宇宙航空研究開発機構(JAXA)へのサイバー攻撃に関与したとして警視庁が中国籍の男を書類送検した事件について、警察庁の松本光弘長官は22日の定例記者会見で、攻撃に中国人民解放軍の部隊が関与した可能性が高いとした上で、「攻撃の背景組織の特定に至ったのは非常に意義深いと考える」と述べた。

 日本に対するサイバー攻撃について、中国が国家レベルでかかわった疑いが強いとする見解を日本の捜査当局が示したのは、今回が初めてとみられる。

 警視庁などによると、男は2016~17年に5回にわたり、名前などを偽って日本企業とレンタルサーバーの使用契約を結んだ私電磁的記録不正作出・同供用の疑いがある。男は中国共産党員で、国営の情報通信企業でシステムエンジニアをしていたという。

 松本長官は会見で、男や関係者の供述など多くの証拠から、国内約200の企業などへの一連のサイバー攻撃が「Tick(ティック)」と呼ばれる集団によって実行されたと指摘。背景にある組織として、青島市を拠点とする軍の戦略支援部隊「61419部隊」が関与した可能性が高い、と説明した。

 松本長官は、サイバー攻撃への対応は国の安全保障上も重要な課題と指摘。官民の情報共有や、政府内や外国の治安機関との連携を図り、被害防止や攻撃の実態解明、取り締まりを進める考えを示した。(編集委員・吉田伸八)