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2021.09.30
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2021年7月11日(日)開催 大腸がんオンライン市民公開講座
「専門医から聴く 大腸がんのおはなし」

主催:中外製薬株式会社 協力:株式会社朝日新聞社

女性のがんによる死亡原因の第1位は「大腸がん」だということ、ご存じですか?

大腸がんは、早期発見できれば治療が可能ながんの一つです。そのためには年に1回は検診を受け、早期発見・早期治療することが大切だと専門医は語ります。

そこで、なぜ検診が大切なのか、どんな検査が必要なのか、そもそも大腸がんとはどのような病気なのかについて、7月11日(日)の午後のひととき、専門医の先生お二人が「初めて学ぶ大腸がん」をテーマにオンラインで講演。講座の後半では、タレントのLiLiCoさんが視聴者を代表し、大腸がんにまつわる疑問もうかがいました。総合司会はフリーキャスターの佐藤まり江さんが務めました。

(取材・文:角田奈穂子/撮影:河内 彩)

講演1 「大腸がんの検査は怖くないの?」

講師:山口 研成 先生
がん研究会有明病院 消化器化学療法科 部長

やまぐち・けんせい 防衛医科大学校卒業。自衛隊中央病院、埼玉県立がんセンターを経て、2015年より現職。専門は消化器がん、化学療法。

講演2 「大腸がんの治療(手術・くすり)はどうするの?」

講師:加藤 健志 先生
国立病院機構 大阪医療センター
がんセンター がん診療部長・下部消化管外科 科長

かとう・たけし 関西医科大学卒業。旧国立大阪病院、関西労災病院等を経て、2017年より現職。専門は下部消化管外科、内視鏡外科、内視鏡診断・治療、化学療法。

Q&Aコーナー 「ちょっと気になる大腸がんのこと」

LiLiCo さん
タレント

りりこ スウェーデン生まれ。18歳で来日。89年、芸能界デビュー。映画コメンテーター・インタビュアー、北欧雑貨ネットショップオーナーなど多方面で活躍中。

講演は2部に分かれ、講演1では、山口研成先生より「大腸がんの検査は怖くないの?」、講演2では、加藤健志先生より「大腸がんの治療(手術・くすり)はどうするの?」をテーマにご講演いただきました。

講演1 「大腸がんの検査は怖くないの?」
講師:山口研成先生(がん研究会有明病院 消化器化学療法科 部長)

大腸がんは女性のがん死亡率1位

1年に大腸がんで亡くなる人の数は?

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【調査概要】厚生労働省による人口動態統計より、がん死亡者を抽出して集計した。
国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/dl/index.html(2021年8月閲覧)より作表

日本人の2人に1人ががんにかかる今の時代、罹患率がもっとも高いのは、大腸がんです。とくに女性の場合は、罹患率は乳がんに続き2位ですが、死亡率は1位。とても身近な病気なんですね。

なぜ女性の大腸がんの死亡率が高くなっているのか。これは、恥ずかしさや忙しさから検診を受ける方が少ないこと、また肛門からの出血やお腹の痛み、下痢や便秘を繰り返すなどの気になる自覚症状があっても受診をためらってしまう方が多いことが理由です。その結果、発見が遅れ、がんが進行した段階で見つかるというケースが多いのです。

大腸がんは早期発見すれば、治癒が可能ながんの一つです。検診をきちんと受けていれば、6〜8割の患者さんで死亡率が下がることがわかっています。また、発見が早ければ早いほど、治療による身体への負担が少なく、完治も可能と考えられます。そのため、大腸がん検診は、乳がんや胃がんなど、国が推奨する5つのがん検診のなかでも、有効性が高い検診といえるのです(注1-3)。

注1) Mandel JS, et al: Reducing mortality from colorectal cancer by screening for fecal occult blood. Minnesota Colon Cancer Control Study. N Engl J Med 1993; 328: 1365-1371.
注2) Hardcastle JD, et al: Randomised controlled trial of faecal-occult-blood screening for colorectal cancer. Lancet 1996; 348: 1472-1477.
注3) Kronborg O, et al: Randomised study of screening for colorectal cancer with faecal-occult-blood test. Lancet 1996; 348: 1467-1471.

40歳を過ぎたら年に1回、大腸がん検診を

大腸がん検診は、罹患率が上がってくる40歳以上になったら、年1回の「便潜血検査」が勧められています。コロナ禍で大腸がん検診の受診率はより下がってきていますが、職場や自治体の検診にも組み込まれている検査なので、必ず毎年、受けて欲しいですね。

どのくらいの人が大腸がんにかかっているの?

