生涯をかけて培った靴作りの技術を残したい。そんな思いで、愛知県碧南市の76歳の靴職人が新しい商品を生み出した。「ファーストシューズ」。歩き始めた赤ちゃんが初めて履く室内履き用の革靴だ。碧南市のふるさと納税の返礼限定の商品として提供されている。

 触ってみると、柔らかい。靴底も含めてすべて本革で、手縫いで包み込むように仕上げられている。しっかりした靴下というイメージで、つかまり立ちから歩き始めた1歳前後の赤ちゃんの足をサポートする。大きさは12センチ、デザインは3種類、それぞれ赤・白・茶の3色あり、計9種。

 生み出したのは、同市の靴製造会社ポートシューズ会長の杉浦伸之さん。25歳から靴職人として技術を磨き、大手靴メーカーの下請けとして縫製などを請け負ってきた。今もリーガル社などに高い技術を評価される。だが数年前から、「安価さを求められる中で、自分の身につけた技術が消えていく」ように感じていた。商売とは別に「技術を生かして、ほかには無い本当にいい靴を作りたい」という思いが強くなった。