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熊本大学 北里柴三郎を育んだ地熊本から世界へ 熊本地震後に建て替え工事が行われ、今年3月に完成した工学部1号館 熊本大学 北里柴三郎を育んだ地熊本から世界へ

熊本地震後に建て替え工事が行われ、今年3月に完成した工学部1号館

熊本地震後に建て替え工事が行われ、今年3月に完成した工学部1号館

Global Thinking and Local Action × Kumamoto University

OBの北里柴三郎が新千円札の顔に

本荘北地区基礎医学研究棟の入口に設置されている北里像

熊本大学は千円札と縁がある。2004年までの千円札の顔・夏目漱石は、熊大の前身である第五高等学校(五高)の英語教師として教鞭をとった。一方、新しい千円札の顔となる北里柴三郎は、熊本県阿蘇郡の出身で、熊本医学校(現・熊大医学部)で学んだ。

自身も熊大医学部出身である原田信志学長はこう話す。

「北里柴三郎を昔から尊敬していました。基礎研究に取り組みつつ臨床にも携わり、よりよい治療をめざした方。伝染病研究所や北里研究所を創立され、数多くの医学者を育てられてもいる。われわれ医学教育者にとっては、いまでもお手本です」

こうした縁もあり、熊大には基礎医学の研究者を育てる「柴三郎プログラム」が存在する。12年から始まったこのプログラムでは、卒後臨床研修を受けつつ博士課程で研究することが可能に。奨学金や海外研修制度も充実している。医学部医学科の学生には、大学院の単位を早期に修得できるなどの特徴をもつ「プレ柴三郎プログラム」、医学や生命科学研究に興味のある高校生には、最先端医学研究を体験してもらうなどの特徴をもつ「柴三郎Jr.の発掘プログラム」も用意する。

グローバル教育の一環として英語を重視

「一番重要なのは好奇心。学生たちには、好奇心をもって自主的に課題を見つけて、自分で解決していく人になってほしいですね」と原田信志学長。文書館の前にて

「Global Thinkingand Local Action という意味でも、北里はお手本」と原田学長は続ける。北里はドイツに留学し、細菌学の大家・コッホに師事。早い時期に海外に目を向け、飛び立ち、世界に貢献する仕事をしたからだ。原田学長自身は1981年、31歳のときに渡米、大学で研究職に。そこで出合ったのが生涯の研究対象となるエイズだ。自身の経験からも「早い時期に海外に行くのはいいこと」と言い切る。

本格的に大学の国際化を進めるため、2017年、文、法、理、工の4学部にグローバルリーダーコースを新設した。地域の問題を解決できるグローバル人材の育成をめざし、専門教育に加えて英語を主体とした教養教育や、文理融合型で学ぶ科目を設置するなど独自のカリキュラムを充実させた。

「グローバルリーダーコースは英語のネイティブスピーカーの先生を多数採用し、英語による授業を増やしました。続けて学部の一般教養でも英語授業を増やす試みを始めています。こうして学内のグローバル化が進めば、学生が海外へ出るきっかけにもなると考えています」

20年度の大学入試改革についても英語に関心を寄せ、高校時代に「会話」や「発信」を意識した勉強をする必要性が高まることに、期待をにじませる。

一方、民間試験については、出願資格とするのみで、加点対象にする予定はないという。

「入試改革については学内でかなり議論しました。民間試験については、CEFRのA1レベルを出願資格とすることを公表しています」

地域に根差した未来志向の研究拠点

ヒトレトロウイルス学共同研究センターにおける教授と大学院生の様子

研究面でもさまざまな取り組みが始まっている。「地域に根ざし、グローバルに展開する未来志向の研究拠点大学」が、熊大のコンセプトだ。

18年、「健康長寿代謝制御研究センター」を設置。社会的にも関心が高い老化や健康長寿をテーマに研究を進める。また今年4月、日本の大学初のエイズ専門研究施設として発足したエイズ学研究センターと、鹿児島大学の難治ウイルス病態制御研究センターを統合。新たに「ヒトレトロウイルス学共同研究センター」をスタートさせた。

こうした姿勢や功績が認められ、ロイター発表(18年)の「アジアで最もイノベーティブな大学ランキングTOP75」で、熊大はアジア30位、国内10位に選ばれた。科学の発展と新技術の創出に貢献し、新しい市場や産業を推進する大学を評価する国際的なランキングだ。

