WELL-BEING ACTION!

最大“多様”の幸福をめざし「利他」でつながる社会に

写真・図版
  • 【主催】ウェルビーイングアクション実行委員会
  • 【共催】Society of Well-being
  • 【特別協力】&WORK STYLING

WELLBEING AWARDSウェルビーイングアワード2024 受賞作決定!

人々の価値観が多様化する時代。世代や立場の違いを超え、誰もが幸福を実感できる社会に貢献するモノや活動、組織とはどのようなものか。

「最大〝多様〟の幸福と健康を考える」をテーマとするウェルビーイングアワード2024は、昨年秋から募集を開始。その最終審査と授賞式が、3月に「東京ミッドタウン八重洲」で行われた。

審査に先立ち、「モノ・サービス」「活動・アクション」「組織・チーム」の3部門から選ばれた各4団体が最終プレゼンテーションを実施。それぞれの作品に取り組んだ背景や工夫したポイント、実現までに乗り越えてきたハードル、そしてこれまでの成果などが語られ、審査員はその言葉の一つひとつに真剣に耳を傾ける。

議論を経て最終的に各部門からグランプリ1点、ゴールド各3点が選出されたが、審査員が口々に述べたのは「すべての作品が素晴らしく、いずれも甲乙つけがたかった」ということ。「ファイナリスト以上の作品には実質的な差はほとんどない」と語った審査員もいる。

初のプレゼンを実施した今回の授賞式は、来場者も多く昨年以上の盛り上がりに。前野隆司審査委員長は「こんなに仲間が増えてうれしい。プレゼンテーションを聞きながら何度も涙が出そうだった」と喜び、宮田裕章審査委員長は「規模がすべてではないが、着実に広がっていることには希望を感じる」と総括。会場は大きな拍手に包まれた。

世界中の誰もが知るアワードをめざして

私は長年「幸福」をテーマに研究してきましたが、そこでわかったのは。幸福な人というのは利他的なんですね。資本主義社会では利己でよかったかもしれない。それぞれの利益を追求していれば全体としてうまくいくというのがこれまでの世の中だったかもしれませんが、それがもう綻びを見せているのが今の時代です。

もちろん利益の追求が悪いというのではありませんが、それプラス、みんなにとってより良い世界にしよう、みんなのウェルビーイングをめざそう。そういう発想や行動が、あらゆる企業・団体にとって不可欠になっています。

本気で「ウェルビーイング革命」を実現するために、私はこのアワードを世界中の誰もが知っているというものにしたい。そして最後は世界の80億人が受賞者になってほしい。そんな未来を夢見て、一緒に歩んでいきましょう。

前野隆司 審査委員長(慶應義塾大学教授)
前野隆司 審査委員長(慶應義塾大学教授)

「つながり」こそが世界を変えていく

本日のプレゼンテーションには、ウェルビーイングな未来を考えるための大切な手がかりがたくさんありました。

モノ・サービス部門は、日本を支える中小企業や赤ちゃん、産後ママなどさまざまな人たちに目を向け、どう寄り添うのかというアイデアが素晴らしかったと思います。活動・アクション部門のプレゼンテーションからは、組織や団体の垣根を越えた多様な人との連携が大切なことを教えられました。そして組織・チーム部門は、いずれも草の根、ボトムアップで生まれた取り組みで、他のみなさんにも参考になることが多かったのではないでしょうか。

私は、ウェルビーイングな発想や行動、そこから生まれる「つながり」が本当に世界を変えていくと思っていますし、今回の審査を通じて私自身も新たに多くを学ばせていただきました。

宮田裕章 審査委員長(慶應義塾大学教授)
宮田裕章 審査委員長(慶應義塾大学教授)

