広告特集 企画・制作 朝日新聞社メディアビジネス局

『働く』と『子育て』のこれからを考える

子どもと一緒に働く!
介護業界で注目される、新しい働き方

介護現場では多くのワーキング・ママが働いていますが、その働き方は実にさまざま。
例えば、小規模多機能型で地域密着の高齢者福祉サービス「あおいけあ」、そして医療ケアサービスを提供している企業「ユースタイルラボラトリー」では、子連れでの勤務を受け入れています。
子どもと一緒に働ける環境で、ママたちはどのような働き方をしているのでしょうか? 今回は、あなたの知らない介護の仕事現場をお伝えします。

働く母の姿を見ながら育ち、自然と介護職に就いた

インタビューひとり目は、神奈川県藤沢市にある高齢者福祉サービス「あおいけあ」で働く椎名萌さん。彼女はこの施設で働く母親のもとに生まれ、現在は自身も働き続けています。

――椎名さんが、あおいけあで働くようになったキッカケを教えてください。

「私の場合は少し特殊で、私が子どものころから母があおいけあで働いていて、その姿を間近に見てきました。母はシングルマザーで、3人姉妹を育てていたのですが、私は中学生のころから家に帰るよりも、母が働いている場所に来るようになりました。高校生になってからは自然と『私、働くならここがいいな』と思うようになって、社長さんに『働いていいですか』と掛け合い、卒業後はここで働くようになりました」

――就職してから、あおいけあの印象は変わりましたか?

「特に変わらなくて、私にとってここはわが家のような、おばあちゃんの家のような印象のままです。だから今でも『介護の仕事をしに行く』というよりも、よい意味で『遊びに行った先で、困っているおばあちゃんたちと一緒に過ごす』という感覚が強いです。介護というより『ちょっと手を差し伸べている』くらいの感覚で仕事をしています」

――出産前はどのような働き方をされていましたか?

「私にとって、あおいけあは信頼する人がたくさんいる、安心できる場所なんです。産休もありましたが、家にいても落ち着かないし、ここにいたほうが慣れ親しんだみんながいて安心できるから、産む前日まで来ていました。もし陣痛が来ても、みんながいれば大丈夫、という感じで…結局、帰宅した夜に陣痛が来たんですけどね」

――職場復帰はどのようなタイミングで?

「完全に復帰したのは子どもが3ヶ月になってからですが、産んで1ヶ月くらいでここにはよく顔を出していました。初めての子育てが不安な中、ここに来れば母もいるし、利用者のおばあちゃんたちも一緒に面倒を見てくれる安心感があったんです。おばあちゃんたちは人生経験が豊富で、赤ちゃんをお風呂に入れてくれたりしてくれて、初めての子育てで不安とストレスが多かった私を助けてくれました」

おばあちゃんたちと過ごすことが、子どもの教育にもなっている

――今は、2人目のお子さんも連れて働いていらっしゃいますが、施設内に子どもたちがいることで、何か変化はありましたか?

「おばあちゃんたちは、私の子どもたちを本当の孫のようにかわいがってくれています。浮き沈みの激しい方がいて、やることがわからなくなると普段は顔がこわばってしまうのですが、娘が来ると一気に顔が変わって、満面の笑みになるんです。私が娘を叱ると『なんで怒るんだ』と、娘をかばってくれる方もいます。中には、子どもが苦手な方もいて、いいことばかりではないので私も葛藤はあるのですが…そういうふうに喜んでくださる方の姿を見ると、娘たちがおばあちゃんたちと一緒に過ごしていてよかったなと思います」

――お子さんにとっても、よい影響は多いですか?

「子どもって、本当に大人のやることをよく見てるんですよね。耳が遠いおばあちゃん相手には自然と耳元で大きな声で話しかけたり、杖をついている方がトイレに行くときに『杖を忘れているよ』と声をかけてあげたり…。お箸の使い方も、私が特別教えたわけではないのに、おばあちゃんたちを見て自然と学んで上手に使えています。子どもの教育のためにもなっていて、本当にありがたいことです」

――ほかのスタッフとは、どのように連携を取っているのでしょうか?

「周りの理解があるのが、本当に助かっています。私が送迎に出ないといけないときは、代わりに面倒を見てくれますし、子どもも施設内を自由に歩き回っているので、別の事業所にいるときはサポートしてくれています。私は中学生のとき、職場体験としてとある特別養護老人ホームを訪問したことがあります。その場所では利用者さんたちが自由に出入りもできず、ゆっくり入浴もできなくて、驚いてしまいました。私にとっては、あおいけあで目にする光景が当たり前だったんです。それ以来、同じ人間として、利用者さんたちがしたいことができるこの場所は素敵だな、と感じています」

