ものづくり産業の集積地で
「心で工学」する人材を育成
1905年に創立された名古屋高等工業学校を前身とする工科系国立大学。産業界の発展に貢献する教育と研究を使命とし、約120年の歩みの中で優れた人材と研究成果を送り出してきた。時代の要請に応じて教育体制を拡充し、現在は基盤的・先進的工学分野をほぼ網羅する国内有数の工科系大学に成長。「心で工学」を合い言葉に、実践力を備えた技術者・研究者を育成している。
1905年に創立された名古屋高等工業学校を前身とする工科系国立大学。産業界の発展に貢献する教育と研究を使命とし、約120年の歩みの中で優れた人材と研究成果を送り出してきた。時代の要請に応じて教育体制を拡充し、現在は基盤的・先進的工学分野をほぼ網羅する国内有数の工科系大学に成長。「心で工学」を合い言葉に、実践力を備えた技術者・研究者を育成している。
大学入試で「女子枠」の設置が増えているなか、名古屋工業大学では全国に先駆け、1994年度の機械工学科(現・電気・機械工学科)の推薦入試で女子枠を導入。女性技術者・研究者の育成に取り組み、産業界のニーズに応えてきた。2024年度には対象を物理工学科、情報工学科、社会工学科(環境都市分野)に拡大。2025年度入試では4学科・定員28名に対して88名が志願し、大学全体における女子学生数204名、女子学生比率21.4%は、ともに過去最高となった※。
「30年前から女子学生を積極的に受け入れてきた本学は、工科系単科大学でありながらキャンパスに女性がいることが“当たり前”。女性が安心して学べるという認識が受験生に定着している」と、井門康司理事は女子学生増加の要因を分析する。
女子推薦入試では、筆記試験と面接により工学を学ぶ意欲を見極めた上で合格者を選抜。合格者には数学・物理の入学前教育を課しており、入学後の学力調査でも一般入試合格者との差は見られないという。また、ダイバーシティ推進センターを中心とした入学後の支援も充実。なかでも女性同窓会「鶴桜会」や女子学生団体「彩綾~SAYA~」など、工学分野で活躍する女性との接点が豊富で、学生生活や卒業後のキャリアに関するアドバイスを得られることは大きな魅力だ。「日本の科学技術の発展には女性活躍が不可欠で、工学を学ぶ女子学生を増やしていくことが重要。今後も高い志を持った女子学生を受け入れていきたい」と井門理事。女子推薦枠はあくまで社会の認識を変えるための暫定措置であり、入学前から卒業後まで、あらゆる段階でのフォローアップ体制を確立させ、女性技術者・研究者の育成に取り組んでいく。
※ 基幹工学教育課程(夜間主・5年課程)を含む
開学以来、幅広い工学分野で優れた研究実績を残してきた名古屋工業大学。2024年には情報工学類の徳田恵一教授が、音声技術分野で世界最高の学術賞とされる「IEEE ジェームス・L・フラナガン賞」を受賞した。
徳田教授の専門は音声合成で、1995年に統計的な生成モデルを用いた機械学習により音声を生成する「統計的音声合成」を提唱。当時は録音した音声波形をつなぎ合わせる手法が一般的だったが、その課題を解消する新しいアプローチを提示し、研究分野にパラダイムシフトをもたらしたことが受賞の要因となった。
統計的音声合成の特徴は、データベースの中から声質、話し方、感情表現などを自在に組み合わせて、多様な音声を作り出せること。日本語話者のデータから英語の音声を作ることも可能で、合成する音声表現の幅が圧倒的に広がった。本格的に深層学習が導入され始めた2015年以降は音質も飛躍的に向上。音声翻訳アプリ、歌声合成ソフト、言語学習、災害時緊急放送など幅広い場面に応用が広がり、視覚障害者のためのスクリーンリーダーやALSや喉頭がん患者の声の再建など医療・福祉の現場でも活用が進んでいる。