モノ・サービス部門

個人の資産形成と、誰かの力になりたいという社会貢献の気持ちをつなぐ新しい投資のかたち。個人投資家や丸井グループのカード会員から「デジタル債」という方法で資金を募り、世界各地のマイクロファイナンス機関を通じて新興国や途上国で資金を必要とする人たちに提供。女性の就労支援や経済的な自立支援に利用されている。2022年にスタートし、すでに約15億円・8万人の応援につながった。

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「応援投資」
~人と人をつなぐ、新たな投資のかたち~

株式会社丸井グループ

【受賞の言葉】
丸井グループは、「あらゆる二項対立を乗り越え、すべての人が『幸せ』を感じられるインクルーシブな社会の実現」を目標に掲げています。この応援投資は計画から実現までに7年を要しましたが、その過程で私たち自身にも「利益と幸せの二項対立を乗り越える」ことの意味がわかった気がします。高く評価していただきありがとうございました。(小島玲子氏)
【審査員講評】
本日ご紹介いただいたモノ・サービスは、どれもすでに多くの人の行動変容を実現している点が素晴らしいと思います。「この取り組みが誰の幸せをつくっていくのか」と問い続ける、考え続けることが社会を動かしていくのだとあらためて感じました。(松田文登氏)
どの作品も各団体や企業の独自性が色濃く、プレゼンテーションを見ていてワクワクすると同時に、それぞれの良さがあるので審査は非常に悩みました。みなさんのような取り組みが世の中にどんどん増えていくといいなと思っています。(森永貴彦氏)

活動・アクション部門

こども食堂を各地域で支援する「地域ネットワーク団体」の運営をサポートし、こども食堂・地域ネットワーク団体に年間約5億円の資金支援をするほか、企業や団体からの物資の提供を募り、安定的な運営を支える。各地で自発的に営まれるこども食堂は「多世代交流拠点」として地域活性化や貧困対策、高齢者の健康増進などにも貢献していることに着目し、その普及と市民の参加を促すことですべての人の「居場所づくり」を進める。

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“みんなの居場所”の価値・可能性も持つ「こども食堂」の支援を通じて、誰も取りこぼさない社会をつくる活動

認定NPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ

【受賞の言葉】
私たちはウェルビーイングを「ごきげん」と言い換え、ごきげんな地域、人、社会を一緒につくろうと呼びかけています。この受賞は、誰に頼まれたのでもなく、お金のためでもなく、それでも何かをせずにいられないと自発的にこども食堂に関わり、地域の「ごきげん」に貢献してきたみなさんのものだと思います。そんな方々に「おめでとう」と言いたいです。(湯浅誠氏)
【審査員講評】
他の部門もそうですが、ここも審査は大いに揉めました(笑)。新しい活動をゼロから立ち上げることの難しさは私も知っていますので、みなさんの努力には本当に頭が下がります。今後もさらに充実した取り組みを続けていかれることを願っています。(鈴木寛氏)
活動・アクション部門の4作品に共通していたのは、誰かの幸せに貢献することで自分たちも幸せになる方法はないかと真剣に考え、それを持続できる仕組みづくりに取り組んでいることです。いずれも素晴らしい発表をありがとうございました(大高香世氏)

組織・チーム部門

ポーラのショップで働くビューティーディレクター(美容部員)は一人ひとりが個人事業主であるにもかかわらず、一体感のあるチームづくりができていることに着目。リーダーとメンバーそれぞれへのヒアリングなどを通じて、個人の幸せとチームとしての結果を両立する組織づくりのポイントを7か条にまとめた。その成果を紹介した書籍の刊行を機にメディアでも注目され、講演や研修の依頼が相次いでいる。

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リーダーもメンバーも幸せに成果を出す
ーウェルビーイングマネジメント7か条―

