「心で工学」を理念とする工学人材の養成
1905年に官立名古屋高等工業学校として創設された、東海地区で最も歴史ある工科系国立大学。国内最大規模の産業集積地にある大学として、産業界の発展に貢献する教育と研究を使命とし、時代や社会の要請に応じて教育体制を拡充。基盤的・先進的工学分野をほぼカバーする国内屈指の工科系大学に成長し、実践力を備えた技術者・研究者を輩出し続けている。
1905年に官立名古屋高等工業学校として創設された、東海地区で最も歴史ある工科系国立大学。国内最大規模の産業集積地にある大学として、産業界の発展に貢献する教育と研究を使命とし、時代や社会の要請に応じて教育体制を拡充。基盤的・先進的工学分野をほぼカバーする国内屈指の工科系大学に成長し、実践力を備えた技術者・研究者を輩出し続けている。
世界的な製造業の集積地にキャンパスを構える工科系大学として、創立以来、産学連携と実学教育に力を注ぎ、社会の発展に貢献してきた名古屋工業大学。ほぼすべての工学分野をカバーする5つの学科と2つの教育課程を持ち、産業界と強い結びつきを築いていることは、他大学にはない強みとなっている。
6年一貫の「創造工学教育課程」開設や、キャンパスにアートの風を吹き込む「アートフルキャンパス事業」など、時代の流れを先取った教育・研究環境の改革にも積極的に取り組んでいる。近年はAIの発展・普及による社会の変化に対応するためリベラルアーツ教育を重視。「これからの工学者は基礎的な知識や論理的思考に加えて、優れた感性を身に付けておく必要がある」と小畑誠学長が語るように、工学を「人との関わりを重視する学問・技術」と位置付け、計算や論理をつかさどる左脳だけではなく、感性や想像力につながる右脳も含めた全脳に働きかける教育・研究の機会の提供を推進している。
また、大学院では分野の枠を越えた教育・研究を推進し、2024年4月には「未来通信」「カーボンニュートラル」「医学工学」という分野融合プログラムを始動させた。さらに2つ目の博士課程共同学位プログラムとして、エアランゲンニュルンベルク大学(ドイツ)との国際連携エネルギー変換システム専攻を発足させるなど、国際化への取り組みも加速。修士課程では海外大学とのダブルディグリー制度を増やしていく予定だ。
「心で工学」を合言葉に、今後も変化を恐れることなく社会ニーズに対応した教育・研究環境の整備を進め、工学の未来を担う技術者を養成。地域と手を取りあって、社会の発展に寄与していく。
「心で工学」の実践に必要な感性を養成するため、名古屋工業大学ではリベラルアーツ教育に力を注いでいる。共通科目「人間社会」の中で「技術と人間・心理」「技術と歴史・哲学」「技術と社会・国際」の3区分・26科目を展開し、2024年度からは新たな区分として「技術と芸術・文化」を設置。美学、美術史、音楽論など9つの芸術科目を開講した。さらに芸術をより深く、論理的に学ぶ科目として、少人数制によるゼミ形式の「特殊講義」を導入。2025年度には文学も科目に加わる予定で、リベラルアーツ教育のさらなる充実を図っていく。
工学とは直接的なつながりのない芸術系科目を拡充させた目的は、多角的な視野を育み、新たな切り口からアイデアを創造する発想力を養成すること。カリキュラム改革を先導した吉田江依子副学長(共通教育改革担当)は、「工学の専門性を深めつつ、芸術や人文科学分野の学びを通してものごとの捉え方の幅を広げ、従来とは異なるアプローチで工学と向き合えるようになってほしい」と期待を語る。
新設された芸術系科目は、より専門的な学びとするため、各分野の専門家を教員として招聘(しょうへい)。音楽論は連携協定を結ぶ愛知県立芸術大学の教員が担当する。卒業単位は4科目(8単位)に設定しているが、興味・関心に応じてプラスアルファの履修も可能。質の高い授業を展開することで、“型にはまらない”柔軟な発想力の養成を目指す。
