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特別養子縁組

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イベント採録

特別養子縁組セミナー@九州

日 時
3月16日(土)13:30〜16:30
会 場
八重洲博多ビル(福岡市博多区博多駅東2-18-30)

基調講演
「特別養子縁組制度と社会的背景、制度推進のために」 大人になっても、
帰れる「実家」がある幸せ

福岡市こども総合相談センター えがお館 所長 藤林 武史さん

養親との法的なつながりを持つ制度

さまざまな事情で保護者が養育することが難しくなった子どもを「要保護児童」と呼び、この子どもを社会全体で育むことを「社会的養護」と言います。社会を代表して誰かに養育を委託するわけです。要保護児童の受け皿となる社会的養護は大きく2つに分かれ、一つは里親や特別養子縁組といった家庭の養育環境で子どもが育つ場合、もう一つは児童養護施設などで職員や他の子どもたちと育つ環境の場合です。

里親と養子縁組の大きく違う点は、里親に委託された子どものゴールは、実親もしくは親族の元に戻るということです。実親の状況が改善すれば、子どもは戻るのが原則です。実親の家庭環境が整うまでの一時的な家族が、里親であると言えます。

子どもと里親が一定期間暮らすと心のつながりができますが、養子縁組ではそれに加えて、法的なつながりができます。養子縁組は、日本では「普通養子縁組」と「特別養子縁組」があります。元々子どもと親族関係がある場合には普通養子縁組、親族関係にない他人の場合は特別養子縁組を選ばれるケースが多いです。

普通養子縁組の場合には、養親と子どもは話し合いで離縁できるのが特徴です。さらに実父母と法律上の親族関係は残り、実親の扶養義務や相続が発生します。特別養子縁組の場合は、実父母との法的な関係は終了し、養親と子どもだけで永続的な関係が続きます。子どもにとっては、将来どこかに戻ることもなく、非常に安定した親子の関係が作られ、ずっと一緒に暮らすことができます。

永続的な家族関係の大切さ

社会的養護を必要とする子どもにとって、「永続性」という言葉は重要なキーワードになります。特別養子縁組では、親子の関係が途中でなくなったりせず、大人になって就職や結婚で社会に巣立って行っても、法的な家族関係はなくなりません。もし失業したり離婚したりしたとしても、帰ってくることのできる「実家」があるのです。

子ども時代に、所属している家庭があることは大事です。それは大人になっても実家があって、「ただいま」と言って帰ると、「おかえり」と迎えてくれる家族がいるということです。このように、家族関係が長く続くという永続性は、非常に重要な概念だと思います。

反対に、永続的な家族関係を持たない子どもが非常に多いです。所属する家がなく不安定な環境の中で大人になった彼らは、いざという時に頼れる支えもないまま、社会的な自立を迫られます。

日本では約9割の要保護児童が施設で暮らしており、家族環境で育った経験のない子どもも大勢います。施設に長くいるほど、実親の元に戻るのは難しくなり、なかには戻るはずの家庭がなくなっている場合があります。こういった子どもたちに特別養子縁組の機会ができれば、その後の人生も変わってくるのでしょうが、永続的な家族関係を失ったままの子どもがたくさんいるのが現状です。

より多くの子どもに特別養子縁組のチャンスを

日本で特別養子縁組になる子どもは年間約500人で、法律ができた約30年前からあまり変わっていません。一方で、厚生労働省の調査によると、特別養子縁組に至らなかった件数は年間275件あります。児童相談所が特別養子縁組を必要だと考えたり、子ども本人が希望しても、そのチャンスが少ないのです。

理由には、法律上の問題があります。子どもが6歳になったらチャンスがなくなります。さらに、実親の同意が必要で、反対された場合は養親が裁判所に申し立てなければなりません。子どもを養育しながら裁判を行うという負担が養親にあるために、実親の同意がない場合になかなか養子縁組に至らないという実情があります。おそらく大部分の方はそこまで覚悟して子どもを養育する決心ができないため、養親候補者もなかなか見つかりません。

