警察に逮捕され、少年院を経験して「ホワイトハッカー」となった少年と、記者が最初に出会ったのは昨年2月。別のハッカーの呼びかけで、3人で渋谷の街角で待ち合わせた。

 細身で長身な少年は当時、19歳。一見、どこにでもいる今風の若者だったが、常に周囲を警戒している様子がうかがえた。

 会話をしても、絶対に人と目を合わせない。ファミリーレストランに入って話をしている間も、ノートパソコンの画面を半開き状態で操作する。ドリンクバーやトイレに行くために席を立つ際は、私物を全てかばんに入れて持ち歩く徹底ぶりだった。

 この時は少年院から出て約5カ月。出版社のホームページに不正アクセスをして侵入し、ウイルスを仕掛けた疑いで逮捕されたのは2015年7月。当時は、ネットの闇の世界で知られた「ブラックハッカー」だった。

 それでも暗号化されたチャットで数日おきにやりとりし、何度か会ううちに少しずつ打ち解け、身の上について話すようになった。知人が誰一人おらず、頼る人がいないこと。母親からは遠回しに「20歳になったら家を出て欲しい」と言われていること。そして、家宅捜索から逮捕に至るまで。会うたびに数時間、彼の話に耳を傾けた。