未来を支える医師・看護師を育て、
医療をリードする
1972年に医学部の単科大学として開学し、1980年に医学研究科、2000年に看護学部、2004年に看護学研究科を開設。2学部2研究科の医科大学に発展した。
同敷地内の大学病院は高度医療を提供する特定機能病院で、高度救命救急センター、運行20年を超えるドクターヘリも有する。世界的な研究施設もあり、医療のリアルな今と未来を感じながら学べる環境は、分院誕生などでますます充実している。
1972年に医学部の単科大学として開学し、1980年に医学研究科、2000年に看護学部、2004年に看護学研究科を開設。2学部2研究科の医科大学に発展した。
同敷地内の大学病院は高度医療を提供する特定機能病院で、高度救命救急センター、運行20年を超えるドクターヘリも有する。世界的な研究施設もあり、医療のリアルな今と未来を感じながら学べる環境は、分院誕生などでますます充実している。
創立50周年を経た愛知医科大学では、次の50年に向けた改革が進む。
50周年事業で岡崎市に開院した「愛知医科大学メディカルセンター」は、2023年度から365日の二次救急を開始。地域の中核病院を目指すとともに、教育病院として拠点化していく予定だ。
同事業で移転・開設した「日本造血細胞移植データセンター」は、国内約12万例の血液疾患患者・ドナーデータを集積する、世界3局の一つ。「そのほか加齢医科学研究所では6千例以上の神経変性疾患の脳・脊髄(せきずい)を集積するなど、世界的なバイオデータ・リソースバンクがいくつかあり、これらをベースにした研究も期待されています」と祖父江元(げん)理事長・学長。
「世界を見据えた教育・研究活動の充実と発展」「診療・研究・教育を担う卓越した人材の育成」「地域医療・地域貢献の促進」などを目標に掲げる「先進医療研究棟構想」もスタートした。
多々のシステム改革の中で、大学病院の救急医療体制は現在、常勤医増員と各科医師の学内出向、経過観察病棟(TACU)および救急管理棟の増設、救急教育の充実などを進行。愛知県が試行する重症外傷センターへの指定を機に、検査・診断・治療が移動なしで可能な「ハイブリッドER」も開設した。医師の働き方改革では、変形労働時間制も取り入れて全医療者向けのシステムを再構築する計画で、今年度運用を始める。重要性が再認識されているリハビリテーションでは、スペース拡張や人材の増員に加えて分院や他校との連携も進め、精神疾患や認知症への拡大も見据える。
「病院、医療の大改革時代に入り、大学の在り方も大きく変化しています。医科大学の使命として、社会のニーズに応える医療をリードし、医療人を育てていきます」
医学部では、2022年度改訂版の医学教育モデル・コア・カリキュラム※1が適用となる今年度の新入生から、カリキュラムを大幅に見直した。笠井謙次医学部長が説明する。「これまで医学教育には実務者養成の面が重視されてきたのが、今、次の時代の医療を開拓する人材の育成が求められています。そこで、大学教育への移行期に自律的に成長できる〝余地〟をつくり、これからに必要な力を養うことを意識しました」
まず、自分で時間をコントロールし、研究室訪問、部活動やボランティア活動など、色々な体験やチャレンジができるように、1学年次の授業数を減らした。また、多方面で力を入れてきたICT教育をまとめて科目にし、教員が教えるだけでなく、上級生が実際の勉強に役立つノウハウを含めて教える屋根瓦式を採用。伝統である面倒見のよさを生かしたものだ。症例についての課題に対してグループで調べてディスカッションするなどの問題解決型学習も増やし、教科書にないことを読み解く力、医師に不可欠なコミュニケーション能力も伸ばしていく。
高齢化が進み、複数疾患を併せ持つ患者が増える今後、医師に求められる一つが総合的な視点だが、それは従来から大切にしているものだ。
「医師のプロフェッショナリズムを持ち、患者さんをご家族や社会的背景まで含めて全人的にみられる医師を育てたい、という基盤は変わりません。さらにチャレンジスピリットを盛り込み、新しい時代の医師育成を目指します」
次代に向けた医学教育を、最先端の研究に触れられ、また、地域医療に貢献し、救急、災害時の活躍でも知られる愛知医科大学病院という最前線の現場でトレーニングを積める環境が、がっちり支える。
