油や天然ガス、バイオマス、下水汚泥など様々なものに存在し、水を電気分解してつくれるため、ほぼ無限に製造できるという。さらに、貯蔵もできるので送電線のないような場所に運べる利点もある。

エネルギー輸入大国である日本は、2011年に発生した東日本大震災以降、原子力発電所の多くが稼働を停止しているので、化石燃料に頼らざるを得ない状態が続く。また大型台風や猛暑など、異常気象の連鎖による被害が年々増加し、地球温暖化との関係が指摘されている。そして15年に結んだCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)のパリ協定では、温室効果ガスを「30年度に13年度比26%削減」、「50年度に13年度比80%削減」という高い目標を掲げている。こうしたエネルギー問題、大規模災害、CO2削減の国際公約といった課題を持つ日本にとって水素社会の実現によって得られる恩恵は非常に大きいという。

「燃料電池車(FCV)は、水素社会の一つのシンボルとして環境車の本命と考えています」と、トヨタ自動車パワートレーンカンパニーFC技術・開発部主査の小島康一氏が話すように、トヨタは早くから将来の水素社会を見据えて92年にFCVの開発に着手。02年には世界に先駆け日米で限定販売を開始、その後、航続距離や性能の向上を図り、14年にはセダンタイプの「MIRAI」を発売した。現在は、より良いFCVの開発とともに、インフラ整備にも取り組んでいる。

CO2を出さずに走る究極のエコカー「FCV」

FCVをはじめ水素社会実現に向けたトヨタ自動車の考えを語る小島康一氏

会場では、SNSを使って登壇者への質問をリアルタイムに受け付け、活況を呈していた。その一つ、「EVと比較してFCVの地球環境、利便性、コスト、安全性から見た優位性は?」という問いに小島氏は答えた。

「地球環境について、天然ガスを使って水素や電気をつくる場合は、走行時のエネルギー効率がいいものほど天然ガスの使用量を削減できます。弊社の試算では、水素をつくって使うFCVの方が高効率です。また再生可能エネルギーを使うと、電気を変換する必要のないEVの方が効率は良くなりますが、余剰電力が発生し未利用の電気が多く出てしまいます。その電気を水素に変換すれば貯蔵できるので、再生可能エネルギーを使う場合は、EVとFCVどちらも必要になると考えています」

利便性に関して充塡時間で比較すると、FCVは約3分、EVは急速充電でも20〜30分。フル充塡での航続距離はFCVが約650キロに対して、EVが約400キロでFCVが有利だ。しかし100キロを走るコストは、EVが約350円、さらに夜間電力を利用するとその半額程度だが、FCVは約1000円になるという。そのことについて小島氏はこう話す。

「現在の価格はEVの方が安いですが、中長期的に見るとほぼ同じか、FCVが有利になるケースもあり、お客様にとってFCVの方が利便性は高いと考えています」

また安全性については「FCVの水素が漏れることに不安を感じている人もいると思います。大切なのは、水素を漏らさない、漏れたらすぐに止める、漏れたとしてもためない、ということです。その三つの対策を講じることで、車としての安全性は確実に担保できると考えています」

水素を活用して行う五輪と復興への試み

会場で注目を集めていた燃料電池自動車「MIRAI」

水素社会を実現するために欠かせない存在といえるFCVは、東京2020五輪の大会車両として使用される。さらにライフラインを整備することで水素供給システムを実現させ、選手村のエネルギーとして水素を使う計画も進んでいる。そして福島県で製造された水素が活用されるという。

現在、福島県では太陽光、風力、バイオマスといった再生可能エネルギーから水素をつくり、ため・運び、使うという水素社会実現に向けた「福島新エネ社会構想」が進められている。その中心を担うのが、東日本大震災で大きな困難に見舞われた浪江町。世界最大級の1万㌔ワット級の水素製造工場を建設し、20年7月までに製造を開始する予定だ。

「浪江町では、太陽光パネルを使用して水素をつくるプロジェクトもスタートします。そして福島県で製造した水素を東京2020五輪で活用する。海外から来た人たちにFCVや燃料電池バスを使っていただき、再生可能エネルギー由来でCO2を排出しない水素の製造技術を世界に発信できるのは、非常に意義のあることだと思います」

最後に小島氏は、水素社会の実現に向けたトヨタの考えをこう語った。

「より多くの人に水素を身近に感じていただくために、街でMIRAIが走っている状態が当たり前になるようにしたいと思っています。さらにFCVをバスやトラック、フォークリフトのような産業車両にも広げたい。それはトヨタだけではできません。水素インフラや様々な部品を開発している企業の方々と一緒に、かつユーザーの皆様に支えていただき育てていく商品だと思います。そしてまた20年の五輪を通じて、水素がCO2フリーであることを世界中に発信することにも貢献したいと考えています」

朝日地球会議 環境 その先へ 接続可能な社会の実現 The Environment and Beyond~Towards a Sustainable Society 公式サイトはこちら