職場の上司から、同性パートナーがいることを勝手に同僚に明かす「アウティング」をされたとして、東京都豊島区の保険代理店で働く男性が12日、アウティングを禁じる区条例に基づき、区側に企業への行政指導などを求めて苦情処理を申し立てた。記者会見した男性側によると、企業側は悪意はなかったとしているが「悪意の有無に関係なく重大な人権侵害。やってはいけない」と呼びかけた。

 アウティングは、性的指向や性自認を、本人の同意なく他人に明かすこと。今年6月から、まず大企業にパワーハラスメント防止を義務づけた国のパワハラ防止法の指針も、アウティングをパワハラの一種と位置づけている。

 男性は昨年5月に入社する際、同性のパートナーがいることを上司らに話し、同僚には必要があれば自ら話すと伝えていた。しかし翌月、上司が勝手に同僚に伝えていたことがわかったという。男性によると、上司は「自分から言うのが恥ずかしいと思ったから、俺が言っといた。一人ぐらい、いいでしょ」などと笑っていたという。その後、上司から日常的に暴言をはかれるようになったとしている。

 男性は、昨年11月に精神疾患を発症したと診断され、今は休職している。豊島区の条例は悪意の有無と無関係にアウティングを禁じている。

 取材に対し会社側は「同性愛者であることを職場で隠さずに働きたいという意向が男性にあったと認識していた」として、男性の認識と一部に違いがあるといい、話し合いを続けているという。(滝沢卓)