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国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん罹患モニタリング集計(MCIJ))
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/dl/(2021年8月閲覧)より作成

「便潜血検査」は、プラスチックのケースに入った棒を便にこすりつけて採取し、血が混じっていないかどうかを調べる検査で、2日分の便を採取します。もし、1日でも便潜血陽性となった場合には、必ず大腸内視鏡検査などの精密検査を受けてください。採取した日によっては潜血反応が出ないこともあります。「1日だけの陽性だから」とほうっておくと、せっかく検診を受けたのに、がんを見逃すことにつながりますので、便潜血検査が陽性であった場合には、必ず精密検査を受けましょう。

精密検査では、内視鏡検査が行われます。これは肛門から細い管の形をした内視鏡を挿入し、医師が粘膜の状態を観察したり、少量の粘膜を採取したりして、細胞に異常がないかどうかを調べます。このとき、早期のポリープなどが見つかれば切除することもあります。

内視鏡検査は女性でも受診しやすい環境で行われます

検査前は、2~3日前から食事の内容に注意し、前日の夜は下剤を服用します。検査に向けて腸の環境を整えるためには、繊維質の多い食材(例:わかめやひじきなど)を控えることが大切です。この検査前の食事内容によって検査の精度が変わることがあるので、検査を受ける場合は注意して欲しいです。

当日は液体の腸の洗浄剤を2リットルほど飲み、腸壁をきれいな状態にします。検査時は、肛門の部分に穴のあいたパンツをはき、ベッドに横を向いた状態で寝ます。また、内視鏡を挿入している間の痛みを軽減するために鎮静剤を使い、半分眠ったような状態で検査することもあります。

大腸内視鏡検査の流れ

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1)一般社団法人日本消化器内視鏡学会「3.2)大腸内視鏡検査と治療」https://www.jges.net/citizen/check-cure/no3-2(2021年8月閲覧)
2)山田拓哉編著.: はじめての消化器内視鏡看護, メディカ出版, 2020, p45, p60-64

内視鏡検査は、恥ずかしさや怖さを感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、恥ずかしさや痛みを和らげるような工夫はされていますし、病院によっては女性医師が担当したり、医師もスタッフも全員が女性だったりと、女性が受診しやすい環境が整えられています。

大腸がんは早期では症状がありません。自覚症状があらわれたときには進行していることも多いので、毎年の大腸がん検診を習慣にし、便潜血検査が陽性であったり、その他気になる症状があったりする方はぜひ大腸内視鏡検査を受けるようにしましょう。

講演2 「大腸がんの治療(手術・くすり)はどうするの?」
講師:加藤健志先生(国立病院機構 大阪医療センター がんセンター がん診療部長 下部消化管外科 科長)

4つの進行度がある大腸がん

大腸がんは、大腸の内側から外側に向かって進行する病気です。進行度によって0からⅣまで、4つのステージ(病期)に分かれます。「早期がん」と呼ばれるのは、ステージ0からステージⅠの一部までです。

がんが大腸内にとどまらず、リンパ節に転移があるとステージⅢ、肺や肝臓など他の臓器にまで転移している場合はステージⅣになり、ステージが上がれば上がるほど進行がんとなります。

大腸がんの病期(ステージ)分類

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大腸癌研究会編.: 患者さんのための大腸癌治療ガイドライン2014年版, 2014年7月, 金原出版, 2014, p10-12を参考に作成

大腸がんの治療はがんの進行度によって決められます

大腸がんの治療には内視鏡治療、手術療法、薬物療法、放射線療法があります。内視鏡で腸内を観察しながらがんを切除する内視鏡治療が適用になるのは、がんが粘膜内あるいは粘膜下層に少しだけ浸潤した状態であるステージ0とステージⅠの一部です。この状態では、大腸の外側にあるリンパ節への転移の可能性がないため内視鏡治療が可能となります。

大腸がんの治療

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国立がん研究センターがん情報サービス「大腸がん 治療」https://ganjoho.jp/public/cancer/colon/treatment.html(2021年8月閲覧)を参考に作成

ステージⅠの一部とステージⅡ、Ⅲは、手術によって腸管の切除とリンパ節の切除(リンパ節郭清)を行います。手術には開腹手術と腹腔鏡手術があり、今は身体への負担が少ない腹腔鏡手術のケースが増えてきています。また、最近ではロボット手術も普及しており、その技術は進歩しています。

肛門に近い大腸がん(直腸がん)の場合は、肛門が温存可能かどうかで治療法が変わってきます。肛門を切除する場合は、人工肛門をつけることになります。ただ最近は、手術前に薬物療法と放射線療法を組み合わせ、がんを小さくすることで切除を最小限に抑え、肛門を温存できるようになってきました。