「声は人間にとって最も基本的なコミュニケーション手段で、感情やニュアンスなど文字に表れない情報を伝えることができる。数式や理論だけではなく、人の感性に深く関連していることが音声技術分野の面白さ」と語る徳田教授は、テキストや画像と融合したモデル化が進み、思いもつかないことが可能になっていく可能性を秘めた音声研究の世界で、人と機械が感性豊かにコミュニケーションする明るい未来を描く。
「オープンキャンパスに参加した時に、相談ブースで対応してくれた女子学生が実験の面白さや大学生活の楽しさをいきいきと語る姿を見て、工学部に進学することを決意しました」。ものを動かす制御に興味があった鈴木梨夏さん(電気・機械工学科4年)は、同学科の「女子枠」推薦入試を利用。筆記試験対策と並行して、「女子推薦を選んだ理由」や「どのようなエンジニアになりたいか」などをノートに書き出して整理することで、面接では自分の思いを効果的に伝えることができた。
入学後は座学で身に付けた知識を実験でアウトプットする、ものづくりの楽しさを実感。現在は半導体分野の研究室で太陽電池の研究に取り組んでいる。また、女子学生団体「彩綾~SAYA~」に所属して、女子学生のキャリア支援活動の企画・運営にも力を注いでいる。「学科や学年を超えたつながりが生まれ、多様な考えを持つ人と交流できたことは大きな財産になっている。社会で活躍するOGや企業の人事担当者との交流を通じて、女性技術者としての将来像を思い描くことができた」と鈴木さん。3年次には代表として約60名のメンバーをまとめ、組織の動かし方を実践的に学んだ。その経験を生かし、卒業後は企業に就職して製造ラインの管理や生産計画の立案など、ものづくり全体を統括する業務に携わり、女性活躍のための環境整備にも取り組みたいと考えている。
「名古屋工業大学には女性技術者という付加価値を確立できる機会がたくさんあります。『工学部は女性が少ないから』という先入観だけで選択肢を狭めることはせず、名古屋工業大学でものづくりの面白さ、奥深さを体感してください」
学部生の約8割が大学院に進学する一方、就職希望者にも手厚いサポートを行っている名古屋工業大学。2023年度の学部卒業生の就職率は99.4%。優れた就職実績を支えているのが体系的な就職・キャリア支援教育で、工学技術者としての責任や自覚を涵養(かんよう)させる「フレッシュマンセミナー」をはじめ、「産業論」「キャリアデザイン」など多彩なキャリア科目を設置している。また、インターンシップを重要な柱の一つと位置付け、名古屋工業大学の学生に特化した「名工大キャリア教育のための就業体験プログラム」を展開。2023年度は24の賛同企業に34名が参加し、卒業後のキャリア形成につながる貴重な体験を積んだ。独自の就職ネットワークを生かして採用意欲の高い企業を招聘(しょうへい)する「業界研究セミナー」「企業研究セミナー」も、確実なキャリア形成と進路選択に役立っている。
2024年9月に開催された「第22回学生フォーミュラ日本大会2024」で、名古屋工業大学フォーミュラプロジェクトのEV車両「NIT-22」が、参加75チームの中で総合10位(EVクラス2位)と躍進した。EVクラス参戦初年度となった前回大会は総合20位。20kgの軽量化を実現して挑んだ今大会は、運動性能が向上して動的審査の各項目で高得点を記録。総合成績10位以内という目標をクリアし、EV車両ですべての審査に参加したチームの中で最高得点を挙げて国土交通大臣賞に輝いた。名古屋工業大学フォーミュラプロジェクトは「社会で活躍できるエンジニアとなること」を目的に、車両の設計・製作や渉外活動を学生自身が担う名古屋工業大学ものづくりテクノセンター付属の学業プロジェクト。学生フォーミュラ日本大会には初年度から参戦し、2019年度に総合優勝を果たしており、来年度はEV部門での初優勝が期待されている。