学ぶ際にも研究する際にも大切にしてほしいのが、「熊大スピリット」だと原田学長は言う。

「五高以来の『剛毅木訥』の気風を受け継ぎ、進化させた熊大スピリットを象徴する言葉が、『創造する森 挑戦する炎』です。『創造する森』は静かに、じっくり考えるイメージです。一方、いったん行動すると決めたら、問題を解決するには情熱が必要。それが『挑戦する炎』です。森は『熊本』、炎は『阿蘇』と地域のイメージとも関連しています。この精神に基づいて学習や教育、研究に励んでほしいと思います」

From Students

1 盲学校の子どもたちが使う学習教材を開発・製作するサークル
「Soleil (ソレイユ)」

音声ガイド付き日本地図。全国の盲学校へ寄贈

ソレイユは、盲学校の学習教材の開発・製作を行うサークルだ。現在、手がけている教材は、音声ガイド付きの日本地図。目の見えない子どもにも、自分たちのいる地域や県の位置がわかる適切な教材があれば、と考えて開発した。

試作品を盲学校の先生が集まる会場で展示し、先生にふれてもらって意見をもらい、改良を加えて完成させるのが主な活動の流れ。教材は、要望のあった全国の盲学校に無償で送る。

「回路のつくり方、プログラミングなど、大学で学んだ技術を使って形にする機会があるのは貴重です。しかも実際に使う人に届けられる。やりがいがあります」(自然科学教育部情報電気工学専攻1年の高浦宏喜さん)

2 復興支援から地域活性化までボランティア活動サークルの
「D-SEVEN(ディーセブン)」

昨年の学園祭でのひとコマ。高菜めしは完売

3年前の熊本地震がきっかけで設立されたボランティア活動サークル「D-SEVEN」。共同代表の佐藤真梨乃さんと山口絵里さんは、いずれも文学部3年。2017年4月に入部した。

「入部したときは、地震の復興活動が主でした。今は、県内の地域活性化活動も多く、幅が広がっています」(佐藤さん)

18年4月から始めたのが、高齢化の進む阿蘇市手野地区での農地の活性化活動。昨年は田植えや稲刈りなど一通りの農業体験をした。最初の一年は、「地区の実情を知る」ための年に。

「去年の学園祭では、手野地区のお米と阿蘇の高菜を使って『高菜めし』を作って売りました。美味しくできました」(山口さん)

「今年は課題を見つける一年にしたい」と2人は笑顔で話した。

Front Line
研究最前線

いかに健康に長生きできるかを研究する

大学院生命科学研究部
富澤 一仁 教授

熊本大学は、エイズ研究やパルスパワー研究などで国際的に高い評価を得ている。それに続く、「ノーベル賞を目標とする」研究を支援する制度として、2017年に新設されたのが「みらい研究推進事業」だ。世界的に注目される成果を出すことをめざし、八つの研究を選定している。

その一つが、大学院生命科学研究部の富澤一仁教授が率いるプロジェクトだ。超高齢化社会において健康寿命を延ばすため、糖尿病、緑内障などの加齢関連疾患を研究する。富澤教授の研究対象は、2型糖尿病。日本人を含むアジア人型の2型糖尿病は、肥満を伴わないなど、欧米人型とは異なる特徴をもつ。しかしアジア人型は、メカニズムや治療法が確立されておらず、欧米人型と同様の治療が行われてきた。

11年、富澤教授は、アジア人型は「特定の遺伝子の変異により発症する」というメカニズムを解明したと発表。さらに肩こりの治療などに使用されている既存薬が有効である可能性を発見、現在、臨床試験を行っている。

「この治療薬は、30年近く前から広く飲まれてきました。それがアジア人の2型糖尿病の遺伝子変異のある人にも有効であることがわかったのです。しかも1錠10円程度と安価なのも魅力です」

富澤教授が研究を始めたきっかけは、熊本県内の糖尿病からくる透析患者の多さと、それによる医療財政の圧迫。さらに熊本県の平均寿命は国内4位と高いが、元気で活動できる「健康寿命」は21位まで下がる。こうした事態を変えたいと考えたという。

「熊本県の健康寿命のランキングを上げたいですね。この研究がうまくいけば、熊本や日本はもちろんのこと、タイなどのアジアで糖尿病に苦しむ人が減り、各国の医療費を減らすことにも貢献できます」

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