子どもの年齢制限は、ドイツやイギリスが18歳、フランスは15歳、アメリカは制限がありません。日本だけ6歳のまま、法律が30年間改正されてきませんでした。チャンスにさえ恵まれない子どもが、日本には数多くいるのです。

私は昨年から半年間、法務省の法制審議会で「家庭を必要としている子どもはいっぱいいる」と、要望を伝えてきました。審議会では今年の2月、年齢要件は原則15歳まで引き上げ、親の同意がない場合は児童相談所長が申し立てできるとまとめました。国会に法案が提出されるのはこれからですが、法律が改正されれば、子どもにとってずっと続く家族が見つかるチャンスが広がると期待しています。

取り組み・活動報告
本当に養子縁組を必要とする
子どもに、永続的な家庭を

大分県こども・家庭支援課 河野 洋子さん

乳児の里親委託にも積極的に取り組む

私は元々は一般行政職の県職員でしたが、平成12年度に児童相談所のケースワーカーになり主に里親を担当し、現在は県庁にて里親制度に携わっています。

大分県は、子どもが新生児や乳児の段階からの里親委託にも積極的に取り組んできました。妊娠中や出産直後の母親からの相談に応じて、特別養子縁組を前提に里親委託を行っています。県独自の施策としては、医療機関と連携し、出産などの現場で親御さんの相談を受けて児童相談所につなぐということもやっております。トイレで産み落とされた赤ちゃんが亡くなったとか痛ましい事件の話を聞くたび、「誰かに相談してくれれば」と考えるのは私だけではないと思いますが、母子保健の関係者や産婦人科への啓発を進めております。

県内の登録里親は197家庭(2018年4月現在)あり、児童相談所が里親委託して養子縁組が成立した家族の数は、年間5組のペースで推移しています。私どもは、委託対象となる子どもさんは、養子縁組が可能な子どもというよりも、この子の人生のために本当に養子縁組が必要な子どもでなければならないと考えています。

児童相談所と民間機関のあっせんの違い

里親制度を活用して子どもをあっせんしてもらうには、児童相談所からあっせんを受ける場合と、民間のあっせん期間から紹介される場合があります。ここで、児童相談所からあっせんされる場合の特徴をまとめてお話しします。

まず、児童福祉法第30条に基づく届け出を行政に出すことが不要です。それから、里親委託の期間中は、里親に養育費の支払いが行われます。子どもの健康保険料の負担は原則として実親で、自己負担分は公的負担となり、里親の負担はありません。

フォローアップについては、定期的な家庭訪問、家庭裁判所の申し立ての手続きの支援、子どもの健康に関する情報の提供、研修などを行っています。もちろん民間のあっせん団体でも、丁寧なフォローアップをしているところはたくさんあります。

里親にとってみれば、児童相談所の里親制度を活用して子どものあっせんを受けることは、非常にメリットがあると思います。一方で実親にとっては、児童相談所に子どもを託すと、負担金を少し支払わないといけないので、ためらわれるというケースが多いと聞いております。

一緒に暮らすと表情やしぐさも似てくる

大分県では、里親の登録の時には、厳しく審査をさせていただいています。それは、家庭が必要な子どもに確実に幸せになってもらうためでもあります。必要に応じて、児童相談所の心理職が里親の面接を行うなど、慎重に審査しております。登録された里親には、制度に対する理解を求めたり、真実告知の必要性などを伝えたりしながら、一緒に考えていこうという姿勢を取っています。

養子縁組のマッチングの際には、里親への情報提供を十分に行って、お互いの気持ちの揺れに寄り添うことを心掛けています。特に、実親さんがまだ迷っている時には、子どもを乳児院ではなく養育里親に預け、気持ちが落ち着いてからマッチングするようにして、実親が決意を翻すことのないように十分な説明を行っています。

