名古屋工業大学

「心で工学」する人材を育成し、
産業界や社会の発展に貢献

1905年に創立された名古屋高等工業学校を前身とする工科系国立大学。産業界の発展に貢献する教育と研究を使命とし、約120年の歩みの中で優れた人材と研究成果を送り出してきた。時代の要請に応じて教育体制を拡充し、現在は基盤的・先進的工学分野をほぼ網羅する国内有数の工科系大学に成長。「心で工学」を合い言葉に、実践力を備えた技術者・研究者を育成している。

適切な活用・運用体制を整え
生成AI・ChatGPTを導入

「生成AIを適切に活用すれば、人間の知的生産性を大きく拡張できる」と小畑誠学長

日常のあらゆる場面で生成AIの活用が広がるなか、教育・研究の現場における適切な活用法を示すことが重要な課題になっている。多くの教職員・学生が生成AIを利用している状況を受け、名古屋工業大学は2023年に生成AIに関する基本指針を提示。学長直属のプロジェクトチームを立ち上げ、現状分析と活用の在り方について検討を重ね、2025年から全常勤教職員に教育機関向け生成AI環境「ChatGPT Edu」を導入した。

「研究現場では既に生成AIの利活用が進んでおり、『生成AIが存在しない前提』に戻ることは現実的でない。その効果とリスクを適切に評価して、安全に活用できる環境整備が不可欠になる」と、小畑誠学長はその狙いを語る。大学院の学生に対する生成AI利用環境の提供も、2027年度の博士前期課程入学者から順次予定され、研究活動における高度な活用と、適切な運用の両立を図っていく。

また、2026年度には学部1年生を対象にした正課科目「フレッシュマンセミナー」で「大学での勉強と生成AI」をテーマにした講義を展開。単なる利用スキルにとどまらず、倫理・責任・批判的思考を含めた総合的なAIリテラシー教育を強化し、生成AIを「思考を深めるための道具」として活用する姿勢を涵養(かんよう)していく。

さらに、AIを活用した新たな科学研究の創出を目指し、2025年に学内学会「AI共創科学フォーラム(AICROSS)」を設立。マテリアルサイエンスやヘルスケア、中京圏の基幹産業などを横断的に結び、若手研究者を中心とした分野融合型の研究体制を構築することで、生成AIを基盤とした新しい研究の在り方を模索していく。今後も大学の強みである産学連携を生かし、地域産業とも連携しながら研究成果の社会還元を図るとともに、教育への有機的な接続を試みることで、生成AIを活用して次世代を支える高度人材の育成に力を注いでいく。

磁性流体とやわらかい磁石が
拓(ひら)く新しいものづくり

「やわらかい永久磁石」を開発した電気・機械工学類の岩本悠宏准教授。幅広い分野への応用が期待される

ものづくり産業の集積地にある工科系単科大学として、革新的な研究と技術開発で日本の発展に貢献し続けている名古屋工業大学。

電気・機械工学類の岩本悠宏准教授の専門は、半導体製造など幅広い技術に応用されている機能性流体で、液体に磁性微粒子を安定分散させた「磁性流体」を用いた素材開発と理論研究に取り組んでいる。2016年には粘弾性のあるシリコンゲルに磁性微粒子を分散させた「やわらかい永久磁石」の開発に世界で初めて成功。伸縮性があり多様な形状に加工できることに加え、変形や低振動によるエネルギーハーベスティングが可能なことから、センサー駆動やワイヤレス送信の電源など、さまざまなアプリケーションへの応用が期待されている。

磁性流体ややわらかい永久磁石を用いた研究活動で常に意識しているのは、人を中心としたデザイン思考型の研究だ。「『やわらかい永久磁石』をキーワードに、分野を超えて多くの人とコミュニケーションを図り、ビジョンを共有する中から新たな発想が生まれる」と岩本准教授。実際に国内外の多数の企業・大学と共同研究が進んでいる。2026年度には、温度により磁性が変化する「感温性磁性流体」を用いた熱輸送デバイスの開発プロジェクトが、JAXA(宇宙航空研究開発機構)による「宇宙戦略基金(SX中核領域発展研究『SX-ARK』)」に採択された。また、電極に磁性流体を用いることで無重力環境下でも安定して水を電解できる技術の開発にも注力しており、宇宙開発分野を中心に「磁性微粒子を分散させることで、さまざまなものを機能化する」というコンセプトに国内外から注目が集まっている。

