兵庫)家ごはん、どう対応? 「ケンミン」トップに聞く

聞き手=青瀬健、遠藤美波

2020年5月25日09時30分

取材に応じる高村祐輝社長(手前)と高村一成会長=2020年5月1日午後1時25分、神戸市中央区海岸通5丁目、遠藤美波撮影

 「ケンケンミンミン焼(やき)ビーフン(中略)毎日食べると、ちょっと飽きる~」。1990年代、こんなテレビCMで話題になったケンミン食品(神戸市)。新型コロナウイルスの影響で「家ごはん」の機会が増えた中、食品会社としてどのような取り組みをしてきたのか、終息後の経済や生活をどう見据えているのか。高村一成会長(64)と、息子の祐輝社長(37)に聞いた。

 ――外食控えが続いた中で、業績はどのように。

 社長 家庭用が7割で、業務用が3割です。家庭用は順調ですが、レストランの営業自粛や「駅ナカ」にある総菜店の利用が減った影響を受け、業務用は下がっています。トータルだと、4月は昨年に少し及ばない状況です。

 ――そうした中、4月には有名シェフとコラボしたレシピを発表しました。

 社長 シェフの皆さんもお客さんやスタッフの安全のために長く営業を自粛していました。私たちもシェフも、料理を通じて人を幸せにしたいという心意気があります。驚くようなレシピを提供することで、家での過ごし方が少しでもいいものになれば、と。

 ――小麦アレルギーの子がいる家庭向けに、小麦不使用商品の無償提供(100世帯)をしました。

 社長 自粛生活下とはいえ、小さなお子さんを家においておけず、一緒に買い物にいかざるを得ない方もいたと思います。でも、そういう人たちがスーパーで白い目にさらされる事態が生じていた。食物アレルギーをお持ちの方がアレルギー対応食品を手に入れづらい状況があった。そういった環境のなか、何かできることを、と考えました。

 ――毎日、家族全員分のごはんを作るのは負担だと感じる人も多くいます。

 会長 今、家でごはんを作ることに難しさが伴っていると思います。お子さんが毎日家にいて、なおかつ配偶者もテレワークで……と、在宅する人数が多い。料理を作る側としては、連日こんな状態が続くことに面倒臭さがあると思いますが、インスタント食品をぽいと出すのも気が引ける、という人もいる。

 社長 私どものキャッチフレーズの一つに「ちょっとひと手間 ちゃんとひと皿」というのがあります。

 お湯を入れて終わり、ではないので手間と言えば手間ですが、例えば冷蔵庫の余り物を生かして凝ったメニューにできるところがあります。「家族に愛を込める」という部分が大切で、それは他の献立にもいえるのではないでしょうか。

 ――競合商品の中には、手軽さを武器としているものもあります。

 会長 私どもの「焼ビーフン」発売は日清食品さんのチキンラーメンから2年後でした。発売時期はそう大きく違わないけれど、売り上げはチキンラーメンには遠く及んでいない。こちらは手軽とはいえなかったし、「手間をかけず、すぐに食べたい」という人の方がやはり多い。でも、こんな今だからこそ、ちょっとひと手間かける食材っていうのが見直されているんじゃないかと思います。

 ――食品メーカーとして飲食店に対してできるサポートはあるでしょうか。

 社長 お店のほうにも、「お客さんに足を運んでもらうのが飲食店のビジネス」という考えを変え、次の展開を考えている方がたくさんいらっしゃる。当社は冷凍食品事業もやっているので、例えば飲食店の料理を冷凍して家庭に配送するとか、そういったことで私たちの設備を有効利用し、次の可能性を一緒に考えられればと思います。

 ――今後の暮らし方や景気の見通しはどうですか。

 社長 やはり企業の収益が減って社員の賃金にも影響し、不況になっていくのかなと思っています。イベント関係も人が大勢集まるものは当面開けないでしょうし、時間の楽しみ方というものが徐々に変わってくるのではないでしょうか。

 会長 皆さんがテレワークなどで新しい働き方を始め、「意外とできるやん」ということになれば、企業も都会に集中する必然性は薄れていきます。テレワークが進むのは時代の流れだと思います。

 ――仮に新型コロナ問題が終息しても、人の往来や外食の頻度が元通りになるかどうかが課題です。

 会長 人が移動することによっていろんな消費が生まれていた、ということが今回よくわかりました。こういう状況を経験した社会が今後どう変化していくのか見極めないといけない。

 社長 その道のプロが提供する外食や食品には、それぞれ「付加価値」があります。でも、今は消費者の皆さんがその付加価値を極力そぎ落として生活せざるを得ない状況。本当にいろいろ削って暮らしている状態から、(新型コロナが終息して)次に何か商品に手を伸ばそうという時、おそらく相当な魅力がないとお客さんに振り向いてもらえない。これまで以上に技術力や発想が問われる。難しい時代になりますね。(遠藤美波)

     ◇

 〈ケンミン食品〉 1950年に神戸市で創業。国内ビーフン市場でのシェアは52.8%で日本一。60年に発売した「ケンミンの焼(やき)ビーフン」は、今年1月に「最も長く販売されている焼ビーフンブランド」としてギネス世界記録に認定された。