芸術科目を取り入れたカリキュラムの再編は、あくまでもリベラルアーツ教育改革の第一歩。これからも科目構成の改善を重ねて内容をブラッシュアップさせ、大学全体で「心で工学」につながる教育環境の整備を推進していく。
2016年に設置された創造工学教育課程は、主軸となる専門分野を中心に幅広い工学知識を組み合わせ、新しい価値を創造するための実践力を養う6年一貫のプログラム。分野横断的な視野で専門の幅を広げる「創造工学設計科目」、価値創造に必要なスキルや応用力を磨く「工学デザイン科目」など実践的なカリキュラムが用意され、分野の垣根を越えてディスカッションやグループワークに取り組む授業も豊富だ。
創造工学教育課程の学生は、専門分野の学びに加えて、他分野からも必要な科目を選択履修することで独自の学びを設計していく。「異なる分野の学生との交流を通して、常に新しい知識や発想に出会えることが一番の魅力」と語るのは、博士前期課程2年の浅田慎伍さん(工学専攻創造工学プログラム[建築・デザイン分野])。大学院進学を前提とした6年課程で、学びにも研究活動にもじっくりと時間をかけられる点も学生の成長を支えている。
国内外の研究機関で研究活動を行う5年時の必修科目「研究インターンシップ」も、実践力養成を重視する創造工学教育課程の学びの特色だ。国外への渡航費は大学基金から支援を受けることが可能である。建築・デザイン分野で「大学キャンパスの施設計画」を研究テーマにしている浅田さんは、ヨーロッパの建築文化を学ぶため配属先にチェコ工科大学を選択。大学キャンパスや現地の建築ミュージアムで調査活動を行い、帰国後の研究活動につながるさまざまな収穫を持ち帰った。
「専門分野を深く掘り下げることと同時に、研究に必要な他分野の知識を貪欲(どんよく)に学ぶことで、視野も将来の選択肢も広がった」と6年間を振り返る浅田さん。卒業後は創造工学教育課程で培った「ゼロから1を創出するスキル」を生かして、幅広い視点に立った提案ができる設計者を目指している。
2018年に設立された「NaSH」は、ビジネスへの関心が高く、自己成長の機会を求める学生が主体となり、多彩なイベントを企画運営する部活。誰もが利用できるシェアスペースを活動拠点に、学生交流会や起業家・投資家を招いた「アントレプレナー育成塾」、ビジネスアイデアを錬磨する「アイデアソン」を定期開催している。活動は学内だけにとどまらず、2023年の「Tongaliビジネスプランコンテスト」では最優秀賞を含めメンバー3組が入賞。卒業後に起業するOBも生まれている。「『何か新しいことに挑戦したい』という学生の集まりだから、いつもポジティブな空気にあふれている。学生主体の活動なのでマネジメント能力や実践力が磨かれる」と運営メンバーの山田泰雅さん(工学部社会工学科3年)。今後もさまざまな場を提供して学生の「やりたい」を応援し、名古屋工業大学から未来を作る人を生み出していく。
学部1~3年生を中心に約60名が所属する女子学生団体「彩綾~SAYA~」。学科・学年を越えた“タテ・ヨコ・ナナメの関係づくり”をモットーに、情報交流会やキャリア支援イベントを開催。オープンキャンパスで工学部進学を目指す女子高校生の相談に対応するなど、幅広く女子学生が輝ける環境作りに携わっている。なかでも工学分野で活躍する女性を招いた「リケ女子会」や、名工大OGの話を聞く「徒労会」は、「工学分野の女性という共通点を持つOGのリアルな言葉を通して、学生生活やキャリア選択のアドバイスを受けられることで参加者の満足度も高い」と代表の鈴木梨夏さん。アクティブなメンバーが多いことも魅力で、入会希望者も年々増加。今年度はヘアアレンジ講座など女子学生ならではのイベントも実施するなど、より多くの女子学生を巻き込んで、活動と交流の輪を広げている。