私が町で買い物をしていると時々、里親さんと手をつないだ3、4歳の子どもに会うことがあります。里親さんから「こんなに大きくなりましたよ」と声を掛けていただくと、不思議な気持ちがするのです。子どもの表情やしゃべり方、しぐさが、血縁関係はないはずなのに、本当に里親さんと似てくるんですね。子どもにはやはり、永続的な家庭が必要なのだと、実感する瞬間でもあります。

体験談
子どもの居場所を作って、自然に「パパ」「ママ」と呼ぶ関係に

特別養子縁組当事者 Fさん(男性・53歳)

年齢制限の迫る5歳の子を迎えて

私の家族は、妻と10歳の男の子がおりまして、この子が特別養子縁組で迎え入れた子どもです。私たち夫婦の結婚は少し遅く、私が40歳過ぎの頃でした。子どもは欲しかったんですけれど、残念ながらうまくいきませんでした。そんな時に、自治体の広報紙で養子縁組のことを知り、里親に関する自治体のイベントに参加することになりました。

お話を聞いてさっそく里親登録をしてみようと、研修を受けてみました。2カ月後に登録するとすぐ、特別養子縁組を希望する5歳の男の子のお話をいただきました。特別養子縁組ができる子どもは原則6歳までですが、それまでに一緒に約半年間暮らすという実績が必要で、その前にも2、3カ月ほど交流しなければなりません。彼のためにもなるべく早くしなければならないということで、まずは一度会ってみようと行ってみたら、第一印象はとにかくかわいくて。持っていたお菓子を「はい、あげる」と私たちにくれるような優しい子で、私も妻も一目ぼれでした(笑)。

名字の呼び方も児童相談所がサポート

最初の交流は私たちが毎週通い、一緒に遊んだりしました。すべり台が大好きな子だったので、いろんな公園をネットで調べて行きました。お泊まりも経験した頃にはずいぶんと仲良くなり、出会って約3カ月後に同居を始めることになりました。朝から夜まで子どもと一緒に過ごすようになると、毎日公園に行ったり、今日はどちらとお風呂に入ろうかと言ったり、全てがイベント。生活パターンが一変しましたね。
同居して最初にやってあげたのは、子どもの椅子や棚を買ったこと。自分の物をそこに入れていいよと言って、「ここが僕のおうち」という形になるように心掛けました。家ではお互いの名前は、いきなり「パパ」「ママ」と呼ばせるのは難しいかなと思って、基本的にはあだ名で呼んでいました。我が家から幼稚園に行きだしてから、自然と「パパ」「ママ」に変わってきたと思います。

手続きの面では、幼稚園を探すのがけっこう大変でした。当時はまだ戸籍上は別の名前でしたが、児童相談所の担当者から幼稚園に事情を話していただき、私たちの名字で子どもを呼んでもらえるようにしていただきました。また、お医者さんに行く時にも、保険証の名字ではなく私たちと同じ名字で呼んでもらえるように、児童相談所でアドバイスをいただきました。

子どもとの出会いは運命

一緒に暮らして半年たち、正式に特別養子縁組になる頃には、悩みごとも養子縁組ならでは、という悩みはほとんどなく、一般的な子育ての悩みの方が多くなっていました。私たち夫婦の両親や友人も、特別養子縁組の話に協力してくれました。親族とうちの子が会ってもすぐ仲良くなることができ、その点ではとても楽でした。

今でも週末は必ず、子どもとどこかに行っています。誕生日にカードゲームを買ってあげたら、私の方が率先して遊ぶようになりました。子どもとの月日は、とにかくもうイベント続きで、あっという間に6年がたちました。

私は里親会の活動を通していろんなご家族と知り合いになりましたが、特別養子縁組されている家庭は十人十色で、違った事情をお持ちです。ただ、それぞれにどんな事情があっても、子どもとの出会いは運命だと思っています。現在も里親研修をされている方はたくさんおられると思いますが、皆さまにもそんな出会いがあればと願っております。

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