チーム医療を支える専門職を養成する
医療・福祉の総合大学
1991年に日本初の4年制医療系大学として開学。4学部11学科、2研究科体制に発展し、医療・福祉の幅広い専門職を養成、地域と連携する研究に取り組む。三重県鈴鹿市の千代崎・白子キャンパスは合わせて19万㎡以上。全国から集う約3千人がのびのびと学び、桜の森病院、東洋医学研究所、鍼灸(しんきゅう)治療センター、こころのクリニック、こころの相談センターなど、大学附属施設も充実している。
1991年に日本初の4年制医療系大学として開学。4学部11学科、2研究科体制に発展し、医療・福祉の幅広い専門職を養成、地域と連携する研究に取り組む。三重県鈴鹿市の千代崎・白子キャンパスは合わせて19万㎡以上。全国から集う約3千人がのびのびと学び、桜の森病院、東洋医学研究所、鍼灸(しんきゅう)治療センター、こころのクリニック、こころの相談センターなど、大学附属施設も充実している。
鈴鹿医療科学大学の開学以前、日本には医療専門職養成に特化した4年制大学がなく、その設立が急務だった。医療専門職の地位向上と医療の高度化へ対応するため、社会の要請に応えて誕生した同大学は、4年制医療系大学のパイオニアだ。スタート時の2学部4学科から、さらに社会と医療界の要請に応えるかたちで学部学科・専攻を増設していき、医療・福祉の多職種を養成する「医療・福祉の総合大学」へと成長。近年も、2022年に救急救命学科、2023年に臨床検査学科を設置、2026年には薬科学科(4年制)の開設を予定するなど、発展を続ける。
建学の精神「科学技術の進歩を真に人類の福祉と健康の向上に役立たせる」のもと、教育理念に掲げるのは「知性と人間性を兼ね備えた医療・福祉スペシャリストの育成」。医療・福祉の専門職には、専門分野の知識と技能に併せ、幅広い教養、思いやりの心や倫理観が求められる。また今日、多職種が連携するチーム医療への貢献が必須となっている。その素養とスキルを身につける教育を、特性や環境を生かしたカリキュラムで実施している。
教育の実践の場となる医療・福祉施設も充実している。2015年には大学関連施設として特別養護老人ホーム「桜の森白子ホーム」を、2017年には大学附属「こころのクリニック」と「こころの相談センター」を開設。2021年には大学附属「桜の森病院」を開院した。同院は大学附属病院としては全国で初めての完全独立型緩和ケア病院だ。これらによって、地域や社会に貢献すると同時に、多くの学生が大学の附属施設で実習を受けられる体制が整った。キャンパス内に実践で学べる場、学んだことを実践できる場がある環境も大きな特長だ。
「医療・福祉の総合大学」の強みを最大限生かすカリキュラムが、2014年に始まった全学共通の基礎教育「医療人底力教育」だ。1年次に全学部・学科の学生を白子キャンパスに集め、学科混成のクラス、さらに少人数のグループを編成。どの医療・福祉専門職にも共通して必要な知識・技能・態度を学び、必要なスキルを、救急救命や介護などの多様な体験プログラムで実践的・主体的に身につける。導入から10年が経った2025年度、その内容がさらに充実する。
まず1年次の体験プログラムに、社会的関心度が高い「災害」に関するものが追加される。避難所を想定したテントや簡易トイレの組み立て、通信手段としてトランシーバーを使う練習などの実践的な内容で、避難所での感染症対策の基本となる標準予防策と、個人防護具の着脱方法を実践的に修得するプログラムも導入する。
そして新しく2年次に、学科横断のチームで取り組む、フィールドワーク中心のゼミ活動が加わる。「主体的に地域・社会に貢献する」「チームで取り組む意義を理解する」を意識し、医療・福祉の分野に限らず社会全体の課題から設定する約60のプロジェクトを用意。予防医療から、外国人児童への学習支援、子どもたちの発達を豊かにする玩具や教具の開発、キャンパス内にある自然農園での三重県の伝統野菜の栽培といったものまで幅広い内容で、その中から学生がやりたいことを選べる。仲間と、地域と協働しながら課題解決に向けて行動する過程で、地域貢献への姿勢、チームワーク力、主体性、社会性などを身につけていく。
