ネクストリボン がんとの共生社会を目指して

2018年2月4日 開催

プレゼンイベント 「がんについて語ろう」

私、若年性乳がんでしたけど、・・・

松 さや香 氏(文筆家 フリーランス広報)

私が若年性乳がんの告知を受けたのは29歳のときで、念願だった雑誌編集者の正規採用が決まった直後のことでした。医療保険にもがん保険にも入っていなかったので、自分自身で治療費を稼がなくてはならない状況。しかし当時、がんの治療をしながら働く同僚、部下を持つことはみんなにとってチャレンジでした。もちろん私にとってもチャレンジの日々で、「会議・定例会には欠席しない」「早退はするけど遅刻はしない」「企画書出すときは二割増し」「定時にあがらせてもらっていいですか」の4つのマイルールを作って頑張っていました。

告知当時、情報がほしくて本屋さんに駆け込んだり、インターネットで検索しても、働きながら治療をしている人の情報がなかなか得られませんでした。がん患者の人たちが生活のなかでどうやってリアルに工夫をして、どういうふうに働いているかという情報がまったく得られなかったので、テレビの報道や映画のイメージを簡単につなぎあわせてしまっていたのです。私自身、告知をされたときは、友達と遊ぶとか、働き続けることは叶わない、ましてや旅行なんて難しい、結婚とかもあきらめなくちゃいけない、子どもを持つとかも不可能など、自分で作り出したイメージでがんじがらめになっていました。

ところが私は、治療を終えた後、旅行どころか国際線の客室乗務員になりました。子どもこそいませんが38歳で結婚することになりました。今振り返ると、がんとの闘いに加えて、がん患者のイメージとの闘いだったんじゃないかなと思うことがあります。ですからがん患者の方と向き合うときには、その人自身ががんをどう感じているのか、がんとどう接していこうと思っているのか、社会生活のなかで何を求めて、その先にどういうイメージを描いているのか、というように話していただきたいと思います。

そしてがんキャリアの方は、ご自身の治療経験を心から誇りに思っていただきたいと思っています。私たち一人ひとりがいま生活をしていることは、もちろんこれ以降増えてほしくはないとは思いますが、次世代の患者さんたちの立派なロールモデル、そして希望になっていくのです。