小野寺五典防衛相は2日、シンガポールで開催中の「アジア安全保障会議」で、北朝鮮問題をテーマに講演した。北朝鮮が全ての大量破壊兵器とあらゆる弾道ミサイルの「完全で検証可能で不可逆的な廃棄」が完了するまで「防衛当局として圧力の維持が不可欠だ」と各国に呼びかけた。

 小野寺氏は北朝鮮の弾道ミサイルについて「米本土を含む世界中の多くの国と地域を射程に収めている可能性がある。国際社会全体に大きな脅威」と強調。一方、米朝首脳会談には核・ミサイルの「実質的な進展」や「日本人の拉致問題を解決する機会」となることへの期待感を示した。

アジア安全保障会議で演説する小野寺五典防衛相=2018年6月2日、シンガポールのシャングリラホテル

 北朝鮮が「具体的な措置を取る段階」となった場合にも言及。核査察や核廃棄後の検証に関して「北朝鮮が大量破壊兵器の廃棄に真剣に取り組むならば、協力を惜しまない」と語り、化学兵器禁止機関(OPCW)への自衛官派遣などを行う考えを示した。

 ただ、北朝鮮が1990年代以降、「非核化を宣言し、融和ムードを演出しておきながら何度も国際社会の平和への努力を踏みにじる歴史を繰り返してきた」とも指摘。「北朝鮮が対話に応じることのみで、見返りを与えるべきではない」と各国に理解を求めた。

 また、洋上で違法に物資を積み替える北朝鮮の「瀬取り」の監視活動は、今後も多国間が連携して取り組む必要があると訴えた。(シンガポール=藤原慎一)