株式会社ポーラ/ポーラ幸せ研究所

【受賞の言葉】
この活動を通じて、これまでビューティーディレクターの方々がより良い職場づくりのために試行錯誤してきたことが、ウェルビーイングにつながっていたんだと実感しました。このような賞をいただき、あらためてみなさんの取り組みに敬意を表すると同時に、ポーラ幸せ研究所として今後も幸せなチームづくりについての発信を続けていきたいと思います。(元林由喜氏)
【審査員講評】
審査を終え、この部門のキーワードは「自発性」だったなと感じています。最初は誰か一人の気づきや違和感だったのかもしれません。しかしそこから自発的に一歩を踏み出し、やがて組織を動かす大きなうねりを生み出していった。きっと今回の受賞団体の取り組みに刺激を受け、他のどこかで新しいうねりが生まれていくものと思いますし、そうなることを期待しています。アワードの審査に携わることができて、私自身のウェルビーイングも大いに向上した気がします。どうもありがとうございました。(島田由香氏)

GOLD

  • モノ・サービス部門

    • 株式会社商工組合中央金庫 未来デザイン室
      「幸せデザインサーベイ」〜日本の中小企業を幸せに〜
      ピープル赤ちゃん研究所(ピープル株式会社)
      赤ちゃん観察から“好奇心”を見つけて楽しむ「赤ちゃんをあじわうワークショップ」
      株式会社ポーラ・産後ケアPJ
      産後ケアアプリ mamaniere(ママニエール)
      ~自分のケアがどうしても後回しになってしまう産後ママを全方位からサポート~
  • 活動・アクション部門

    • 株式会社SmartHR
      “働く環境のアクセシビリティ向上”を目指すアクセシビリティ発信プロジェクト
      学校法人 新渡戸文化学園
      『月曜日に行きたくなる学校』を目指して ~生徒と先生のウェルビーイングが両立する未来の学校~
      株式会社丸井グループ
      将来世代の事業創出を応援! ~Future Accelerator Gateway~
  • 組織・チーム部門

    • パーソルキャリア株式会社 キャリア教育推進グループ
      (共同提出者:パーソルホールディングス株式会社 みんなの部活「キャリア教育ラボ」)
      個人と企業のパーパスをつなぐ、キャリア教育実践機会の提供とコミュニティの運営
      〜小・中学校向け社員派遣型授業 “はたらく”を考えるワークショップ〜
      パナソニック インダストリー株式会社 MAKE HAPPYプロジェクト
      従業員が自ら行動し、働く幸せを実現するボトムアップ活動「MAKE HAPPY プロジェクト」
      富士通株式会社
      社内SNSを活用して企業文化を変える「やわらかデザイン」

&WORK STYLINGウェルビーイングな働き方を提案する

ワークスタイリングは、三井不動産が全国約150拠点(提携拠点を含むと約500拠点)で展開するシェアオフィス。オープンスペースに加え、多様な会議室やオンラインミーティングに特化した個室を完備。「すべてのワーカーに『幸せ』な働き方を」というパーパスに基づき、利用者向けに「五感で感じる」、「ゆるくつながる」、「気軽に学ぶ」、「自分と向き合い、対話する」、「仲間と解決する」の、5つの切り口で、一人ひとりが幸せな働き方をデザインするためのきっかけとなるようなイベント、ワークショップ、プロダクトを展開している。昨年より、働く人の幸せ・ウェルビーイングをテーマにしたイベント「Well-Being Days」を開催している。

ワークスタイリング

ワークスタイリングの詳しい情報はこちら

授賞式の様子は動画でもご覧なれます。

暮らしとビジネスの「ウェルビーイングデザイン」
〜幸せの国 デンマークの事例から学ぶ〜

アワードを主催するウェルビーイングアクション実行委員会が2023年から開催する「ウェルビーイングテーブル」は、さまざまなステークホルダーとともにこれからの社会に必要なウェルビーイングについて語り合う場。ここでは、授賞式当日に行われた「幸せの国デンマーク」をテーマとした対話の模様を紹介する。

社会の中に溶け込むウェルビーイング

泉谷 まず、どうしてデンマークに着目したのか教えていただけますか?