ステージⅡの一部とステージⅢに関しては再発のリスクを抑えるために、手術後3カ月~半年程度の化学療法(術後補助化学療法)が行われます。

ステージⅣでは血液を通じてがんが他の臓器に転移しているため、手術による切除に加え、薬物療法が行われます。薬剤の種類には、殺細胞性抗がん剤、分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害薬があります。

がんの薬物療法では副作用が気になると思いますが、最近では副作用を抑えながら治療をすることが可能となっているので、治療が必要となった際には主治医の先生に相談することが大切です。

早期発見が5年生存率を左右します

大腸がんの5年生存率は上昇傾向にありますが(注4)、ステージⅢとステージⅣの差でもわかる通り、ステージが小さいほど生存率は高くなります。定期的な検診による早期発見・早期治療がいかに重要か、この数字からもわかっていただけると思います。たまにではなく、1年に1回しっかりと大腸がん検診を受診してください。

注4)全国がん罹患モニタリング集計 2009-2011年生存率報告(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター, 2020)
独立行政法人国立がん研究センターがん研究開発費「地域がん登録精度向上と活用に関する研究」平成22年度報告書https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/dl/(2021年8月閲覧)

大腸がんの5年相対生存率

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【調査概要】全国のがん診療連携拠点病院から院内がん情報を収集し、2010年、2011年診断例を合算して集計した。
国立がん研究センター がん対策情報センター「がん診療連携拠点病院等院内がん登録 2010-2011年 5年生存率集計 報告書」https://ganjoho.jp/public/qa_links/report/hosp_c/hosp_c_reg_surv/pdf/hosp_c_reg_surv_all_2010-2011.pdf(2021年8月閲覧)より作図

今は治療の選択肢もいろいろあります。大腸がんになった場合には、まずは自分に合った治療を選ぶことが大切です。ご家族ともよく相談してみてください。また、不安や心配を感じたときは主治医に遠慮なく相談を。セカンドオピニオンも、判断材料の一つになります。

信頼できるリソースからの情報収集も大切

ご自身や身近な方が大腸がんとなった場合に治療や日々の暮らしについて悩むときには、全国に約450カ所あるがん拠点病院が設けている「がん相談支援サービス」を利用するのもいいでしょう。通院している患者さんでなくても、相談が可能です。

インターネットにはいろいろな情報があふれていますが、公的機関の「国立がん研究センターがん情報サービス」のように、信頼できるウェブサイトを参照するようにしましょう。

Q&Aコーナー 「ちょっと気になる大腸がんのこと」

講演後は、LiLiCoさんも交えてのQ&Aコーナーです。私たちの多くが感じている疑問をLiLiCoさんが視聴者代表として質問してくださいました。

自分の身体を守るために定期検診を受けよう

LiLiCoさん:「がん」という言葉を聞くと、自分もちゃんと検診に行かなくては、と思うんですが、忙しさを理由に検診に行かなかったりするんですよね。でも、今日のお話には知らなかったことがたくさんあって、大腸がん検診を受ける大切さがよくわかりました。なかでも、すごく驚いたのが、乳がんより大腸がんで亡くなる女性が多いことです。なぜでしょう?

山口先生:乳がんは早期のうちに検診や自己診断で見つかりやすいんですね。でも大腸がんは、内視鏡検査をしなければ、確実な診断がつきません。女性についてはとくに内視鏡検査をためらう人が多く、発見されたときには、すでに進行していることが多いのが原因の一つです。

LiLiCoさん:検診でもし見つかったら、治療がすぐに始められるということですね。でも、風邪をひいたら内科に行くと思うんですが、大腸がんの検査となると、どこに行けばいいのか……。何科を受診すればいいのでしょう。

加藤先生:検診で異常があった場合や自覚症状があった場合には、その症状に合わせて消化器科か胃腸科、肛門科を受診することをお勧めします。女性は受診しづらい場合もあると思いますが、病院のウェブサイトを見ると、どんな先生がどんな治療をしているのかが紹介されているので、それを参考にして、受診しやすい病院を探してはどうでしょう。

LiLiCoさん:それはいいですね。今日は検査の流れや方法をうかがって、だいぶ安心しました。何をどうされるかわからないと、ずっと緊張して、それもよくないですよね。ウェブサイトでチェックできると、女性の先生に診て欲しいとか、男性の先生のほうがいいとか、自分の好みもわかりますしね。ただ、恥ずかしさのあとに心配なのは、痛いかどうかだと思うのですが、それはどうですか?

