新型コロナワクチンの接種状況を一元管理するために国が導入した「ワクチン接種記録システム」(VRS)で、個人の接種記録の一部が誤って登録されていることがデジタル庁などへの取材で分かった。接種したのに記録がないなどの例があり、政府が年内に計画しているワクチン接種証明書の電子申請・交付にも影響が出かねない事態になっている。

VRSは自治体が事前に名前や生年月日といった接種者情報を登録し、医療機関や接種会場の担当者が登録した接種記録とひもづける政府のシステムで、今年4月から運用を始めた。

 予防接種台帳をベースにした従来のシステムだとデータの反映に2~3カ月かかっていたが、VRSならリアルタイムに接種状況を把握できる。しかし、1回目を終えていない人が2回目を接種するなど記録が誤っている例が一定程度あることが最近分かってきた。

VRSのシステムを運用しているデジ庁や複数の自治体によると、医療機関や接種会場での登録に誤りがあった。会場では、政府が配布したタブレット端末のカメラで接種券に印刷された18桁の数字を読み取る作業があるが、その際に数字の5を3に誤読したり、3を8に誤読したりする例があるという。

 また、接種会場で手入力している接種日やワクチンメーカーについても日付を間違えたり、モデルナとファイザーを間違えたりする人為的なミスもある。職域接種や大規模接種の会場で入力されたデータに誤りが目立つという見方もある。

 デジ庁は、すでにデータの修正を進めている自治体の傾向などをもとに誤データの量を全体の0.07%ほどと推測しているが、自治体によっては全体の1%を超えるという。10月17日時点では、2回のワクチン接種を終えた人だけでも約7800万人おり、ミスが仮に1%だとすると誤登録は数十万人単位にのぼることになる。

VRSの記録はワクチン接種証明書の電子申請・交付にも使われるが、誤りを放置すれば証明書が交付できなかったり、誤ったものを交付したりする例が出てくる。接種記録が記された紙ベースの「予診票」にあたれば誤りは正せるが、作業は煩雑で頭を悩ませる自治体も出ている。(中島嘉克)