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兵庫)家ごはん、どう対応? 「ケンミン」トップに聞く

聞き手=青瀬健、遠藤美波

2020年5月25日09時30分

取材に応じる高村祐輝社長(手前)と高村一成会長=2020年5月1日午後1時25分、神戸市中央区海岸通5丁目、遠藤美波撮影

 「ケンケンミンミン焼(やき)ビーフン(中略)毎日食べると、ちょっと飽きる~」。1990年代、こんなテレビCMで話題になったケンミン食品(神戸市)。新型コロナウイルスの影響で「家ごはん」の機会が増えた中、食品会社としてどのような取り組みをしてきたのか、終息後の経済や生活をどう見据えているのか。高村一成会長(64)と、息子の祐輝社長(37)に聞いた。

 ――外食控えが続いた中で、業績はどのように。

 社長 家庭用が7割で、業務用が3割です。家庭用は順調ですが、レストランの営業自粛や「駅ナカ」にある総菜店の利用が減った影響を受け、業務用は下がっています。トータルだと、4月は昨年に少し及ばない状況です。

 ――そうした中、4月には有名シェフとコラボしたレシピを発表しました。

 社長 シェフの皆さんもお客さんやスタッフの安全のために長く営業を自粛していました。私たちもシェフも、料理を通じて人を幸せにしたいという心意気があります。驚くようなレシピを提供することで、家での過ごし方が少しでもいいものになれば、と。

 ――小麦アレルギーの子がいる家庭向けに、小麦不使用商品の無償提供(100世帯)をしました。

 社長 自粛生活下とはいえ、小さなお子さんを家においておけず、一緒に買い物にいかざるを得ない方もいたと思います。でも、そういう人たちがスーパーで白い目にさらされる事態が生じていた。食物アレルギーをお持ちの方がアレルギー対応食品を手に入れづらい状況があった。そういった環境のなか、何かできることを、と考えました。

 ――毎日、家族全員分のごはんを作るのは負担だと感じる人も多くいます。

 会長 今、家でごはんを作ることに難しさが伴っていると思います。お子さんが毎日家にいて、なおかつ配偶者もテレワークで……と、在宅する人数が多い。料理を作る側としては、連日こんな状態が続くことに面倒臭さがあると思いますが、インスタント食品をぽいと出すのも気が引ける、という人もいる。

 社長 私どものキャッチフレーズの一つに「ちょっとひと手間 ちゃんとひと皿」というのがあります。

 お湯を入れて終わり、ではないので手間と言えば手間ですが、例えば冷蔵庫の余り物を生かして凝ったメニューにできるところがあります。「家族に愛を込める」という部分が大切で、それは他の献立にもいえるのではないでしょうか。

 ――競合商品の中には、手軽さを武器としているものもあります。

 会長 私どもの「焼ビーフン」発売は日清食品さんのチキンラーメンから2年後でした。発売時期はそう大きく違わないけれど、売り上げはチキンラーメンには遠く及んでいない。こちらは手軽とはいえなかったし、「手間をかけず、すぐに食べたい」という人の方がやはり多い。でも、こんな今だからこそ、ちょっとひと手間かける食材っていうのが見直されているんじゃないかと思います。

 ――食品メーカーとして飲食店に対してできるサポートはあるでしょうか。

 社長 お店のほうにも、「お客さんに足を運んでもらうのが飲食店のビジネス」という考えを変え、次の展開を考えている方がたくさんいらっしゃる。当社は冷凍食品事業もやっているので、例えば飲食店の料理を冷凍して家庭に配送するとか、そういったことで私たちの設備を有効利用し、次の可能性を一緒に考えられればと思います。

 ――今後の暮らし方や景気の見通しはどうですか。

 社長 やはり企業の収益が減って社員の賃金にも影響し、不況になっていくのかなと思っています。イベント関係も人が大勢集まるものは当面開けないでしょうし、時間の楽しみ方というものが徐々に変わってくるのではないでしょうか。

 会長 皆さんがテレワークなどで新しい働き方を始め、「意外とできるやん」ということになれば、企業も都会に集中する必然性は薄れていきます。テレワークが進むのは時代の流れだと思います。

 ――仮に新型コロナ問題が終息しても、人の往来や外食の頻度が元通りになるかどうかが課題です。

 会長 人が移動することによっていろんな消費が生まれていた、ということが今回よくわかりました。こういう状況を経験した社会が今後どう変化していくのか見極めないといけない。

 社長 その道のプロが提供する外食や食品には、それぞれ「付加価値」があります。でも、今は消費者の皆さんがその付加価値を極力そぎ落として生活せざるを得ない状況。本当にいろいろ削って暮らしている状態から、(新型コロナが終息して)次に何か商品に手を伸ばそうという時、おそらく相当な魅力がないとお客さんに振り向いてもらえない。これまで以上に技術力や発想が問われる。難しい時代になりますね。

     ◇

 〈ケンミン食品〉 1950年に神戸市で創業。国内ビーフン市場でのシェアは52.8%で日本一。60年に発売した「ケンミンの焼(やき)ビーフン」は、今年1月に「最も長く販売されている焼ビーフンブランド」としてギネス世界記録に認定された。

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