※1 文部科学省が提示する医学部卒業時の診療能力(知識・技能・態度)の到達目標など。全医学部が共通で履修する内容となる。
「看護で大切なのは、対象者がどのような健康状態でもその人らしく生きられるよう、暮らしを健康的に整えていく支援をすることです」と若杉里実看護学部長は言う。その考えから看護学部では、人々が自らの健康をコントロールし、改善できるようにするプロセスであるヘルスプロモーションの学びを重視。1学年次に地域での活動を通して人々との交流により多様性を理解する。2学年次には地域のヘルスプロモーション活動に参加し、必要な支援を考え実践。以降の病院実習で個々に応じた看護実践につなげる。
また、2023年10月に受審した看護学教育評価※2では適合の総合評価を受け、評価された一つが、4年間学びを積み重ねる「学年縦断科目」だ。2科目のうちの「災害看護学」は、1、2学年次に災害の総論と、当事者の体験や災害時要配慮者に必要な対策を当事者や専門的実践者から学び、3、4学年次に発災直後から復興支援までの医療支援活動についてシミュレーション演習を用いて学ぶ。もう1科目は、医学部および他大学の薬学部や栄養学専攻と合同で行う「チーム医療論(IPE※3)」だ。
ほかにも大学病院看護部と連携する実践的かつ臨場感ある授業や演習など、特色は多い。ボランティア活動や市内4大学との連携事業などを通して地域性を育むことや、国ごとの看護を学び合える国際交流にも力を入れている。
「看護職の活躍の場が拡大、役割が多様化する中、自分がやりたい看護を見つけてほしいと考えています」
看護学研究科では2024年3月、博士課程Ph.D※4(看護学博士)コースとDNP※5(看護実践博士)コースの設置を申請した。DNPは現在国内では関東圏に三つしかなく、実現すれば全国四つ目となる。学びを継続し、キャリアアップにつなげることも可能だ。
※2 一般財団法人日本看護学教育評価機構により実施される看護学教育の評価
※3 IPE:Interprofessional Education(専門職連携教育)
※4 Ph.D:Doctor of Philosophy in Nursing
※5 DNP:Doctor of Nursing Practice
愛知医科大学病院では2021年から、「愛Crew(クルー)」と名づけた、医学部生・看護学部生のアルバイトを採用しており、同大学両学部の学生も多数参加している。医師の働き方改革によるタスクシフト・シェア(業務の移管・共同化)で看護師の役割拡大が期待される中、その負担軽減と、実践的な教育機会を設けるために始まった。物品補充や清掃といった周辺業務のみならず、看護師とともに体位変換、ストレッチャー移送、おむつ交換といった直接ケアへ業務を拡大し、実践技術を磨く機会となっている。
名称につく「Crew」は仲間を意味。医療チームの一員として看護補助業務への理解を深めることを目的とする集合研修も行う。患者さんの就寝前を想定し、ホットタオルで下肢を温め、安眠を促す直接ケアの演習などを通し、コミュニケーション技術など多くのことを学んでいる。
愛知医科大学はかねてより、国際的かつグローバルな視野を持つ医療人を育てることを目的に、国際交流を推進している。近年も、2021年にはシンガポール国立大学ヨン・ルー・リン医学部アリス・リー看護学科との学術交流と協力に関する覚書を、2023年にはタイ王国タマサート大学チュラポーン国際医学部との学術国際交流協定を、新たに締結した。現在、学術国際交流協定を締結する海外の大学は15校(大学間協定6校、医学部間4校、看護学部間5校)だ。
コロナ禍によって一時断念を余儀なくされていた学生の交換留学および協定大学教員の招聘(しょうへい)事業は、随時再開され、再び活発になってきている。また、柔軟な体制をつくり、オンラインと留学を融合した学修プログラムや、オンラインなどを活用した国際体験プログラムといったものも積極的に実施。今後も、検討中の交流プログラムを具体化、実現していくことで、多様な異文化に触れる機会を増やしていく予定だ。
国際交流は、国・地域ごとの医療やその実践の違いや特徴、世界共通の医療人としての姿勢などを学ぶ貴重な経験となる。その充実により、世界に羽ばたく医療人の育成に一層力を入れていくという。