泉谷由梨子(ハフポスト日本版 編集長)
泉谷由梨子(ハフポスト日本版 編集長)

佐藤 私たちSIGNINGはソーシャルイシューに特化したクリエイティブチームで、クライアントの課題解決と同時に独自の調査や研究にも取り組んでいます。

デンマークはIMD(国際経営開発研究所)の世界競争力ランキングで1位、SDSN(※)が発表する幸福度リポートで2位(いずれも2022年)という国で、この両立を可能にしているものが何か知りたくて現地を訪れました。

※国連と連携する持続可能な開発ソリューション・ネットワーク

佐藤克志(株式会社SIGNING ビジネスプロデューサー)
佐藤克志(株式会社SIGNING ビジネスプロデューサー)

泉谷 具体的にどんな気付きがありましたか?

佐藤 街中の建築や公共空間が「ウェルビーイングな生活のための課題解決」を優先しているという印象を持ちました。多民族が暮らす地域で、意図的に各国の文化を雑多に取り入れた公園整備を行っていることなどがその一例です。

鷲尾 デンマークでは水辺のアクティビティが人気ですが、かつては水質汚染がひどかったそうです。そこで彼らがしたことは、まず「水をきれいにする」ことでした。水がきれいになればそこに人々が集い、自然発生的にいろんな遊びが生まれる。日本だと親水空間の整備というとすぐにカフェの誘致などを考えそうですが、その発想が違うと感じました。

鷲尾和彦(株式会社SIGNING チーフ・リサーチ・ディレクター、株式会社博報堂 クリエイティブ・ビジネス・ディレクター)
鷲尾和彦(株式会社SIGNING チーフ・リサーチ・ディレクター、株式会社博報堂 クリエイティブ・ビジネス・ディレクター)

前田 先ほど子どもたちがどんどん運河に飛び込んでいる動画も拝見しましたが、根底にあるのは「人を信じる」ということですよね。リスクを先回りして規制するばかりでなく、信頼に基づいて社会が営まれている。そこがこれからの共生・共有社会を考える参考になると思います。

前田洋子(ウェルビーイング100 by オレンジページ 編集長)
前田洋子(ウェルビーイング100 by オレンジページ 編集長)

人と人、人と社会の分断をつなぐには

泉谷 最後に本日のまとめをお願いします。

鷲尾 ウェルビーイングというのは多くの豊かな意味を持つ言葉で、だからこそモヤモヤすることもありますが、今日のこのアワードを機につながったみなさんと今後も協力していければと思います。

写真・図版

前田 私は編集長を務める媒体の運営を通じて、今も自分の内側で日々ウェルビーイングの「芽」が育っていると感じます。いろんな方の考えに触れること自体がウェルビーイングですし、自分自身やまわりの人をより深く理解することにもつながる。そんな発信を今後も続けたいと考えています。

佐藤 各団体のプレゼンテーションやみなさんとの対話を通して、自分の生き方やこれからの仕事にもつながる発見が多くあり、感謝しています。

泉谷 社会学者の上野千鶴子さんと漫画家の田房永子さんの共著で、人間には効率や生産性につながる「A面」と、病気や老い、妊娠・出産のような自然の中の存在としての「B面」があるという考え方が紹介されています。そしてA面に偏りすぎていたのがこれまでの社会だとしたら、A面とB面の分断をつなごうとしているのがみなさんの取り組みだと感じました。本日はどうもありがとうございました。

WELL-BEING ACTION!

大量生産・大量消費の経済に支えられたこれまでの豊かさがほころびを見せ、人と社会にとっての幸せの意味が問い直されている時代。ウェルビーイングアクション実行委員会とその取り組みに賛同する企業では、ウェルビーイングの実践につながる情報発信やイベントの実施、ウェルビーイングな取り組み事例の紹介などを行っています。

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授賞式の様子は動画でもご覧なれます。