
みやじ・かずあき/1940年生まれ。東京大学法学部卒業。衆議院議員を8期務めた後、2014年に政界から引退。
地域の資産として有効活用を
地方でも都市でも問題となる空き家
2009年の政権交代の後、地元鹿児島の農山漁村を歩き回り、空き家が多いのにびっくりしました。居住者が亡くなったり介護施設に入っているけれど、家を継ぐ子供がいない。少子高齢化や過疎化により、そのような家が増えていたのです。田舎の不動産価値は下落しているので売ることも貸すこともできず、撤去にも費用がかかります。しかたなく放置している人が多いようでした。
人の住まない家はどんどん荒れていきます。とくに鹿児島は台風が多いので、瓦や塀が飛んだり、樹木が倒れたりと、事故につながる危険性があります。荒れた空き家は景観を悪くし、放火や犯罪を誘発するなど、地域に大きな迷惑を及ぼします。この問題は早く何とかしないと大変なことになると思いました。
その後、空き家問題は都市部でも問題になっていることが分かりました。東京23区内にも戦後、無秩序に建てられた家のなかには人が住めなくなり、放置されているものがけっこうあります。古い団地や郊外のニュータウンにも空き家が増えています。
そのため、都内の区からも対策のための法整備を要望する意見書が国に多数あがっていました。各省庁にまたがる問題なので、抜本的な解決には議員立法が必要だと考え、13年に議員連盟をつくりました。
プロセスを重視して地域全体で取り組む
その後、様々な議論を重ね、おかげさまで今年の5月26日(一部は2月)に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されました。
この法律の根底にある考えは、空き家を除去するだけでなく、活用できるものは資産として地域活性化につなげていくというものです。空き家は私有財産なので、持ち主に自主的に自己責任で除去してもらうことを前提に、その手助けを市町村が行います。
まずは市町村が空き家についてしっかり調査し、対策の計画を立てる必要があります。市町村が持ち主を特定するために固定資産税情報を活用できるようにし、立ち入り調査の権限も与えることとしました。そして議会や不動産の専門家、自治会などからなる協議会をつくり、地域をあげてこの問題に取り組む体制を整備していただきます。
そのうえで指導、勧告、命令、それでも改善されないなら代執行と、プロセスを大切にしながら空き家の除去を進めます。もちろん使える空き家は、介護施設やサロン、駐車場や民宿、文化施設など、地域で知恵を出しあって有効に活用していただきたいと思います。
よく家を除去すると、固定資産税が6分の1になる宅地の特例がなくなることが原因で除去が進まない、という話を聞きます。でもこれは誤解です。とくに地方では、土地より建物の固定資産税のほうがはるかに高いので、建物を除去したほうが全体の税負担は安くなるケースが多いのです。
空き家の除去が進まないのは、親が建てた家を取り壊すのがしのびなかったり、単に除去費用が出せなくて放置しているケースが多いのです。今回の法律では、市町村が補助する空き家除去費用に対しても、国が支援することを決めました。
今後、人口の減少にともない空き家問題はますます深刻化していくことが予想されます。まずはこれ以上、空き家を生まないことが大切です。すでに不動産業界では、空き家をシェアハウスや賃貸住宅として活用したり、持ち主に代わって管理するビジネスに注目が集まっています。
これからの日本は中古住宅やリフォーム市場を活性化させ、既存の住宅を有効に活用する社会にしていく必要があります。それによって若者からお年寄りまで、多くの人が今より豊かな住環境を手にいれることができるようになるでしょう。(談)








