上半身にオイルを塗ったテカテカの肉体美で2016年リオデジャネイロ五輪開会式をわかせた男が、平昌(ピョンチャン)冬季五輪にやってきた。南太平洋の島国トンガからノルディックスキー距離に挑むピタ・タウファトファ(34)。80番目に入場すると、極寒の中、リオと同じく上半身裸で登場し、笑顔で国旗を大きく振るパフォーマンスを見せた。8日の入村式で「平昌は寒い。命が大事だ。見るまで待って」と語っていたが、肉体美を再び見せた。

■テコンドーから決意の転身

 タウファトファはもともとテコンドー選手で、父はトンガ人、母はオーストラリア人。「3年前まで雪を見たことがなかった」と言う。

 それなのに、なぜ冬季五輪をめざしたのか。

上半身裸で入場するトンガのピタ・タウファトファ=遠藤啓生撮影

 トンガの国王、故トゥポウ5世の夢はスキーチームを持つことで、前回ソチ五輪のリュージュ男子で同国初の冬季五輪選手が生まれている。リオ五輪で注目された男は、じっとしていられなかった。

 オーストラリアのブリスベンに住み、ホームレスの人を支援する施設で15年間働いてきた。希望を見いだせず、不安に襲われる人もいたという。橋から飛び降り自殺しようとした人を思いとどまらせたこともあった。「単に有名になりたいわけではない。名前が知られることで支援を受け、みんなを助けたい。不可能に思えることでも、やればできる、と伝えたかった」。鍛えた分厚い胸にある思いは熱い。