保険にできることは、もっとある
「価値づくり」から for your well-being、そして「拡・保険」 へ
ウェルビーイングアクション実行委員会は、WELLBEING AWARDSの受賞実績を紹介するだけでなく、企業のウェルビーイングへの取り組みがどのようなきっかけから始まり、社内に広がり、事業へとつながっていったのかをたどる「Well-being Journey」を始めました。第1回は、WELLBEING AWARDS第1回でモノ・サービス部門グランプリを受賞した住友生命です。健康増進型保険“住友生命「Vitality」”から始まった歩みについて、ブランドコミュニケーション部の工藤様に伺いました。

商品だけでは差がつきにくい業種だからこそ
――取り組みの原点はどこにありますか。
工藤)2011年のブランド戦略開始以来、私たちは「先進の価値をお届けする」ことを掲げてきました。保険金や給付金を適切に、素早くお支払いするのは当然のことです。そこからさらに上を目指すには、新しい価値をお客さまや社会に提供し続けなければなりません。保険は、商品だけでの差別化が難しい業種です。その中で違いをつくるために、新しい価値を探す取り組みを「価値づくり」と呼び、続けていたのです。その先で見つけたのが、健康増進という保険の新しい価値でした。
――なぜ健康増進だったのでしょう。
工藤)健康寿命の延伸は、当時から社会的な課題として指摘されていました。ただ長く生きるのではなく、人生の後半を価値あるものにするために、平均寿命と健康寿命の差を縮めていくことが大切だと考えたのです。「Vitality」は南アフリカのディスカバリー社が開発したプログラムで、1つの国で1社にしかライセンスを出していません。日本で私たちならではの価値をお届けできるものだと考えました。
歩くことが楽しくなる仕掛けが、職員の実感を変えた
――2018年の発売当初、社内ではどのように受け止められたのでしょう。
工藤)2018年に発売した“住友生命「Vitality」”は、「リスクに備える」という保険の価値に加え、「リスクを減らす」健康増進の価値をお届けするものです。当時はまだ、社内で「ウェルビーイング」とは言っていませんでした。健康増進プログラムのアプリをお客さまに使っていただくのは初めての試みで、当初はアプリの不具合が出たりして、勧めづらいという声もあったようです。
――それでも広がっていったのはなぜですか。
工藤)実際に体験いただくと、歩くことが楽しくなる仕掛けが沢山あるからです。取り組みに応じて保険料が変わる仕組みはありますが、年に一度の見直しだけでは、どうしても続けにくい。そこで、毎日ポイントを重ねると1週間ごとにご褒美がもらえたり、割引で購入したウェアラブルデバイスで毎月一定の歩数を達成すると、さらに特典が重なったりと、日々続けたくなる要素が組み込まれています。私自身も、歩かなきゃという気持ちになります。お客さまから「いい商品だね」と言っていただくことも増え、職員にも「前向きに保険の話ができる商品なんだ」と分かってもらえた。不具合が解消されていくのと同じように、社内でも受け入れられていったのだと思います。

2021年、提供する価値をウェルビーイングへ
――会社として「ウェルビーイング」を掲げるようになった転機を教えてください。
工藤)2021年、社長の高田が就任し、ブランド戦略を10年の節目でアップデートしたタイミングです。「一人ひとりのよりよく生きる=ウェルビーイング」への貢献を掲げ、ウェルビーイングに貢献する「なくてはならない」保険会社グループを目指す姿として示しました。
――Vitalityとは、どのようにつながっているのでしょう。
工藤)考え方は同じなんです。Vitalityでは、健康増進という新しい価値をお客さまや社会にお届けし、保険の価値を健康増進へと拡げました。お客さまが健康になり、社会では健康寿命が延びていく。そこからさらに、身体的健康だけじゃなく、精神的健康、社会的健康、さらに言えば幸福というところまで含め、「もっとできるよね」ということです。2021年以降、私たちがお届けする新しい価値は、ウェルビーイングになりました。

言葉は違っても、根底にある思いは同じ
――いまは、どのような言葉で伝えているのですか。
工藤)「拡・保険」「for your well-being」という言葉で、保険会社としてお届けできるウェルビーイングをもっと拡げていく、というメッセージを打ち出しています。保険は、お客さまの人生に長く寄り添う事業です。健康増進はもちろん、経済的な保障もそうですが、長いお付き合いの中で、さまざまなお悩みやご相談が出てきます。そのお困りごとを解消するお手伝いが、いろいろな局面でできるはずです。保険にできることは、保険契約を履行することだけではありません。お客さまとの接点の中に、もっとたくさんある。それが「拡・保険」の考え方です。

――「for your well-being」には、どんな思いが込められていますか。
工藤)誰かのウェルビーイングの役に立つ、という意味です。この考え方に沿って、職員同士が1人1票を投じ、誰かのためになっている人を称えるスミセイ「for your well-being」アワードという取り組みも行っています。営業の会社という側面が強いので、販売業績を評価して表彰する仕組みはたくさんありますが、裏方で支えてくれている人たちを称える機会は、あまりありませんでした。お互いに称え合う場になっています。言葉は違いますが、根底にあるのは、誰かの「よりよく生きる」に貢献するという同じ思いです。
誰かのウェルビーイングという目線で、事業を見つめる
――これから取り組む企業へのメッセージをお願いします。
工藤)これは、私たちに限った話ではないと思います。古くは近江商人の「三方よし」があり、住友にも、自らの利益だけでなく公共の利益をあわせて追求する「自利利他公私一如(じりりた こうしいちにょ)」という事業精神があります。言っているか、言っていないかの違いはあっても、世の中のほとんどのビジネスは、お客さま、社会、ビジネスパートナーなど、誰かにウェルビーイングを提供しているはずです。
――最初の一歩として、勧められることはありますか。
工藤)宣伝のようで恐縮ですが、WELLBEING AWARDSに応募してみることです。自分の会社は、どのようなウェルビーイングを世の中に届けているのか。考えてみれば、きっとあるはずです。応募のために言葉に落とし込んでみると、「うちの会社もウェルビーイングなんだ」と気づくきっかけになります。今日お話ししながら、私自身も改めて気づかされることがありました。誰かのウェルビーイングへの貢献という目線で事業を見つめてみることが、第一歩ではないでしょうか。
ウェルビーイングを掲げて集まれる企業が増えていくことは、とても大切です。1社だけで成り立つものではありませんから。幸せや幸福を、みんなで追求していけたらと思います。
住友生命保険相互会社
ブランドコミュニケーション部
上席部長代理 工藤 恭平
取材・構成:ウェルビーイングアクション実行委員会
