第23回冬季オリンピック競技平昌(ピョンチャン)大会は、9日午後8時からの開会式で開幕した。1988年にソウル夏季大会を開催した韓国では初めての冬季五輪で、アジアでの開催は72年の第11回札幌大会、98年の第18回長野大会に続く3回目となる。

 平昌五輪は、北朝鮮が核開発を進めるなど日本や韓国、米国との緊張感が高まる中、国際政治情勢も強く反映された。開催国の韓国は北朝鮮と統一旗を掲げて「コリア」として入場。国家ぐるみのドーピングが認定されたロシアの選手は、「ロシアからの五輪選手(OAR=Olympic Athlete from Russia)」として個人資格で参加した。日本の安倍晋三首相は開会式への出席に先立ち、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領と首脳会談を行い、慰安婦問題をめぐる日韓合意の着実な履行を求めた。

入場する日本の選手団(手前)=樫山晃生撮影

 政治問題に揺れる国での冬季大会に、最多の92カ国・地域から2900人を超える選手が臨む。

 日本は、冬季五輪史上最多の8大会連続出場となったノルディックスキー・ジャンプ男子の45歳、葛西紀明(土屋ホーム)が旗手を務めた。主将となったスピードスケート女子の小平奈緒(相沢病院)らは屋外の寒さを懸念して欠席した。前回のソチ大会を上回り、海外開催の冬季五輪では最多となる124選手(男子52人、女子72人)が参加する。

 開会式では、フィギュアスケート女子で2010年バンクーバー五輪金メダル、14年ソチ五輪銀メダルを獲得した金姸児(キムヨナ)さんが聖火台に点火した。

 大会は25日までの17日間で、7競技、史上最多の102種目が行われる。(平昌=後藤太輔

開会式に出席した北朝鮮の金永南氏(後列左から3人目)と金与正氏(同4人目)。前列右端は安倍晋三首相=9日夜、平昌五輪スタジアム、白井伸洋撮影

■平和実現の答え探す

 開会式は「平和への前進」というコンセプトで展開された。

 総監督を務めた演出家の宋承桓(ソンスンファン)氏は1月の記者会見で、「北朝鮮が参加することで注目が集まっているが、韓国と北朝鮮は分断の痛みを抱えるだけに、平和は世界に見せたいメッセージだ」と説明した。

 パフォーマンスは5人の子どもが主人公。大会マスコットのモチーフで、東洋の守護神とされる白虎を最初に登場させ、子どもたちが平和実現への答えを探し、冒険する。後半は、120枚の扉が縦横に舞台を動き、すべての人の未来をつくるストーリーとした。

聖火の最終点火者となった金姸児さん=9日夜、平昌五輪スタジアム、遠藤啓生撮影

 競技場を兼ねない今回の開閉会式場は、東洋の陰陽五行思想と五輪にちなみ、五角形に造られた。

 舞台上で立体的な映像が出現するなどITを駆使したほか、各座席の横にもLEDを設置。観客席全体に模様が浮かび、選手入場時には入場国・地域が英語で表示された。

 選手入場に先立つ、開催国の国旗入場では、日本でも活躍した元プロ野球選手の李承燁(イスンヨプ)氏や、1992年バルセロナ五輪男子マラソン金メダリストの黄永祚(ファンヨンジョ)氏ら、韓国のスポーツ界を彩った元選手たちが国旗を運んだ。

平昌五輪の開会式が始まり、花火が上がった=林敏行撮影

 気象庁によると、式が始まった午後8時の開閉会式場一帯の気温は零下2・7度。懸念された極寒の中の式は回避できた。(中小路徹