異なる職種を目指す仲間とゼミ活動に取り組み、同じ課題に向かって協働する中で、チーム医療に不可欠な他職種への理解もより一層深まることが期待される。
医療・福祉の専門職には社会性も欠かせない。そこで鈴鹿医療科学大学は、実社会で経験を積むきっかけを作り、学業以外にも社会性を評価する手段の一つとして、ボランティア活動への参加、大学祭や駅伝大会といった学内行事やクラブ・サークルの活動などへの参加にポイントを付与する「SUMS(サムス)ポイント制度」を導入。多くの学生が積極的に参加しており、2年に1度と卒業時に社会貢献度の高い学生を表彰している。2025年4月に表彰を受けた学生は、ボランティアや手話サークル、学内イベントの企画運営、大学祭実行委員会の活動を主に行ったといい、感想をこう話す。「印象に残っているのは『みえ松阪マラソン』での医療救護ボランティアです。救護所にいた医療職の方々が、それぞれ役割を持ち、チームとして協力しながら対応する姿を間近で見られたのは貴重な経験でした。大学祭の運営などは学科・学年を超えた交流ができ、大きな達成感を得られました。さまざまな活動への挑戦は人脈が広がったり自分に自信がついたり、得られるものがたくさんあります」
一方、三重県知事表彰を受けるなど、注目される地域貢献の取り組みが消防団の活動だ。鈴鹿市との学官連携を機に2024年4月、鈴鹿市消防団に機能別団員※の学生団員が発足し、救急救命学科の学生25名が志願し活動している。火災予防イベントや救急講習、自治会訓練、消防出初式への参加などの多様な経験を積んできた。若い世代の行動力で、応急処置の普及や防災の啓発を地域防災の向上につなげたいと意気込む学生たちは、将来の職種につながる経験を積み、知識や力を身につけ、社会性も磨いている。今後も消防職員や団員からの指導や訓練を受けながら消防団活動に積極的に取り組み、大学で学んだ知識や技能も活用して、地域防災力向上を目指していく。
※ 全ての消防団活動に参加する基本団員とは異なり、入団時に決めた特定の活動や役割を担う消防団員
白子キャンパスで、今秋の完成を目指して体育館の建設が進んでいる。強化指定クラブ 女子バスケットボール部の練習および学生の体育の授業に使用する予定で、地域への貢献にも配慮する。館内アリーナには、周囲2.5mを確保したバスケットボール試合用のコート2面を設置。バスケットゴール2対は、ミニバスケットでも使用できるよう、ゴールの高さを調整できる昇降式を採用する。また、冷暖房を完備し、環境を整えている。体育館の建設でよりチーム強化を図る女子バスケットボール部は、2023年4月に同大学初の強化指定クラブとして誕生した。女子バスケットボール部の強化指定は東海の医療系大学初、三重県の高等教育機関でも初めてだ。同部は昨年度、東海学連バスケットボールリーグで2部昇格が決定し、今年度は1部昇格を目指す。環境整備と併せ、医療・福祉の総合大学の特徴を生かした学内連携も推進。鍼灸サイエンス学科の教員をトレーナーとして、医療福祉学科臨床心理学専攻の教員をメンタルトレーナーとして配置し、選手をサポートしていく。
同大学は、薬学科(6年制)を設置している薬学部に、2026年4月、薬科学科(4年制)を新設する予定だ。
薬科学科では、医薬品を中心に生命科学を学び、病気の予防や健康維持に貢献できる人材を養成する。化粧品や食品といった健康や美容に関わる分野、医薬品や化粧品、健康食品の研究開発や品質管理、または企画営業などに携わるための専門知識を学ぶ。
医薬品・化粧品・健康食品産業は今後ますます発展していく分野だが、それを担う人材が不足しているのが現状だ。このような地域の人材需要に応えるために、長年培った薬学研究のノウハウを生かしていく。
また同大学は、県内の薬事関連企業で構成される「三重県薬事工業会」と産学連携協定を締結しており、人材育成の要請をうけたことにより設置構想に到った。早期企業体験学習やインターンシップなど、大学と企業が連携するカリキュラムを取り入れていく予定だ。
卒業後は、製薬会社や化粧品関連企業、食品関連企業などで活躍する道が開かれている。