今後も新しい価値の創造と原理探求を両輪として、多様な人と議論し共創する環境のもとで、新たな機能をデザインする研究を実践していく。

サイバーセキュリティを研究する学生が
「技能五輪国際大会」に出場

第48回技能五輪国際大会に出場する、工学専攻ネットワークプログラム2年の佐藤優樹さん(左)、東政澄さん(右)

名古屋工業大学では多くの学生が積極的に課外プログラムに挑戦し、主体的に学びを深めている。2025年度には大学院工学研究科工学専攻(ネットワークプログラム)の学生が、企業のシステム管理者としてリアルタイムに発生するセキュリティインシデントに対処する「情報危機管理コンテスト」にチャレンジ。技術的な解決能力と現場対応力が高く評価され、最高賞となる「経済産業大臣賞」に輝いた。

ネットワークシステムの構築要素を細かく検証し、トラブルの原因を探るためにはセキュリティ全般にわたる知識とスキルが求められる。「高校までプログラミングの経験はなかったが、情報工学科で情報に関する幅広い知識を体系的に学ぶことができた。自分にできることが一つずつ増え、コンテストで目標を達成でき成長を実感した」と喜びを語る佐藤優樹さん。研究室の後輩を率いて参加した東政澄さんも、「技術力不足を感じる場面もあったが、チームをまとめる過程で多くの気づきがあり、マネジメント能力が磨かれた」と収穫を得たようだ。

「情報危機管理コンテスト」での活躍が評価され、2026年9月に上海で開催される技能五輪の日本代表(サイバーセキュリティ職種)に選出された2名。代表としての責任と喜びを感じながら、本番を想定したシミュレーションで個々のスキルを高めつつ、緊密に意思疎通をはかりチームワークの醸成に力を注いでいる。

「出場するからには金メダルを目指す」と意欲を見せる一方、楽しみにしているのが世界各国から集まる出場者たちとの交流だ。「サイバーセキュリティの分野で頑張っている同世代の人が、どのような研究をして、何を意識しているのか。積極的にコミュニケーションを図りたい」。卒業後はサイバーセキュリティに関する知識とスキルを生かした社会貢献を目指しており、多くの学びを持ち帰るつもりだ。

CAMPUS TOPIC[注目したい大学の魅力]

工学を学ぶ学生のリアルな日常を発信!
名古屋工業大学公式Instagramを開設

大学生活の魅力や教育・研究内容をわかりやすく発信することを目的に、名古屋工業大学の公式Instagramが開設された。学生目線の情報発信を重視するため、アカウントの運営は学生広報サポーター(PRラボ)のスタッフが担当。冊子やウェブサイトでは伝えきれない大学の魅力を、写真や動画を通じて具体的に紹介している。投稿内容は学科紹介など学びに直結するものから、キャンパスライフの楽しみ方、大学周辺のおすすめスポット紹介まで幅広く、オープンキャンパスなどのイベント情報を得る手段としても最適。工学のさまざまな分野で学修・研究に取り組んでいる先輩たちのリアルな日常や、キャンパスの雰囲気をダイレクトに伝える公式Instagramは、進路選択や学科選びに悩んでいる高校生や受験生に欠かせない情報ツールになるはずだ。

動画制作と投稿、アカウント運営を担当する学生広報サポーター(PRラボ)のメンバー

先駆する知のアスリート

廉価で丈夫な簡易住宅
「インスタントハウス」を
被災地や途上国に寄贈

「地球上で家に困る人々が、快適で丈夫な家をもつあたり前を実現する」。北川啓介教授の信念を具現化した「インタントハウス」は、誰にでも、どこにでも建てられる簡易住宅だ。気球のように膜を膨らませ、空気含有量の高い断熱材を吹き付けるシンプルな工法のため数時間で設置でき、気温や風雨の影響を受けにくいことから国内外の自然災害被災地や難民キャンプで活用されている。2023年のトルコ・シリア大地震や、2024年1月1日に発生した能登半島地震の被災地支援で活躍するなど、インスタントハウスを通じた住環境向上への先駆的貢献が高く評価され、2026年に日本建築学会賞を受賞した。また、建築にかかるエネルギー消費を最大限まで抑制できることも特徴で、現在は食品工場で廃棄されたでんぷん系素材を断熱材として再利用する研究にも取り組み、持続可能で実用的な住まいの提供を目指している。

インスタントハウスで世界各地の住環境向上に取り組む社会工学類の北川啓介教授(右)と北川珠美研究員(左)

掲載大学一覧[東 海]

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