悲しかった出来事も笑いに変えて、みんなを笑顔にしたい

――椎名さん自身が思う、介護の仕事の魅力ややりがいについて教えてください。

「おばあちゃんたちの笑顔と、ありがとうと言ってもらえることが何より嬉しいですね。最初に働くとき、母から『認知症の方々は楽しかったことより、悲しいことや辛かったことを覚えているものだ』と聞いて、それ以来『楽しい思いをいっぱいさせてあげたい』と思いながら働いています。忘れてしまうかもしれないけれど、悲しかったことも笑いに変えて、楽しい時間を一緒に過ごせればと思っています」

土曜日だけ働くつもりが「お子さん連れで平日も」と提案された

続いて、インタビューふたり目は、認知症の利用者さんが集まるデイサービス土屋若宮事業所(運営:ユースタイルラボラトリー)で働く、道ノ下千春さん。資格を活かして週末だけ働くつもりが、平日も子連れで勤務するようになった理由とは?

――道ノ下さんが介護の仕事を志したキッカケとは?

「私はもともと、長女を出産するまで、特別養護老人ホームで10年ほど働いていました。介護の仕事に就いたのは、私が中学生のころ、祖母が認知症になったことがキッカケです。母を少しでも手伝いたいと思い、専門学校で介護福祉士の資格を取りました。資格を取る前に祖母は亡くなりましたが、利用者さんの笑顔が見られることが嬉しくて、天職だと思っています。だから出産後も同じ仕事に就きたくて、夫が休みの土曜日だけでも…と思って面接に伺ったところ、『よかったらお子さんを連れて、週に何日か働きませんか?』と声をかけていただきました。それ以来、平日も含めて週2~3日働いています」

――お仕事のブランクはどれくらいありましたか?

「ブランクは丸4年でした。最初は本当に子連れで働けるのか不安でしたが、事業部長さんが子ども好きで面倒を見てくださって、ずいぶん助けていただきました。特に下の子はまだ1歳10ヶ月だったので、手がかかる時期でしたが、私の手が離せないときは代わりに抱っこしてあやしてくれて、遊んでくれて、寝かしつけてくれて…。子連れで働くのは私が初めてのケースだったそうですが、本当に協力してくださっています」

――事業部長の笹島さんにお聞きします。初の子連れ勤務を受け入れたのは、なぜだったのでしょうか?

笹島「介護福祉士の資格をお持ちで、特別養護老人ホームで10年働いた経験がある人はそう多くありません。それほどのキャリアを持っている方が、子どもがネックになって働けないのはもったいない。僕は子どもが好きで、同い年の息子もいるので、何かあれば自分で対応すればいいと感じたので、ぜひ働いていただきたいとオファーさせていただきました」

利用者さんたちにとって、長女は「折り紙の先生」

――デイサービスに来ることで、お子さんたちに変化はありましたか?

「いつも大人に囲まれているので、誰にも物怖じせず、人見知りをしない子たちに育っています。とくに長女は面倒見がいいですね。認知症の利用者さんたちは、折り紙のような細かいワークをすることが多いのですが、長女は手先が器用なので『折り紙の先生』。利用者さんのいるテーブルを回って、一人ずつに朝顔や紫陽花の折り方を教えています」

――利用者さんからは、子どもたちがいる環境についてどんな反応がありますか?

「子ども好きの利用者さんが多くて、無表情だった方もにこっと笑いかけたり、話しかけたりしてくださいます。子どもたちがお散歩に同行することもあるんですが、認知症でも『手をつないで歩いたよね』と忘れずに覚えていてくれる方もいて、利用者さんにとってもよい思い出になってるのかな、と思います」

――現在こちらの事業所では、子連れの方は道ノ下さんだけですか?

「今は私だけですが、何度か『私でもできそうかな』という友人を紹介したので、同じように子連れで働いていた人もいました。これまで9人くらいですね…子どもが何人もいて、みんなで育てている感覚がありました。デイサービスの利用者さんはほぼ自分のことができる方々なので、資格や経験がない方にも紹介しやすかったです」

子連れで働ける今の職場は、もうひとつの家の感覚

――仕事における、やりがいを教えてください。

「私や子どもたちにとって、子連れで働けるこの職場は、もうひとつの家。利用者さんは身内の感覚なので、できないことができるようになったり、ひとつのものを自力で作り上げられたりするのを見ると嬉しくて、苦に思うことは何もないです。この仕事は生活の一部で、ほかの仕事は考えられません。子どもたちが目の届くところにいるという安心感もありますし、しばらくこのスタイルで働き続けたいと思います」

ふたりの話に共通していたのは「職場=わが家」という感覚です。わが家なので、利用者さんやスタッフたちは家族のような存在。だからこそ、介護を“してあげる”とか子育てを“手伝ってあげる”という感覚なく、その場にいる全員でサポートし合って、快適な“家”を作り上げているのでしょう。多様な働き方が進む社会の中で、介護職をしながら子育てをするダブルケアの働き方が、今後増えていくことを願います。

取材・文/富永明子 写真/山形 赳之(椎名さん)、下林彩子(道ノ下さん)

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