山口先生:下剤を飲むのはちょっと大変かもしれませんが、腸壁をきれいにしないと、正確な診断ができないので、そこは我慢してください。ただ最近では鎮静剤を使用することで眠っている間に検査を終えることも可能なので、ご自身で思っているより負担は少なく検査を受けられると思いますよ。

LiLiCoさん:私はせっかくだから腸のなかを見てみたいかな。意識があるくらいにちょっとだけ眠らせて欲しいです(笑)。 ただ、今は新型コロナウイルス(以下コロナ)が私たちの生活を大きく変えてしまいました。医療機関の皆さんに迷惑をかけないように気を使いますし、つい受診をためらってしまいます。検診が病院へ負担をかけるんじゃないかなって。

山口先生:そうですね。そのような方は増えていると思います。しかし、実は今、コロナで受診を控える患者さんが増えていることが、むしろ問題になっています。受診が遅れたことでがんが進行した状態で発見されるケースが増えているからです。病院では感染対策をしっかりと行っているので、院内感染の心配もほぼありません。ぜひ、皆さんにはコロナ前と同様に、ためらわず受診していただきたいです。

LiLiCoさん:なるほど。自分の身体がいちばん大事なのに、ためらっちゃダメですね。そういえば、内視鏡検査を受けた人からよく聞くのが、ポリープが見つかったという言葉です。ポリープとがんはどう関係するのでしょう。

加藤先生:ポリープは粘膜の表面がもりあがってできたものです。非腫瘍性・良性腫瘍がほとんどですが、良性腫瘍には放置するとがん化するもの(腺腫)もあります。腺腫の段階で切除すれば、将来のがん化を防ぐことが可能なので、大腸がんの予防につながります。ポリープは繰り返しできるので、一度ポリープがあると言われたことのある方はとくに、定期的に病院でチェックしてもらうことが大切です。

LiLiCoさん:ポリープはほうっておいてもいいのかと思ってましたが、ちゃんと取ったほうがいいんですね。あと、がんの治療では腫瘍マーカーの言葉もよく聞きます。大腸がんも腫瘍マーカーでわかりますか?

山口先生:腫瘍マーカーは血液から検出できるがん細胞を含んだたんぱく質や酵素を調べる検査法です。がんの治療中の患者さんが、経過を見るためには有効ですが、がんを見つけるためには推奨されていません。早期がんでは陽性率が低いことと、がん以外の原因でも数値が上がってしまったり、がんの部位が特定できなかったりすることが理由です。

ライフスタイルに合った治療が可能に

LiLiCoさん:そうなんですね。今日は実際のがんのお写真もたくさん見せていただいてわかりやすかったんですが、治療にはどれくらいの期間がかかりますか。仕事を続けながらでも治療できるのか、そういう生活の心配も検診に行かない理由なんじゃないでしょうか。

加藤先生:内視鏡治療は、ステージによっては外来の日帰りで終わることもあります。手術の場合は1週間から10日間くらいの入院が必要です。抗がん剤も併用する場合は、外来または入院が必要なのでもう少し時間がかかります。今は大腸がんに限らず、自分のライフスタイルに合った治療方法も選択できますので、仕事と治療を両立しながらという方も多いですね。繰り返しになりますが、早期発見できれば治療にかかる時間も短くなりますので、そういった意味からも定期的な検診は非常に大切です。

LiLiCoさん:ライフスタイルに合わせて治療ができると聞くと安心しますね。大腸がんにならないために、ふだんから何かできるんじゃないかと思うんですが、気をつけたいのはどんなことでしょうか。

加藤先生:栄養バランスのいい食生活、禁煙、節酒、運動不足の解消、適正体重を維持することです。これら5つの健康習慣を継続すると、女性で37%、男性で43%もがんにかかるリスクが低下します(注5)。ただ、健康に気をつけているからといって過信せず、検診も毎年、受けてください。

注5) Sasazuki S, et al: Combined impact of five lifestyle factors and subsequent risk of cancer: the Japan Public Health Center Study. Prev Med. 2012; 54(2): 112-116.

LiLiCoさん:はい、わかりました。2021年も半分が過ぎたから、これからの半年は自分の身体をいたわろうと考えるのもいいですよね。私もさっそく大腸がん検診を受けてみます。またお目にかかる機会があれば、先生方に検診の感想をお伝えしてもいいですか? 大腸がんが女性のがん死亡率1位という冒頭の話からびっくりして、今日の講演のおかげで考え方が変わりました。お忙しいなか、本当にありがとうございました。