テニス、最年長の世界ランカーが柏に「まだ進化できる」
三国治
2020年11月12日14時42分
千葉県柏市のプロテニス選手、松井俊英さん(42)が、シングルスの世界ランキング783位で、ランキング入りを維持している。ランキング入りする世界の約2千人の中で最年長だ。コロナ禍で出場できる大会は激減したが、「年齢はただの数字。まだ進化できる」と練習に励む。
テニスを始めたのは10歳と遅めだった。最初は4、5歳から始めた選手らにかなわず悔しい思いをした。高校時代に思い切ってカナダに語学留学。民間のテニスクラブで練習し、夏休みなどは1人でカナダ、米国、中南米のジュニア大会に出て力をつけた。これが認められ、奨学金を得てハワイの大学に進んだ。
「学業とテニス、どちらの成績が悪くても奨学金は出なくなる。厳しい環境でテニスに必要な自立心が育った」。大学在学中に男子プロテニス協会(ATP)の世界ランキング800位ほどに成績を伸ばし、卒業後にプロに転向した。ジュニアで活躍して高卒後にプロになるのが一般的な日本では、異色の経歴という。
200キロを超す高速サーブを武器にした攻撃的なスタイルが特徴だ。国別対抗戦のデビスカップとアジア大会代表にそれぞれ2度選ばれた。全日本選手権ではダブルスで4回優勝、シングルスでは1回準優勝している。
世界各地の大会で勝ち星をあげてATP世界ランキングに入る選手はシングルスで約2千人、ダブルスで約2300人。うち日本人はそれぞれ約70人。松井さんの最高位はダブルス130位、シングルス261位で、現在はダブルス204位(日本人上位2番目)、シングルス783位(同27番目)。日本人では、ダブルスも含めて次に年長の選手は6歳下で、ダントツの鉄人ぶりを誇る。
練習拠点は柏市内で、週5~6日は数時間の練習をこなす。大会の賞金だけでは海外遠征などはできないのでテニススクールも経営する金融会社に所属し、テニス用品メーカーからも支援を受けている。
昨年はカナダの大会で20代の選手にシングルスで勝利。今年1月にはATP主催の国別対抗戦ATPカップの日本代表に選ばれてダブルスで1勝し、健在ぶりを見せた。「技術力は上がる一方だし、鍛えているから体力も衰えない。引退は考えない」
コロナ禍で試合ができない期間が長かったが、「体のケアも含めて自分をしっかり見つめ直すことができた」と前向きにとらえる。国内の大会も一部再開されたが、9月以降、二つしか大会に出ておらず今後のスケジュールも不透明だが、掲げる目標は大きい。
「東京の次のパリ五輪を目指す。ダブルスなら可能性があるから、代表選考に向けてランキングを100位以内に上げたい。自分自身へのチャレンジです」(三国治)